のど飴と芋焼酎 〜三戸浜から逗子〜

ここ最近、カヤックで遊ぶ時は、何かしら「テーマ」が欲しかった。
テーマと言っても、そんなに大袈裟な事ではなくて、「ソロ」だとか「○○でキャンプ」とか「みんなと一緒」とか何でもいい。
何もテーマが無く、ただ海に行って、カヤックを組立て、日帰りで帰ってくるだけ…というのは気分が乗らなくなっている。

そして、今日はテーマが無い日。
天気のいい日に一日家にいるとかえって体が疲れてしまうので漕ぎに行こうか…という程度の気持ちなので、当日目が覚めても行かない理由を探している。
困ったものである。


そんなこんなでいつもより家を出るのが遅くなり、三戸浜に着いたのは9時になってしまった。
予報では15時を過ぎると曇り空になるようなので、カヤックが乾かないまま撤収になる可能性90%。

P2070002.jpg 三戸浜では、今日もカヌークラブの集まりがあるようで、駐車場はすでに沢山の車が停まっていた。
皆さんの邪魔にならないように、駐車場の隅っこでコソコソと組立てを開始。
ほぼ準備が整って、カヤックを運ぼうとしてる時に、カヌークラブの女性会員から声をかけられた。

「出艇前に飴でもど〜ぞ」
「あっ、僕はクラブの者じゃないので(^^;」
「いいんですよ、みんな仲間ですから」

そう言って、"ビタミンCのど飴" を一つくれた。

P2070003.jpg カヌークラブの面々は、記念の集合写真を撮ったあと、次々に海に浮かんで行く。
きっと城ケ島まで行くんだろう。

P2070004.jpg さて、こちらも出艇。
今日も逗子までのワンウェイなので、デッキに旗を立てていく。

P2070008.jpg 黒崎の鼻を通過中。
北東風が抜けてきて海面がざわついているけど、基本的には凪なのでデッキは濡れない。
一日中波を被り続けた先日の伊豆とは大違いだ。

P2070011.jpg 沖にできた鳥山で大騒ぎしていた鳥達がいっせいに飛び立ち、群れの形を変えながら周囲を飛び回っていた。
こういうエンターテインメントはいつ見てもワクワクする。

P2070014.jpg いつもの小田和湾。
風にも波にもやられる事なく、快調に横断していく。
青空が出て晴れている時はカヤックのデッキも輝き、ポカポカで暖かい。

P2070020.jpg雲が空を被い、陽が陰るとこんな感じ。
この後、久留和沖辺りで、上空にレンズ雲の様な帯が広がり、音が無い怪しい雰囲気が漂った。
風が上がる予報は出ていないけど、もしもの時を想定して少しだけ岸の近くによる。
以前こんな事があった。
風を見た日 〜葉山周辺〜

P2070021.jpg 尾ガ島。
ベタ凪ぎ。

長者の裏は先客があったので、池側に上陸して昼飯にする。
いつもカヤックやSUPなど沢山の人達が上陸して休憩しているイメージがあったのに、浜には持ち主のいないサーフカヤックが1艇だけ。
後からSUPの人が一人上陸して来たけど、ほどなくいなくなってしまった。
池には誰も浮いていない。
ふむ…今日は日差しの量が足りないのか人が少ない。

普段の行いが良いので、上陸すると陽が射して暖かくなってきた。
ここぞとばかり、逗子で飲もう思っていたビールの栓を開ける。

P2070024.jpg 1時間ほど休憩して干潮の長者を離脱。
まったく波が無い海が続いている。

P2070028.jpg べた凪なので、葉山灯台の脇を通る。
真っ白いイメージがあったけど、けっこう塗装が剥げてしまっている。

逗子海岸 逗子海岸 逗子海岸に上陸。まだ14時半なのに、すでに夕暮れの雰囲気。
それほど寒くはない。
渚橋の辺りにいたウィンドサーフィンの人達がいっせいに海に出てきた。なぜか全員同じセール。

いつもの場所にカヤックを運び、着替えをしていると若い男性に声をかけられた。
その男性は釣りや家族と遊ぶ為にシットオンを持っているけど、フォールディングカヤックも欲しいらしい。
話しを聞いていると、リジットもいいなあ〜と言っている。

「カヤックは他にもあるんですか?」
「僕はこれだけ。いろんなカヤックを使い分けられれば楽しそうですね。」
「釣りとかはやらないんですか?」
「荷物が増えるのでやってないです。でも面白そうですよね。」

「芋焼酎があるんですが、飲みませんか?」
「はい。頂きます!」

男性は、自分で作った焚火台を持参してお湯を湧かし、焼酎をお湯割りで飲んでいた。

「お湯どおぞ。」
「芋はお湯で割らないのでこのままストレートで大丈夫です。」

こうやって恵んでもらったお酒を楽しめるのも、車を使わずに移動するフォールディングカヤッカーの特権。

IMG_9310.jpg 砂浜に座り、1時間ほど話しをした。
そして、人生を楽しんでいるその男性は、自分がカヤックを撤収している間に寝てしまった。

逗子海岸 夕陽 逗子海岸 夕陽 17時。
思いがけず神秘的な夕陽を見ることができた。
もし、海岸で "芋焼酎の男性" と出会わなければ、とっくにこの場を離れ、こんな夕陽は見れなかっただろう。
テーマが無くても海に来れば何かがある。

雨が降ってきた。
どうも普段の行いが良くなかったらしい。

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