ソロキャンパーの試練 〜西湖〜

何かを始めようと(始めたい)と思った時、それをやる為には最低限用意しなければならない "物" がある。
もちろん、ウォーキングやランニング、水泳などは持っているものだけでなんとかなるかもしれないし、陶芸は教室に通えば何もいらない。
カヤック遊びはツアーに参加すれば何も買う必要はないし、山歩きは行く山によっては登山靴はもとよりリュックサックすらいらない。そして、キャンプは道具を持っている誰かに連れて行ってもらえれば手ぶらでもOK。
ところが、ひとたび "ソロで遊びたい" と思ったら、そうはいかない。

自分がカヤックをやってみたいと思ったキッカケは、多くの人と同じで野田知佑さんの本を読んだから…。
まず、この遊びを自分が「できるのか?」が重要だった。
シーカヤックスクール
何度かツアーに参加して、よりいっそう "やりたい度" がアップしたところで、フェザークラフトを買った。
なぜフェザークラフトを選択したのかについては、2010年のブログに詳しく書いたとおり、安心感と自分への決意が大きかった。
フェザークラフト・ウィスパーについて

その時にどのレベルの道具を用意するかは、その人の性格やその時点の決意度合いによるんだろうと思う。
形から入る人…
道具から入る人…
自分は間違いなく道具から入った人で、一気にキャンプツーリングできるレベルの道具を揃えてしまった。

IMG_4947.jpgIMG_4949.jpg12月7日 月曜日 西湖。
場所取り担当で私が先に到着。
西湖自由キャンプ場が定休日だったので、やっているキャンプ場を物色して、なるべくトイレが近い場所を確保した。
なにせ糖尿病持ちのシュニンは2時間毎にトイレに行かなければならない。

13時半頃、突然西風が吹き始めた。
あっという間に風速15メートルほどに上がり、湖面がうさぎだらけになったものの、30分後には収まっていた。
キャンプシーズンでボートがたくさん浮かんでいる時だったら修羅場になっていただろう。
奥さんのご機嫌を取ってから出発したシュニンは、15時半に到着。
オギノで買い出し後、シュニンがテントを組み立て始めた。

この日、西湖に行くキッカケになったのは、前日のある会話からだった。
「ハスクバーナの斧を買いました。」
「明日キャンプいかが?(⇦冗談で言ってみた)」
「寒くねーかなぁ、場所は?」
「西湖は最低気温マイナス2℃」
「シュラフ二枚重ね(^^;)」
「オートキャンプだから布団持って来れば?」
1ヶ月前キャンプに誘った時「暖かくなってから行きましょう(^^;)」って言ってたのに、何を考えたか行く気満々である。

組み立て中のワンポールテントは、まっさらのおニューで本日お披露目。
大きすぎて家で試し組みはできず、何度も頭の中で組み立て手順を予習してきたらしい。

IMG_4963.jpg夕暮れ。
まだ寒くない。

IMG_4967_20201207.jpg焚き火を囲んで団欒開始。
ところがシュニンが座る方に焚き火の煙りが行く。こっちかなぁ、そっちかなぁと移動しても少し経つと煙りが追いかけてくる。
このままでは人間燻製が出来上がりそうである。
この日は、ステーキよりも焚き火の中に突っ込んで作ったローストビーフが美味かった。

IMG_4978.jpg翌朝、対岸に見える山がモルゲンロートに染まり、湖畔に張られたテントの周りには霜が降りている。
上に張って正解。

朝飯を食べながらシュニンがボソボソと話し始めた。
「昨日、女の人の声聞こえませんでした?」
「聞こえないよ、熟睡してたし。」
「そっかぁ、最初そっちのテントからかなぁって思ったんだけど、イビキが聞こえるから違うし…。はっきりした声で聞こえたんですよぉ。」
「開けて確かめてみればよかったのに。」
「そんなの怖くてできないですよぉ。それと夜トイレに行ったら女性が一人で座っていたし…。」
どうも、シュニンは感じてしまったらしい。

このキャンプで、シュニンが使ったおニューの道具は8個。
使わなかったおニューの道具は9個。
「本当にソロキャンプするの?」
「やりますよぉ〜」
「ソロって一人だよ?!」
「…」

あとがき:2020-12-11
シュニンがネットで調べたところ、テント越しに聞こえた女の人の声は何人もが聞いているらしい。