不安の中の全員集合 南伊豆1日目〜下田から富戸の浜〜

あと2週間で2016年になっちゃうよっ!っていう12月の19-20日、やっと二日続けて海況が良さそうな週末がやってきた。
目指すは南伊豆、入間と吉田の間にある「富戸の浜」である。
仕事や用事が無い3名と、用事をごまかした1名の計4名が集結することになった。

参加する4名のうち、フォールディングカヤックは3名、出艇地まで電車で移動するのは2名…そんな大人達の集まるツーリングは、「皆さんご一緒に〜」という “全員一緒に行動” にはならない。
事前に決まった事は2つだけ。
・キャンプ地第一候補は富戸の浜
・夕飯はイイダー鍋

ふむふむ…たいへんよろしいんじゃないでしょう〜か。
ちなみに、イイダー艇にはオプションで鍋が付いてきたみたいで、これ無しでのキャンプツーリングは考えられないらしい。

犬走島12月19日 土曜日。天気は快晴。
私は考えに考え、Googleマップをしらみつぶしに眺めた結果、下田の犬走島堤防の近くから艇を出すことにした。
ここから出艇できれば、伊豆で漕いでいないのは「須崎半島の最南端から鍋田浜の約2キロ」を残すだけになる。
ちなみに、1854年3月25日(嘉永7年)の夜、吉田松陰と金子重輔が密航を企て、弁天島から小舟に乗って向かった黒船艦隊が停泊していたのが、この犬走島の辺りである。

犬走島堤防の袂に車を停め、出艇場所までカヤックと荷物一式を運んだ。
海面には靄がかかっている。
カヤックを組み立てていると、散歩で何人かの人が通りかかり、誰もが一言声をかけてくれた。
やっぱり下田はいいところだ。

IMG_5255.jpgPC190005.jpg8時過ぎにカヤックが組み上がり、透明度抜群の海につながるスロープの脇に運んだ。
コーヒーを飲みながらパッキングをしたものの、今日も荷物がデッキに溢れている。
「コンパクト化計画」の効果が出るにはもう少し時間がかかりそうだ。
今日はウネリが高く、船が行き来するルートを通る予定なので、デッキに旗を立てた。

下田湾8時40分に離陸し、下田湾を進んで行く。
湾の中は風もウネリも無く、そして漁船の油も浮いていない。
電車組のハマちゃんとキッカーは弓ヶ浜から出艇し、イイダーは子浦から出るらしい。
しかし、昨日まで風が吹いていた名残りなのか、石廊崎の波予報は南西からの波1メートル。
それ以外の場所でも油断できない。

下田湾下田湾湾の中にあるこんな水路を通って、堤防の外に出て行く。
はてさて、ウネリの具合はどんなもんでしょう?

入田浜ウネリはほとんど無い。
鍋田浜、多々戸浜を通り過ぎ、昔何度か来た事のある入田浜沖を通過する。
この辺りは絶好のサーフポイントのはずだけど…波が無いのか、ここからだとサーファーの姿が見えない。

田牛田牛(とうじ)サンドスキー場の辺りを通過。(写真はサンドスキー場ではない)
2年前のツーリングではここまで来て昼飯を食べた事がある。
焚火キャンプはできるのか?! 〜大瀬から田牛〜

タライ岬難所のタライ岬に近づくと、ウネリが大きくなってきた。
沖に浮かぶ小島の陸地側は厄介そうに見えたので、沖側を通過する事にする。
島に近づくにつれウネリが高さを増し、周期も短くなった。これはちょっとまずいな〜と思った時には、すでに引き返せる状況ではなくなっていた。
ここを超えれば、弓ヶ浜はすぐなので気合いを入れていく!
タライ岬は「荒神の鼻」とも言われ、田牛の辺りから水深の浅い磯場が続いている。
ウネリの高さは2メートル、周期が短いのでウネリというよりも波に近い。
幸いにも波頭は砕けるか砕けないかギリギリのところで収まってくれているので、正面から乗り越えていけば大丈夫そうだ。
1キロほど進むと視界の隅に逢ヶ浜が見え、ウネリもピークを超えた。

弓ヶ浜10時、弓ヶ浜に到着。
海上からすでに到着しているはずの二人を探すと、駐車場の端から手を振っているのが見えた。
上陸。

弓ヶ浜二人は私よりも遠征慣れしているので、テキパキと準備が進んでいく。
ハマちゃんは私と同じブルーのウィスパー。
唯一違うのは、ハマちゃんはスケグ派で私はスケグ無し派。
キッカーは最近自作したグリーンランドパドルではなく、普通の平パを持ってきている。
さすがのキッカーも分割できないパドルを持って電車に乗る勇気は無いらしい。

弓ヶ浜11時に弓ヶ浜を出発。
石廊崎の波予報は1メートル。
もしタライ岬の様な波が立っていたら、石廊崎は超えられないかもしれない。
もし超えられないと、子浦から出るイイダーとは富戸の浜で合流できず、夕飯の鍋にありつく事ができない。

手石 弥陀岩屋キッカーの"元"バタフライカヤックス・クルーソー。
ロッカーがつきまくりフニャフニャだったフレームを改造したとのことで、今では別物の様に剛性がアップしているのが見てわかる。

蓑掛岩PC190049.jpg蓑掛岩(みのかけいわ)まで来ると、見覚えのある船が行き来していた。
あっあれは、石廊崎の遊覧船マリンバード号だ!
マリンバード号には遊覧コースが二つあり、海況の悪い時は「蓑掛岩コース」になる。
まっまずい!
石廊崎は超えられるのだろうか?
とにかく無理はせず、越えられそうもない時は早めに判断して戻ろうと打ち合わせし、石廊崎に向かう。
昼飯は石廊崎港の傍にある龍宮を考えていたけど、もし海況がOKなら、そのまま岬を超えることなっている。

石廊崎石廊崎を通過中。
多少バシャバシャしているけど、波は大丈夫!
二人の姿は波間に見え隠れしている。

“奥石廊"s_P2160035.jpg岬を越えてもウネリは無くならなかったけど、ここまで来れば石廊崎組はもう大丈夫。
しかし、子浦を出ているはずの鍋奉行から連絡がない。
まさか高波で鍋が流された…なんて悪い想像はしないようにする。
時間がおしているので、奥石廊の入江には立ち寄らず、中木の昼飯ポイントに向かう。

奥石廊中木 奥石廊いつも昼飯で使う浜に上陸。
この浜もキャンプ適地ではあるけど、流木が少ないのがマイナスポイント。
それにしても、久しぶりに天気も良く風も穏やかな週末なのに、弓ヶ浜でもこの辺りでも一艇のカヤックも見ない。
皆さんは、どこへ行ってしまったんだろう?

ヒリゾ浜サクッと昼飯を食べて出発。
誰もいないヒリゾ浜は透明度が最高。
現在、黒潮は伊豆諸島の八丈島付近を流れ、房総半島に近づいているみたいで、東から西へ暖水が流入している。
そのためか、南伊豆の水温は異常に高い。
黒潮親潮ウォッチ

三ツ石岬三ツ石岬が近づいてきた。
この岬を越えた先に今夜のキャンプ地がある。しかし相変わらずのウネリで浜はサーフになっているかもしれない。

岬を越え吉田の浜が見える所まで来たところで、はるか前方のウネリの中にオレンジ色の旗が見えた。
いたいた!あれは間違い無くイイダーのトイレスッポンフラッグだ!
しかし安心するのはまだ早い。
富戸の浜は、すぐ手前にある小さな岬で見えないけど、この様子だと確実にサーフになっているはず。

富戸の浜に近づくと、イイダー艇の旗が見えなくなった。
そして、浜の中央に上陸したオレンジ色のカヤックからポンプで水を吐き出しているイイダーの姿が見えた。
鍋奉行が上陸した以上、我々も上陸しなければならない。
丸石で急斜面になっている浜の左側にキッカーが向かった。
カヤックから降り、地面に足をつけた後で波をかぶっているものの力持ちのキッカーは荷物が入ったままのカヤックを持ち上げて移動した。
次に私も同じ場所に向かう。
まっすぐに上陸するとカヤックを壊す心配があったので、波の間隔を見定め、カヤックを横向きにして沖側に降りた。
案の定、次の波で空のカヤックが浜に打ち上げられたが、キッカーが素早く抑えてくれたので、水を被ることなく上陸することができた。
波のある場所でカヤックを横向きにして上陸する場合、浜側に降りてしまうと、波に押されたカヤックが体にぶつかってくるので必ず沖側に降りなければならない。
最後はハマちゃん。
すでに3人上陸しているので、波の間隔と大きさを見て上陸のタイミングを指示し、全く危なげなく上陸することができた。
ふ〜〜全員集合!
よかったよかった!

富戸の浜

聞くところによると、イイダーはマンションのベランダに置いてあった3分割不知火号を車に積み込む際に腰を痛めたらしく、立っていてもなんだか腰が曲がっている。
「よく上陸できたね?」
「大変でしたよ〜。上陸したはいいものの、重いカヤックを引っ張りあげられなくて、次から次に来る波でガンガン水が入り、ますます重くなっちゃうし。これで皆んなが来なかったらどうしよ〜って不安になりましたよぉ〜。」
「そっちの旗は見えてたよ。こっちのは見えなかった?」
「見えなかったぁ〜」

富戸の浜海岸には漂流物の集まりやすい場所がある。
富戸の浜は正にそんな場所で、南伊豆の漂流物や流木は全部この浜に来るの?ってくらい大量に打ち上げられている。
なので、焚き火用の薪はたんまりとあり、一晩分だろうが一週間分だろうが、あっと言う間に調達できてしまう。
ちなみに三浦半島では、宮川の観音山と盗人狩りの間にある入江にそんな海岸がある。

PC190091.jpg

そして、この浜は西に向いているので、たっぷりと夕日を楽しむこともできる。
この時期の街の中はクリスマスのイルミネーションだらけだけど、ひねくれ者の私は全くワクワクしない。
それよりも、こんな大自然の中で見る朝焼けや夕焼け、そして季節や場所によって変わる海の色を見ている方が100万倍感動してしまう。
あっ、一つだけワクワクする街の灯りがあった。飲み屋街にかかる赤提灯。

IMG_5260.jpg今夜のメインディッシュである鍋については、事前にイイダー鍋奉行から質問があった。
 イ「石狩鍋とちゃんこ鍋のどっちがいいですか?」
 私「石狩鍋」
 ハ「ちゃんこ鍋」
 キ「オリジナル鍋」
そして、出発する前日の夜、その鍋は決定された。
 イ「寒いのでキムチ鍋です」

もちろん鍋に欠かせないのは日本酒。
いつもはワインやウイスキーを持参するハマちゃんも、熱燗用の酒タンポを持ってきている。
もちろん私も日本酒で熱燗!

そしてキッカーは、削った流木にチキンを刺し、焚き火で炙ったローストをご馳走してくれた。
美味い!

富戸の浜 夕日年4回しか漕がないカヤック鍋奉行のイイダーは、知床エクスペディションに持って行った漁師合羽を引っ張り出して羽織っていた。
せっかくなので、暗くなった夕日をバックに写真をパチリ。
「来年はみんなで知床行ってみる?」
「ファルトじゃ相当苦労するかも」
「思いっきりフォグホーンを吹いてみたいなぁ」

今年、あっちこっちに遠征したキッカーに一番良かった場所を聞いてみた。
「積丹半島ですね。上陸する時にフォグホーン吹きましたよ!」
あっそ〜なんだ。
そこにも行ってみたい!

(2日目につづく)