アメリカ産牛肉問題

2020年1月1日、日米貿易協定が発効された。
私はほとんどテレビを見ないので、このニュースが大々的に取り上げられたかどうかわからないが、これは2018年12月に発効した「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)」、2019年2月に発効した「日欧経済連携協定(EPA)」に続く大型の経済協定である。
日米貿易協定の話を進めるには、まずTPPとEPAのことをおさらいしなければならない。

TPPとは、環太平洋の各国が署名した経済連携協定のことで、農林水産物と工業製品の関税撤廃ほか、サービス、エネルギー、医療、金融、保険など多くの分野で自由化を目指してる。

TPP-jimin2011.jpgTPPは、民主党が政権を担っていた2010年に話題に上がり、交渉に参加するか否かが検討されたが、結果的に見送られていた。
その時野党だった自民党は、「TPP断固反対」をスローガンに選挙を戦い、与党に返り咲いた。
その後、「TPP断固反対」のスローガンを無視した自民党がTPP交渉に参加することを決定。
2013年3月に安倍晋三が記者会見で表明し、2016年1月にオーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,日本,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,ペルー,シンガポール,ベトナム、アメリカの12ヶ国が条文に署名した。

TPP-abe2017.jpgその後アメリカ大統領に就任したトランプがTPPから離脱。
2017年11月に、アメリカを除く11ヶ国で大筋合意されたことを安倍晋三が発表した。
しかし、TPPにはISDS条項を含め多くの問題がある。
国の舵取り次第では、多くの国益を損なう可能性があり、バカな政府を持つ国は命取りになる。
日本協同組合新聞「ついに米国もISDS否定〜世界に取り残された、哀れな日本」

次はEPA。
EPAとは、TPPと同じく関税の撤廃や引き下げに加え、投資や知的財産権の保護やルールの共通化を取り決めている。
相手は、2020年2月にEUを離脱したイギリスを除く27カ国。
日本では、主に食品の関税削減が実施され、ワインが安くなったなどとニュースで報道されていた。
知的財産権の保護については、簡単に言うと、日本の製品に欧州の地名や産地が付いた名称を使ってはいけない…ということである。
TPPと違い、こちらについてはあまりデメリットが伝わってきていない。

そして、いよいよ日米貿易協定である。
この協定は、自動車の追加関税をチラつかせたアメリカに対し、それを回避する代わりに農畜産物の輸入で大幅に譲歩した「日本一人負け協定」である。
特にアメリカ産の牛肉関税が大幅に削減され、これまでの38.5%から9%になった。
そればかりか、低関税が適用されるセーフガードがアメリカ産牛肉に対して独自に取り決められ、2020年は24.2万トン、それ以降段階的に引き上げられ2033年は29.3トンになる。
日本で流通する牛肉の6割は輸入牛肉で、これまではオーストラリア産とアメリカ産で9割りを占めていた。
アメリカ産の総輸入量は新たに設定されたセーフガードよりも少ない為、今後アメリカは、セーフガードによる不利益を被らず、国内には安いアメリカ産牛肉がたくさん流通する…という構図だ。
しかし、安く牛肉が食べられるんだからいいんじゃない?…と思ってはいけない。
アメリカ産牛肉には大きな問題があるからだ。

実は、EUはアメリカ産牛肉の輸入を7年前から禁止している。
なぜかというと、アメリカ産牛肉のほとんどが「肥育ホルモン剤」という成長を促す女性ホルモンを投与され育てられたものであり、その安全性を検証できないからだ。
実際、輸入禁止後は乳がんによる死亡が大幅に減っている。
また、アメリカ国内でも自国産牛肉の安全性に疑問が持たれ、消費が激減している。
そんな、世界中で敬遠されているアメリカの牛肉が日本にガンガン入ってくるってわけだ。

最近の私は、今まで以上に健康に気をつけるようになっており、タンパク質摂取の為、なるべく肉を食べるようにしている。
しかし、街にあるリーズナブルなステーキ屋は、まず間違いなくアメリカ産の牛肉を使っているだろう。
仕方がないので、マーケットでアメリカ産以外の牛肉を選び、自分で焼いて食べている。
はっきり言って、トランプのポチである安倍晋三は国民の安全などこれっぽっちも考えていない。
それは、今社会問題になっている新型コロナウィルスでも同じ。
バカな政府を持った国民は苦労するのである。

Business Journal「国内使用禁止の“発がん”成長ホルモン注入の米国産牛肉、安倍政権が実質“輸入無制限”へ」
東洋経済「米国産牛肉、「肥育ホルモン」の衝撃的な実態」

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