六角と八角

花金…
「花の金曜日」の略で、金曜日の晩に遊んで(飲み歩いて)楽しむことを意味する。これは週休二日制の導入により、土曜休日の企業が増えたことで、休日前の金曜の晩は遊びまわる風潮が出来たことから生まれた言葉である。ただし、バブル時代が終わるとともにサラリーマンにこうしたゆとりがなくなり、花金も死語となっていく。

日本語俗語辞書から抜粋してみたものの、「花金」という言葉は、既に死語となっているらしい。
しかし私のまわりでは、死語どころかず〜と「"超" 花金」を続けている強者がいる。
毎週金曜日に横浜 伊勢佐木町のスナックを皮切りに、藤沢界隈の店に移動し、土曜日の朝まで飲む友人"O"。
もう一度言うが "毎週" である。
この歳になると、徹夜なんかをした日にゃ2〜3日は後遺症が出てしまうのが普通なのに、友人"O"は違うようで、徹夜明け土曜日の昼にはすでに復活している…と言うから慣れと言うのは恐ろしい。


これは、とある10月24日の金曜日、とある横浜は野毛界隈でのお話。
この日は朝から「本日の打ち合わせ」という一見「仕事の話し?」と見紛うタイトルのメールが飛び交い、あっという間に5名の花金参加者が集まってしまった。
集合場所は野毛にある「大鵬」という居酒屋である。

北海道 六角 八角 18時から、ポツポツと参加者が集まってきたが、友人"O"と友人"K"は、風邪で喉がガラガラしていたり咳が出ている。
ふむ…その2人の向いに座っている私に、被害はないのだろうか?

登場した刺身の盛り合わせには、なんだかあまり見かけた事のない顔の方2名が上を向いて鎮座していた。
女将に聞くと「六角」と「八角」という魚で、どちらも北海道の漁師さんから取り寄せているらしい。
「八角」は見た事があっても、「六角」を見たのは全員初めて。

調べてみると、「八角」というのは正式には「トクビレ」という魚で、地方によっていろいろな名前で呼ばれている。
また、「六角」の正式名は「イヌゴチ」で「八角」の仲間。
見た目はムムム…だが、どちらも食べると美味い。
特に少し火で炙ってあった「八角」は、なかなかのもんだった。

野毛 大鵬 寄せ鍋 同時に出て来た寄せ鍋の具材はこんな感じ。
寄せ鍋だけに、なんともまあ数えきれないほど多くの具がてんこ盛りになっている。
こちらもカニ味噌からの出汁が絶妙でとっても美味しかった。

一軒目から、二合の熱燗徳利をじゃんじゃん空けて、最後は残った寄せ鍋の汁で雑炊を作って〆。
風邪っぴき2名は伊勢佐木町のスナックに消え、残った3名は近くのバーで飲み直した。


土曜日の朝、スマホの画面には一通のメールが入っていた。
「今夜はそろそろ帰ります!!」
風邪っぴき1号の友人"O"は、珍しく午前3時にお開きにしたらしい。
ふむ…よっぽど具合が悪いようだ。