天丼とスコッチ

毎週金曜日は美味しい食とお酒をやりに、街へ繰り出すことにしている。
コロナ騒動の終わりが見えない今は、知らない人との距離が10センチになる立ち飲みにはまだ行けないけど、今日も雨予報の中、野毛に繰り出すことにした。

野毛は元々おじさん達のテーマパークの様な街だったけど、若者向けの飲み屋が増えたせいか、今では昼間から若い人達が集まる街に変わっている。
しかし、残念ながら一部の若者達の飲み方やマナーはチェーン店で飲んでいるままのように見える。
せっかく野毛には幅広い世代の人が集まるのだから、まるで自分達しかいないかのように大声を出して騒がなくても、楽しく飲むことができますよ。
それと、最初に言ったようにコロナ騒動はまだ終わっていないので、お互いにいろいろな意味でもう少し我慢しましょう。

IMG_3589.jpg1軒目は、小料理屋さん。
この店には時々来るけど、昔食べた天丼の味が忘れられない。
3週間前に来た時、飲み終わり間際に店主と話しをした。
「昔食べた天丼が忘れられないんですが、天丼っていつでも作ってもらえるんですか?」
「そお? 食べ物屋なのでいつでも作りますよ〜」
そして今日、テーブルに着くと同時に先に言っておいた。
「今日は三品くらい出してもらった後で天丼をお願いします。」

IMG_3590.jpgそして、十数年ぶりの天丼。
小ぶりな丼に、何種類もの天ぷらがのっていて、やっぱりバカうまである。

この数日後、NHKオンデマンドで観ている朝ドラ「なつぞら」でこんなシーンがあった。
主人公のなつが手がけたアニメーションがきっかけで、終戦後消息がわからなくなっていた妹がなつの勤めるスタジオに訪ねて来て今の居場所を告げる。
妹は料理人となり、神楽坂で、結婚した家の小料理屋を任されていた。
ただ、妹はある事情で浮浪児だった事を隠しているので、お客として店に来て欲しいという。
そして数日後、なつとお兄さん夫婦たちは、その店を訪ねた。
十数年ぶりに再会した妹から注文を聞かれたお兄さんは、料理は任せるが最後に天丼が食べたいと言う。
そして、丁寧に作られたいくつかの料理の最後に、小ぶりの丼に入った天丼が出された。
天丼を食べたお兄さんは、その味が戦争で亡くなった父親が作ってくれた天丼の味そのものだと言う。
その天丼は妹さんに料理を教えてくれた親方から受け継いだものだったけど、その親方は昔、料理人だった兄弟の両親がやっている店で修行をしていた。
なので、妹の作る天丼は兄弟の両親が作ってくれた天丼そのものだった…と言う話。

IMG_3591.jpg2軒目はバル。
お客さんは自分一人。
女将さんは、ペットボトルを振りながら炭酸水を作っている。
ワインと一緒に注文したレタスと生ハムは、こんな感じで丁寧に巻かれて出てきた。
「こんなに手間がかかってこの値段は安すぎでしょ?」
「いいのいいの、せっかく来てもらったんだからサービス」

相変わらず炭酸水を作り続けている女将さんから、近くにいいバーがあると聞いたので、行ってみることにした。

IMG_3605.jpgそのバーはいつも目の前を通っている建物の中にあった。
お客さんはカウンターの奥に一人。自分は入り口の辺りに座り、まずはマティニを注文。
素晴らしく丁寧な仕事で出てきた絶品マティニを飲み終わる頃、その店がスコッチに力を入れているバーだとマスターから聞いた。
そして、コニャックグラスに注がれたマスターお勧めのシングルカスクのハイランドスコッチを頂く。
絶品!!
今日は、美味しいものを沢山いただきました。