東京を漕ぐ 〜江東運河からスカイツリー〜

キッカーから花見カヤックのお誘いがあった。
場所は、東京都江東区と墨田区を流れる川と運河を漕ぎ、スカイツリーを見に行く…という超定番コース。
ちなみに、私もキッカーもスカイツリーには全く興味が無く、汚い(と思われる)東京の運河を漕ぐなんて事にも興味が無い。
あえて興味があるとすれば、大横川と横十間川を繋ぐミニパナマ運河の扇橋閘門(おうぎばしこうもん)がどんなものなのか…って事くらい。

確かに、桜の時期が近づく度に、カヤックから桜を見上げる気分はどうなのかなぁ〜という気持ちではいた。
横浜でお花見カヤックといえば大岡川が定番。しかし、大岡川はたくさんの人が見物に訪れるので目立つようなことはしたくない。
東京の運河については、数年前に “徒歩” でコースの下見をしたことがある。
どこからカヤックを出せるんだろ?どこで途中上陸できるんだろ?船舶の往来はどうなんだろ?…などを下見して「ん〜あまり楽しくなさそう」ってのが、その時の感想だった。

小松川公園 カヌー4月9日 土曜日。
海は風が強くて漕げそうも無く、天気も大丈夫、娘から車を借りることもできた…ってことで、初めての運河花見ツーリングに参加させてもらうことにした。
小松川公園の駐車場に車を停め出艇場所に行ってみると、すでにキッカーがカヤックを組み立て終わっていた。相変わらず行動が早い!

小松川公園 カヌー私は駐車場でカヤックを組み立て、担いで川辺に運んだ。駐車場は道路の反対側なので、とっても近い。
私たち以外では、カーボンウィスパーのソロ男性と、パドルクエストのツアーの人達がいる。
パドルクエスのガイドさん曰く、川辺の桜は他よりも少し開花が遅いらしく、桜はまだ十分に楽しめるとの事。最近の週末は、風があったり天候の悪い日が多かったので、今日は絶好の花見日和らしい。

旧中川東京に初めて浮かんだ。
気になる水質は、なんだかドヨ〜ンとしていてイマイチ。手を水につけないように漕いで行く。
ルートは旧中川から小名木川に入り、そのまま扇橋閘門でミニパナマ運河を体験して大横川に抜ける時計回り。隅田川まで出るかどうかはその時の気分で決める事にした。
途中クローバー橋で上陸できるみたいだけど、どうなってるかわからないので20キロ無上陸を覚悟している。

小名木川小名木川に入る。
航路が、延々とまっすぐ続いていて少しゲンナリするものの、水質は格段に良くなり、これなら手や顔に水がかかっても、それほど気にならない。
先に出発していたパドルクエストのツアーに追いつき、ガイドさんと並走しながら進む。
ガイドさんは最近、海を漕いでいないらしく、以前所有していたカフナを手放してしまった事を後悔していた。

扇橋閘門扇橋閘門扇橋閘門には、こちらが先に到着。
ツアーの人達の到着を待ってゲートが閉まると、水位がグングン上がり、アっと言う間に2メートル近くも上がってしまった。
これはスゴイ!
ツアーの人達と一緒になって「まるで遊園地のアトラクションみたいですねぇ」などと話しながら楽しんだ。

大横川大横川扇橋閘門を抜け、最初の”4つ角”を左に曲がって大横川(おおよこがわ)に入る。
都心を流れる運河だけに橋が多い。

平久川それから次の”三叉路”(左は堰があって行けない)を右に曲がって仙台堀川(せんだいぼりがわ)に入り、次の”三叉路”を左に曲がると平久川(へいきゅうがわ)。そして、首都高速9号深川線の下をくぐると、この場所に出た。
運河を行くには、地図やGPSが必須である。
目の前の橋をくぐり大横川に入ると「お江戸深川さくらまつり」の動力船や手漕ぎの和船が行き来していて、花見気分が盛り上がってきた。

大横川 花見 カヌー橋の上には祭りのテントが並び、人出も多い。黒船橋の先にある和船乗り場では、邪魔にならないように大きく左に迂回して通過した。
そして、Googleのスリートビューでは、なんと”運河の上”を進むことができる。
https://www.google.co.jp/maps/@35.6806097,139.8110647,16z

大島川西支川隅田川に出る少し手前を右折し、大島川西支川に入った。
東京の”路地”をカヤックで行くのは面白い。

仙台堀川仙台堀川突き当たりを右に曲がった所で船上休憩。
桜吹雪の中をゆったりと流されながら、ノンアルコールの缶ビールと豆大福で一息ついた。
ちなみに、カヤックツアーはこんな遠くまではやって来ない。

扇橋閘門休憩して元気が出たところで小名木川まで戻り、もう一度扇橋閘門を通過する。
扉の前まで来ると、スピーカーから声が聞こえた。
「他に仲間の方はいますか?」
「いませ〜ん」と身振りで返事する。
「少しお待ち下さい。」
我々二人だけの為に、パナマ運河を開けてくれるなんて…なんとなく申し訳ない。
ちなみに、扉が上がった後は、結構たくさんの水が滴り落ちてくるので、帽子やフード付きのジャケットは必須である。

クローバー橋話に聞いていたクローバー橋付近の上陸ポイントはこんな感じで、決して楽に上陸できる場所ではない。
ここに上陸した人は、カヤックが流されないよう岸に縛り付けておく。

横十間川追い風に乗って横十間川(よこじっけんがわ)を進む。
横十間という名前は、川幅が十間(18メートル)あったことからついた。
江東区と墨田区はこの川を境にしているので、川の右側を進む我々は江東区にいる。

北十間川 スカイツリー北十間川 スカイツリー突き当たりを東西に流れる川が北十間川(きたじっけんがわ)。
そこを左に曲がると墨田区になり、正面にスカイツリーがある。
二人ともスカイツリーには全く興味ないけど、いちおう運河ツーリングのノルマとして真下まで行ってみることにした。

北十間川 スカイツリー北十間川 ソラマチ真下まで来たので、"とりあえず" 見上げてみる。
この辺りは夜にライトアップされ、川から噴水が吹き上がるらしい。ふむ…ますます興味なし!
Uターン。

北十間川北十間川北十間川を旧中川に向かって漕いで行くと、川岸が整備されていないエリアがあった。
葦が生え、日差しを浴びようとした木が横に張り出したりしていて、今回のツーリングの中では最も癒される場所だった。

P4090128.jpg旧中川に入り、後は出発地点に戻っておしまい。
年配のオジサン達がボートの練習をしていたり、川岸では家族連れがビニールシートを広げてピクニックしていた。
今日我々が漕いだ川や運河には、所々に「手こぎ優先」の標識が立っていてる。
このマークの意味はエンジン付きの船に対する注意で「手こぎの舟が優先だから波を立てないように通ってね」という意味だ。
最近は三浦でも伊豆でもカヌーが肩身の狭い思いをする事が多いけど、意外にも都心では水辺で遊ぶ人達に優しい。

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