東伊豆のいちばん長い日 〜伊東から富戸〜

三連休は行楽日和。
ただし、連休初日は風が強く、次の日も場所によっては風が残りそうな感じで、海遊びとしてはなかなか難しい。
ルートが決まっていた伊豆キャンプツーリングは、残念ながら中止になってしまった。

日曜日は朝から町内会の用事があるので、何が何でも土曜日は遊びに行きたい!
ツーリング仲間も "何が何でも" な気持ちは同じだったようで、タケさん隊長の「大川の露天風呂に入りたい!」の一言で4名の参加がサクッと決定した。
そして、昨年暮れから仕事でがんじがらめになっていた "無風凪ぎ男" のイイダーもしんがりで参加が決定。
総勢5名が東伊豆、伊東のオレンジビーチに集合することになった。
メデタイ、メデタイ。
そして、ファルト組み3名は全員が電車でゴー!
なんと、紅一点のワンチャンも、細い体でパックカートを転がして伊東の駅までやって来た。
帰り道の一杯は、それほど魅力的らしい!
前夜車中泊と早朝4時出発のリジット組み2名は、ゴールの大川に集合し、1台をデポして来ている。

空は快晴。
この後、とんでもなく長い一日が始まることなど、誰一人想像していなかった。

伊東 オレンジビーチ

挨拶もそこそこに、さっそく下を向いてカヤックを組立てる参加メンバー。
タケさん、イイダー、ワンチャン、キッカーの皆さん、よろしくお願いします。

伊東 オレンジビーチ

伊東 オレンジビーチ(撮影:ワンチャン)

9時40分、こんな賑やかな出艇はめったにないであろう…という事で記念写真をパチリ。
顔が見えないので、それなにり凛々しく見えたりする。

ちなみに、デッキフラッグ装着は4艇。
既製品を使うのは自分だけで、あとは皆さん自作。
キッカーは、プリンのケースを土台にして、初期ロットから完成度の高い製品をリリースしてきた。
思ったより南風が強く吹く中にあっても微動だにせず、ガチっとした風格が感じられる。
それにひきかえ、便所スッポンを土台にした (すでに)7作目のイイダーフラッグは、南風にグラングランとたなびき、まるで「助けてくだされ〜」と誰かにすがっている様に見える。
ふむ…。

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浜でのブリーフィングを終え、タケさん隊長を先頭に、それぞれがカヤックを浮かべて出艇していく。
日中は終止南風が吹き、特に昼近くにもっとも強くなるとの予報があり、我々はその "南" に向かって南下していかなければならない。
昼飯は富戸の「ぼら納屋」の浜に上陸して済ませ、その後、八幡野の溶岩台地を見ながら漕ぎ抜け大川でゴールする。
見上げる様な断崖絶壁ではないけど、他ではなかなか見ることのできない海岸線を行くのは楽しい。

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イイダーと一緒に漕ぐのは去年のキャンプツーリング以来4ヶ月ぶり。
キャンプでアルコールが回った後の、この男とワンチャンの会話ほどくだらないものはない。
今回はキャンプじゃないので、それを肴に飲めないのがとても残念だ。

川奈 シーカヤック

川奈エリアに入り、バウが南を向き始めた。
海が輝いている。

川奈 シーカヤック川奈 シーカヤック

所々に川奈ゴルフコースのフェアウェイが見える海岸線を進んで行く。
風の影響はそれほど感じないけど、思ったよりもペースが上がらないようだ。

DSC02674.jpg(撮影:イイダー)

昼になり、予報どおり風が上がってきた。
筏を組み、行動食を食べながら休憩し状況を整理する。
富戸の上陸ポイントまではまだ5キロくらいある。
ペースが上がらないので、このまま大川まで漕ぎ抜けるのは海況的にも時間的にも無理と判断した。
ゴールは、昼飯を予定していた富戸の浜に変更。
スピードが出なくても、14時までには着けるだろう。

P3220038.jpg
DSC02694.jpg(撮影:イイダー)

そうと決まれば後は頑張るだけ。
しかし、カヤックが進まない。
向かい風はそれほどでもないのに、なぜか進まない。
向い潮?
ここで翌日もらったイイダーのメールを拝借。
「真横の釣り人を確認後、100回漕いで横を見ると、あ〜、まだ横にいるよ(ひえ〜) 後半は肩が痛くて遭難寸前。今、こうしてノンビリ朝食を食べられて、幸せじゃ」
まさにそんな感じで、漕いでも漕いでも横の景色が変わらない。

ほとんど同じ場所で悪戦苦闘していると、観光客を乗せた釣り船がやってきて声をかけられた。
「大丈夫かあ〜?」
「はい大丈夫です」
「船に乗せようかあ〜?」
その誘いにワンチャンが手を上げそうになるのを、すんでのところで押しとどめた。
釣り船が去った後でワンチャンの様子を聞くと、どうも左肩を痛めたらしい。
そういう状況の中を一人で漕ぎ続けるのは不安なはずなので、トゥーラインでカヤックを繋ぐことにした。
こうしておけば、一人残される不安もなくなるだろう。
ラインをワンチャンのコーミングに回しトゥーイング開始。
時々、ググっと重さを感じるけど、頑張って漕いでいるのがわかる。

富戸 シーカヤック富戸 シーカヤック(撮影:イイダー)

風は強弱なくコンスタントに吹き続けているので、亀の様なスピードしか出ない。
そんな中でも、なるべく風裏を探しながら漕いで行く。
富戸に近づくと、ダイナミックな海況の中で鳥山があった。
そして、ウミガメが丸い甲羅を見せながら海中に消えていく。

富戸 ぼら納屋 シーカヤック富戸 ぼら納屋 シーカヤック

ぼら納屋のあるゴロタ浜に上陸〜〜。
先に到着していたタケさん隊長が笑顔で迎えてくれた。
時計の針は16時を指している。
オレンジビーチからの距離は15キロ。
その距離を6時間、残り5キロを漕ぎきるのに4時間かかったって事だ。
みんな頑張ったあ〜〜!

富戸 ぼら納屋 シーカヤック

ぼら納屋の駐車場は有料(食事をすれば無料)なので、こんなに荷物を広げてしまうのは気が引けたけど、店のオバサンに声をかけたら笑顔で「どうぞ」と言ってもらえた。
じゃあ、店で温かい食事でも…と思ったら、店の人がのれんを片付け始めた。
残念ながら営業は16時でおしまい。

自分とワンチャンはゆうパックでカヤックを送り返してしまう予定にしていた。
集荷は大川温泉に16時過ぎ。
慌てて郵便局に電話をし、集荷場所をぼら納屋に変更した。
いつもいつも助かります。(ぺこり)
電車組みはクーラーに氷と一緒に入れて来たビールで、ようやく一息つけた。
ふ〜〜幸せ〜。

それにしても、今日は東伊豆のいちばん長い日だった。
じゃあ、西伊豆のいちばん長い日はいつ?
それは、ついこの前あった気がする。
ここをキャンプ地とする 伊豆1日目〜戸田から米崎〜

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