風が生まれる瞬間

110124_0552~0001.jpg久しぶりに一日家の中。
先週、飲み会で食べた何かで感染性胃腸炎になってしまい、今日予定していたカヤックは断念。
ノロではないけど、お腹ムカムカでビールも飲む気がしない。
ノンビリ本を読んで過ごした。

読んでいたのはジョン・タークが書いた「縄文人は太平洋を渡ったか 〜カヤック3000マイル航海記〜」。
ジョン・タークは、2つの大学で博士号を持ち、環境科学や地球科学の教科書を書いているほどのインテリでありながら、ホーン岬や北太平洋などへカヤックで遠征する冒険家。

1996年アメリカの北西海岸で、推定年代9000年以上前の縄文人に酷似した人骨が出土した。
この本は、この事に興味を持った著者が、"縄文人がカヤックで渡ったのではないか" と考え、北海道の根室からアラスカのセントローレンス島までの3000マイル(4800キロ以上)を航海した記録。
前半の1000マイルは、「ウインドライダー」というセールをつけたアウトリガー付きボートで、残りの2000マイルはシーカヤックを使った。
そして、この航海はシーカヤックによる世界10大遠征の一つに上げられている。

"波がボートにのしかかり、自分の前に大きく立ち現れたあとで、ほとんど魔術的かと思うほどすばやくボートの下へと滑り込んでいく、…(中略)…古代の船作りや航海者がこの感覚に熱狂しはじめれば、彼らが水平線の彼方へ航海することに憧れるのはごく当然のことだと私は思える。"

"はじめて船を作った人々や最初に海へ出かけた舟人たちは、おそらくロマンティックな人々だったにちがいない"

"今日、千島列島とシベリアの海岸は、地球上でもっとも隔離された、もっとも辺鄙な未開地域のひとつといってよいだろう。そこには海岸に沿って、見捨てられたように小さな村々が並んでいるだけだ。"

"次の朝われわれは、弱い向かい風を間切りながら進んだ。…(中略)…島の内側を見ると、火山の頂がおびただしい雪に覆われている。ちょうどそのときだった。突然入り江の先で、海と空を区切っていた線が不分明になり、海の色がブルーから白へと変わった。…(中略)…これは「ウィリウォー」と呼ばれているもので、雪をいただいた山に暖かい空気が吹きつけるとき、それが急激に冷やされて起こる突風のことだった。"

"川の中にできた渦巻きなら私も以前に経験したことがある。小さな渦巻きだったが、トイレの便器の中を水が流れていくように音を立てて水が渦巻きの中に吸い込まれていった。が、今目の前にしている渦巻きは幅が十から二十マイルもある。大きさがあまりにも桁外れなために、かえってそれがはらむ危険を不明瞭にしていた。"

カヤックをやる者にとっては、ワクワク・ドキドキすると同時に、とても勉強になることが沢山書いてあって面白い。

110124_0557~0001.jpgお風呂で湯船につかっている時に、裏の小道を小さな子ども達が何かを話しながら小走りに通って行った。
その声を聞いたら、久しぶりに西村由紀江のピアノを聴きたくなった。
「風が生まれる瞬間」というアルバムの中に「目をとじて」という曲があるんだけど、その曲の最初と最後に小さい子ども達が遊ぶ声が入っている。
この声を聞くと、明日のことすら考えずに遊んでいたガキの頃が思い出されて、なんだか感傷的になる。
嫌なことは無く、汚いものも見えず、ただ遊んでいたような気がする。
オヤジになってしまった今、自分にはあの頃の純粋さがどのくらい残っているんだろう。

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