先輩達へ望むこと

アウトドアの先輩達には、年齢を問わず本やブログから様々な助言をもらっている。
多くの場合、彼らの助言や戒めは、一つ一つがもっともな事であり、私自身、少しでも先輩達の領域に近づきたいと思っている。
しかし、その領域と自分の経験や実力には大きな隔たりがあるのも事実で、たぶんそれは一生かけても埋まらないだろう。
これは諦めではなく、事実である。
なぜなら、何かスポーツや遊びをやる場合、ゴールは人それぞれで違っていて、プロや達人を目指す人もいるだろうし、私のように人生における楽しみの一つ…と思っている人間もいる。
もちろんどんな遊びでも、"上手"になった方が楽しめるのは事実だけど、人それぞれゴールが違うように、楽しいと感じるレベルも違うものだ。

しかし、時々外遊びのプロ達が、彼らの価値観と違う遊び方や行動をしている人に対して「そんな考えなら外で遊ぶ資格はない」みたいな発言をしている時がある。
そのような価値観の人からすると、私のような者は「家でテレビでも見ていなさい」というレベルらしい。
はてさて、テレビ嫌いの私は、じっと家でテレビを見ていなければならないんだろうか?…
私はそういう発言を目にするとなんだか悲しい。
もちろん悲しくなるのは自分自身に対してではなく、彼らの許容する価値観があまりにも狭すぎる事に対してだ。
体が弱くても外にいるのが好きな人もいるし、虫が苦手でも自然が好き…という人もいる。
向上心や精神論ばかりの外遊びはつまらない。
ボールは転がしてもいいし、投げてもいい。もちろん少し空気を抜いて腰掛けにしてもいいのである。
もちろん、こと安全性の確保について言えば、どんな遊びでも最低限の安全を確保しなければならない。
しかし、確保しなければならない安全の程度は、その遊びの深さに比例する。
世の中にはいろんな人がいる。
いろんな楽しみ方がある。

野田知佑さんの文章がたくさんの人の心を動かしたのは、彼が淡々と自分が遊んできた様子を語ってくれたからだ。
知床でアドベンチャーツアのーガイドをしている新谷暁生さんは、カヤック初心者でも連れて行く。
それはカヤックを教える為ではなく、チームでの冒険を経験してもらうのが目的だ。
アウトドアの先輩達にお願いです。我々の様な軟弱者の事など放っておいて、ただただ単純に「こんな楽しみ方があるよ」と私達を刺激し続けて下さい。

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