潮汐・潮流の話

2年前にこんな事を思っていた。
潮汐を考える

潮汐については、わからない事がいっぱい。
そして、潮汐で起こる潮流については、もっとわからない。
そこで、少しでも知りたいと思い、こんな本を買ってみた。

IMG_9222.jpg この本のキャッチコピーは「〜科学者になりたい少年・少女のために〜」。
目次を見ると、「フーリエ級数」とか「動力学的潮汐論」とか「潮汐残差流」などという難しそうな文字が並んでいる。
自分はとうの昔に少年ではなくなっているし、科学者も目指していないけど…、まあいいですかね。


さて、いきなり問題です。
下の地図を見てください。

map_20150131.jpg 「A」は徳島(小松島)の辺り。
「B」は引田の辺り。
この2つの場所は、地理的にとっても近い場所にありますが、干潮・満潮の時間はどれくらい違うでしょうか?

場所が場所だけに、"な〜んだ簡単じゃん" って思った人もいるかもしれないけど…
感覚的には、地理的に近ければ干潮・満潮の時間だけでなく、潮位もだいたい同じなんじゃないかと思ってしまう。

正解発表の前に、本日(2015-1-31)の潮汐表をどうぞ。

3604_20150131.gif 3701_20150131.gif なんと、小松島の干潮時間10時に対して、引田は満潮になっている。
具体的な潮位は、小松島が85cmで引田が150cm、その差は65センチ。
これが春先の大潮の時になると1m50cmくらいの差になり、その時は鳴門海峡で11ノット(20キロ)の潮流が発生する。
川以上!

また、日本海側は干満差が少ないというのは、一度でも日本海側を漕いだ事がある人はなんとなく実感していると思うけど、対馬の北東に「無潮点」という場所があるのは、この本を読むまで知らなかった。
その場所では、まったく海面が上下しない。
ふむ…潮汐・潮流をつきつめて行くと、地球規模の話しになってしまうようだ。


知らない場所を漕ぐ時でも、潮汐の情報はわかる。
だけど、潮流の情報は海図を見ないとわからないし、全てが載っているわけじゃない。
こればっかりは現地の漁師さんに聞くのが一番かもしれない。
海上保安庁の潮流推算


ちなみに、この本を書いた柳哲雄さんという方は、山口県生まれで小学校1年生の時から潮汐・潮流の研究をし、その分野の科学者になった。
1997年から2014年まで九州大学応用力学研究所の教授を務め、日本の海を守るために「里海」という取り組みをしている。
海辺に住む人たちと

そして、この取り組みは環境省も進めている。
里海ネット

いま東北で進められている無謀な「巨大防潮堤計画」とは相反するものに思えるけど、役人の本音はどっちなんだろう?