愚かな方策

首相官邸にはWebサイトがある。
http://www.kantei.go.jp/

現在のトップニュースは「一億総活躍国民会議」。
11月26日に首相官邸で第3回一億総活躍国民会議が開催されたらしく、主旨は『子育てや社会保障の基盤を強化し、それが経済を強くするという「成長と分配の好循環」を構築したい』ということらしい。

同じく首相官邸のWebサイトの中には、教育改革国民会議のページがある。
教育改革国民会議とは2000年に内閣総理大臣が私的に設置した諮問機関で、文字通り教育のあり方について検討していた。
そして、その時の議事録は下記のページからアクセスできる。
http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/

当然、ほとんどのページは2000年に作成されている。
しかし、下記のページだけは、なぜか2015年7月14日に更新されていた。
http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/1bunkakai/dai4/1-4siryou1.html

僕は、このページを見てビックリしてしまった。
- 団地、マンション等に「床の間」を作る
- 敬語を使う時間を作る
- 遠足でバスを使わせない、お寺で3〜5時間座らせる等の「我慢の教育」をする
- 学校に畳の部屋を作る
- 学校に教育機関としてのシンボルを設ける
- 通学合宿の実施
- 満18歳で全ての国民に1年ないし2年間の奉仕活動を義務づける
- 名刺に信念を書くなど、大人一人一人が座右の銘、信念を明示する 
- 子どもを厳しく「飼い馴らす」必要があることを国民にアピールして覚悟してもらう
- 「ここで時代が変わった」「変わらないと日本が滅びる」というようなことをアナウンスし、ショック療法を行う
- 家庭教育について対話できる土壌をつくるため、企業やテレビと協力して古来の諺などを呼びかける
- 子育てにおいて必要な事項を決めた育児憲章を作る
- 家庭教育手帳の年度毎の更新、配布
- 出産後の親業教育の義務化
- バーチャル・リアリティは悪であるということをハッキリと言う
- 他の子どもの学習する権利を妨げる子どもを排除する権限と義務を学校に付与する
- 部活などが体験学習の妨げにならないよう、曜日時間を限定する
- 教育基本法を改正を提起し、従来の惰性的気風を打ち破るための社会的ショック療法とする
- マスコミと協力したキャンペーンを行う
- 改革を受け入れる基本的土壌をつくる

これは、ある種の洗脳教育であり、変わらないと日本が滅びるショック療法やマスコミと協力したキャンペーンなどの方策については、すでに安倍晋三が実施している。
たぶん「日本素晴らしい」的な番組は、国がお金を出し、テレビ局に作らせているのだろう。

そして、僕がもっとも嫌悪感を感じるのは『子どもを厳しく「飼い馴らす」必要があることを国民にアピールして覚悟してもらう』という一文だ。
これは、2000年9月6日に行なわれた「教育改革国民会議第1分科会(第6回)」で、山折哲雄が発言した下記の提言が採用されている。
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【山折委員】学校のそもそもの本質的機能は何かというと、かつては強制的な機能ですね。“飼い馴らし”“訓練し”“叩き直す”という、強制的な機能は学校の本質的な機能だったと思います。それが特に戦後教育においては、その部分がほとんど消されてしまったという問題がありますので、これは世論の反発はすごくあるだろうと思いますけれども、学校の基本的な機能にそういう機能があるんだということをアピールするということは、今の時点で必要だと私は思います。
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http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/1bunkakai/dai6/1-6gijiroku.html

要は、戦前の教育を復活させろという意味だ。
明らかに子ども達をバカにした考え方で、僕はまったく賛同できない。
僕の考える教育とは違う。
日本の教育