セニョールとキャンプ 〜諸磯〜
かれこれ半年くらいキャンプをしていない。
冬だったことを差し引いたとしても、ちょっと長いブランクである…と思い立って、金曜日だけど午後からキャンプに行くことにした。
カヤックは無し。
その代わり、これまたしばらく行っていない三崎の居酒屋の暖簾を開店と同時にくぐり、キンキンに冷えたジョッキで生ビールをやる!!
居酒屋の暖簾を開店と同時にくぐるには、クワーズMISAKIを16:45には出なければならない。
逆算に逆算を重ね、出発時間を決定。
午前中は仕事をするつもりで「午後に出発」と決めていたものの、どうしても "焚き火でホルモン" がやりたくなった。
ちょうど事務所の近くに業務用のお肉屋さんがあるので、そこで豚のホルモンを仕入れ、事務所で下ごしらえなどをしていたら、仕事どころではなくなってしまった。
結局少しだけ仕事をしてから出発。
三浦海岸のマーケットで食材を買い出し、諸磯に行く道すがらサザエを仕入れた。
完璧である。
"余裕を持って" クワーズMISAKIを出発。
Googleさんに道案内を頼んだら、「すなっく セニョール」という素晴らしいネーミングの店の横を通る素敵な道を案内された。
それも、"スナック" ではなく "すなっく" なのが、輪をかけて素晴らしい。
開店10分前に店の前に着くと、すでに暖簾がかかっている。
これは!! と思い、ガラガラっと引き戸を開けて、中にいるオヤジさんに声をかけた。
「暖簾がかかっていたので開けちゃいました。もう入ってもいいですか?」
「いいよ〜」
当然一番乗り。そして当然キンキン生ビールである。
その後、正規の "開店時間" が過ぎると、続々とお客さんが来店し、あっという間に満席。
それぞれのお客さんの注文の仕方や飲み方を横目で見ていると面白い。
ある一人飲みの女性は、砂肝大好き人間。
ある一人飲みの男性は、大量のやきとりをお皿に乗せておきたい人間。
かくいう私は、半袖の季節になっても熱燗を頼んでいる人間…人それぞれである。
サクッと居酒屋飲みを終わらせ、キャンプ地までは歩いて帰る。
途中、二町谷(ふたまちや)まで来ると、北原白秋文学コースの案内板があった。
「寂しさに 浜へ出てみれば波ばかり うねりくねれり あきらめきれず」
という詩は、白秋が死にたい思いでこの辺りを徘徊していた時のものだという。
以前調べた時は、「俊子と結婚して三崎に移り住んだ。」と書いた。
しかし、二人で住んでいたならこのような詩はできなかったように思う。
二町谷では、こんな詩も読んでいる。
「寂しさに 男三人浜に出で 三人そろうて あきらめられず」
どちらも "寂しさに" で始まっているので、確かに傷心の日々を過ごしていたような感じだ。
ところが、三崎真福寺で読んだ詩は、
「日だまりに 光りゆらめく黄薔薇(くわうしようび) ゆすり動かして ゐる鳥のあり」
というもので、穏やかな心で落ち着いている様子が感じられる。
白秋が三崎の街に住んでいたのはわずか6ヶ月。
傷ついて三崎の街に移り住んだ白秋が、時間とともに傷が癒されていったのだろう。
キャンプ地では、まずテントを張り、寝床を確保してから火を起こした。
ダイソーの300円スキットルで作った "焚き火でホルモン" は、予想した通り酒が進む。
すると、22時近くになって到着したカップルが、大きなテントを立て始めた。
「遅い到着でしたねぇ?」
「はい、都内で仕事が終わってから来ました。」
行動的でとてもいい。
焚き火の残り火を見送り、日が変わって1時間半が過ぎたところで寝床に潜り込んだ。