2017年ノーベル平和賞 -核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)-

ican.jpg「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が2017年のノーベル平和賞に選ばれた。
http://www.icanw.org/action/nobel-peace-prize-2017-2/

ICANは、世界100ケ国の非政府組織の連合で、地球上から全ての核兵器を無くす為に中心的な役割を担っている。
そして今年の7月、122ケ国の賛成により「核兵器禁止条約」が国連で採択された。
ノーベル平和賞は、このICANの平和への取り組みを讃えるものであり、ICANを選んだノーベル委員会の見識も素晴らしい。

しかし、この122の国の中に、現在核を保有している9ヶ国(米国、英国、フランス、ロシア、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエル)は入っていない。
それどころか、唯一の核被爆国である日本も交渉や投票に参加しなかった。

ICANは、ノーベル平和賞受賞に対するステートメントで、下記のように発言している。
「It is a tribute also to the survivors of the atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki – the hibakusha – and victims of nuclear test explosions around the world, whose searing testimonies and unstinting advocacy were instrumental in securing this landmark agreement.」
簡単に要約するすると、
「広島と長崎の原爆被爆者の証言は、この画期的な条約を合意する為に重要であった。」
と。

そして、条約の交渉に参加すらしなかった日本政府の言い分はこんな感じ。
「核兵器禁止条約には実効性がなく、核兵器保有国の参加がなければ意味がない。核軍縮に向けて着実に動く努力を進めていくことが、将来の核のない世界への近道である。」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaiken4_000417.html
もっともそうな理由を並べてはいるものの、早い話「アメリカ様には逆らいません。」と言うこと。

ノーベル委員会は、核兵器のない世界が実現するには、核保有国もこの条約の中に入ることが必要だとしている。
もっともだと思う。
日本政府は核軍縮を一歩一歩進め、核兵器不拡散条約(NPT)を運用していくと言っているけど、NPTですら全ての核保有国が参加している訳ではない。
そして、米ソの冷戦終結後も各国の思惑が交差し、一向に核廃絶の先が見えない。
そうこうしているうちに、北朝鮮の問題が大きくなり、お子ちゃま大統領は核兵器の使用をチラつかせて北朝鮮を脅し、日本のお子ちゃま総理大臣は現時点の当事者でもないのに、米国ヨイショに明け暮れ、この時とばかりに高額な兵器を米国から買う約束までしている。

本来「核兵器禁止条約」は日本が中心となって進めていく価値のある条約だと思う。
この大義の為には、米国追従の外交を根本から改め、核保有国と非保有国の間をとりもつ天命があると思う。
世界広しと言えども、核の被爆国は日本だけなのだから。


(あとがき:2017-10-8)
横浜市長宛に、1通のメールを送った。
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横浜市長 様

核兵器の廃絶を目指して活動し核兵器禁止条約が採択に貢献した国際NGO、「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が2017年ノーベル平和賞を受賞されましたこと、心からお慶び申し上げます。
これは、平和首相会議に加盟している横浜市、そして横浜市民にとっても嬉しいニュースです。

ICANの構成団体の一つである、平和首長会議に加盟する首長として、日頃から世界の都市が緊密な連携を築き、核兵器廃絶の市民意識を国際的な規模で喚起し、核兵器廃絶を実現させるとともに、人類の共存を脅かす飢餓、貧困、難民、人権などの諸問題の解決、さらには環境保護のために努力することによって世界恒久平和の実現に寄与することを目的達成のためにご尽力下さり心から感謝と敬意を表します。
しかしながら、皆様のご努力とは反対に、日本政府や核保有国が参加していません。
是非ともノーベル平和賞受賞を追い風にして、日本政府とすべての国が核兵器禁止条約に参加を求める声を横浜市から大きくしてくださいますようお願い申し上げます。
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