キャンプの話し

以前、礼文島に遠征した際、初日の宿の主人にこう言われた。
「ここは国立公園なので、ほんとはキャンプしたらダメなんだよ。」
勉強不足で、それまでは国立公園がキャンプ禁止だとは知らなかった。

その後、「自然公園法」について調べてみた。
自然公園法
自然公園には、国立公園、国定公園及び都道府県立自然公園などがあり、自然公園法はそれらの地域の自然を保護するとともに、その利用の増進を図る事を目的にしている。
我々カヤッカーが気になるのは、その場所のキャンプ場以外の場所でキャンプをしていいかどうかだ。

自然公園内で禁止されている行為は、第二十条第三項に書かれているが、解釈が難しいのはコレ。
「一  工作物を新築し、改築し、又は増築すること。」

テントの設営は、"工作物の新築" にあたるのだろうか?

IMG_6202.jpg

ここは、伊豆妻良地区にある谷川浜。
今年、この浜でキャンプをしていた友人が「ここはキャンプ禁止ですよ」と注意された。
そもそも妻良地区では、カヤッカーは歓迎されていない。
玉虫色の空 〜南伊豆 妻良周辺〜

何が原因なのかなあ…と思い、その事を伊豆でシーカヤックのガイドをしている方に聞いてみた。

「妻良の谷川浜ってキャンプ禁止なんですか?」
「ん〜禁止ということはないと思うんですが、残念ながらあまり歓迎されていないのは確かですね。でも伊豆には谷川浜でなくても他にいい浜が沢山あるので、僕たちはあえて微妙な場所は使わないようにしています。」

たしかにおっしゃる通り。
でも、やっぱりほんとの事が知りたくて、環境省に問合せてみた。
そして今日、その返事が来た。

=====
平素より自然環境行政にご理解ご協力を頂き誠に有り難うございます。
このたびは環境省MOEメールを通じご質問を頂き有り難うございました。
回答が遅れまして大変申し訳ありませんでしたが、頂いたご質問に回答いたします。

妻良・谷川浜で通年キャンプを禁止する旨、環境省が漁協等に通達を出している訳ではありません。
しかし、自然公園法では、国立公園の特別地域内の工作物の新築は申請が必要な行為であり、テントを設置してキャンプすることは、厳密には仮工作物の設置として申請が必要な行為となっています。

伊豆半島の海岸は、大部分が富士箱根伊豆国立公園の特別地域に指定されています。
詳細は、国立公園のHPから公園計画図のPDFをダウンロードできますので、ご確認頂ければと思います。
http://www.env.go.jp/park/fujihakone/intro/index.html

また、静岡県の条例により、夏期、キャンプが禁止されている場所がありますので、合わせてご確認頂ければと思います。
https://www2.pref.shizuoka.jp/all/file_download2100.nsf/pages/D65F7F24918D0E1E492575D90017DCAD

キャンプ行為それ自体や、キャンプに伴うゴミ、騒音、たき火などについて地域の住民の方や漁業関係者が迷惑に感じている場合もありますので、伊豆の美しい海を地元の協力のもと後世に保全していくため、ご理解ご協力をお願い致します。
より詳細については、下田自然保護官事務所(電話:0558-22-9533)にご連絡を頂ければと思います。
=====

知りたかった事が書いてあった。
「テントを設置してキャンプすることは、厳密には仮工作物の設置として申請が必要な行為となっています。」
テントは "工作物"!

と、言うことは…
日本にある自然公園をカヤックで旅する場合、都度申請が必要という事になる。
はてさて、これを厳密に守ろうとすると、遠征する何日か前に環境省に申請を出し、その許可を得なければならない。
ちなみに下記のページによると、"許可が出るまでの期間は行為の内容によって異なりますが、概ね1〜3ヶ月位" と書いてある。
http://www.env.go.jp/park/apply/basic/index.html

ふむ…この運用では、実際にカヤックでツーリングしてキャンプするのは、はっきり言って不可能。
これを読んだ皆さんがこれからどうするかは、お任せしますが、私の行動は決まった。
キャンプ禁止期間はしっかり守り、ひっそりと、怒られない場所でキャンプします。