横浜の緑を守りたい 〜横浜市都市計画公聴会〜

IMG_0754.jpg1月17日、横浜市栄区公会堂で開催された「横浜市都市計画公聴会」に参加して来た。
私自身は金沢区に住んでいるんだけど、栄区はお隣さん。お墓があるのも栄区なので部外者と言う訳でもない。

栄上郷地区地区計画」とは、東急建設から横浜市に出された「都市計画提案書」に基づいて、横浜市が計画しているもので、横浜市栄区上郷町にある"瀬上沢"(横浜スタジアム約4.5個分)を開発して宅地や商業施設にしようとする計画だ。

瀬上沢とその周辺地域については、facebook上で公開されている「ホタルのふるさと瀬上沢基金」に詳しく説明されているので、そちらから引用して紹介する。
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ホタルのふるさと瀬上沢(せがみざわ)は、横浜市の南部円海山(えんかいざん)周辺緑地の北西に位置し、オオタカやホタルをはじめ豊かな生態系と里山の原風景を残しています。この周辺地域の発展は瀬上沢から始まったと言われています。それをうかがわせる大きな住居跡を含む縄文遺跡・古代製鉄遺跡・古代の横穴墓群・江戸期の横堰・昭和の銃眼遺跡・160万年前の化学合成貝化石露頭などが、まとまって残されています。
これは、太古の昔からその子孫の人々によって伝えられてきた美しい自然とかけがえのない文化遺産です。昭和40年代から開発計画が何度も浮上したにもかかわらず瀬上沢が残されてきたのは、地元地権者の方々の、先祖代々から伝わってきた美しい自然や文化遺産を子や孫たちの世代に伝えていきたい、という崇高な思いがあったからです。
「特定非営利活動法人ホタルのふるさと瀬上沢基金」は、今まで瀬上沢を維持されてきた方々に感謝しつつ、全ての人々が恩恵を受けている瀬上沢を、これからは大勢の人々に呼びかけて保全していくことを目的としています。
私たちは広く市民に呼びかけて、地元の方々に教えていただきながら、里山の保全・田畑の復活・援農・地域文化の継承・文化遺産の研究保全・情報共有・土地の借上げや買上げ・などの活動を行っていきます。
そして、地球規模で自然が破壊されてきたにもかかわらず、代々の人々によって残されてきた瀬上沢の緑と自然のバランスの取れた姿を、千年後の世代まで自信を持って引き渡していきたいと願っています。
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ちなみに、この地区の開発計画については2005年に計画が浮上した。
その後、2007年6月に市民が結成した「上郷開発から緑地を守る署名の会」が署名活動を展開。92,000筆あまりを集め市議会に陳情書を提出して、2008年9月に計画は中止となった。
ところが、市民のほとんどが反対しているにも関わらず2014年1月に計画が復活。そしてこの日の公聴会開催となった。
瀬上沢緑地を守る活動にはパタゴニア日本支社も支援しており、横浜と鎌倉にあるパタゴニア3店舗は公聴会当日17時にクローズして、スタッフが多数参加したこともあり、会場には私も含め席に座れないほどの人が訪れていた。
公述人は11名で、内訳は開発賛成が5名、反対が6名だった。
横浜市が反対派を多く選ぶはずはなく、本当は賛成派が7名だったらしいが、なぜか2名が辞退したのでこういう配分になっちゃった…というのが本当のところだろう。

反対派の意見は、参加していた多くの人の共感を呼び、公述が終わると大拍手。
事前に横浜市から配られた注意事項では、「拍手をしてはいけない」と書いてあったので、その都度市の職員が注意をしていたけど、広く市民の意見を聴く会なのだから、参加者の思いを知ることも公聴会を開催する意義があるように思う。
ちなみに、21時の終了時間まで賛成派の公述では一人の拍手もなかった。

この計画がどうなるかは、わからない。
事業者からの提案による開発は全国的に前例がなく、もし開発が行われた場合は横浜が第一例目になる。
開発が全て悪いなどとは言うつもりはないけど、環境保全の声が高まる中、多くの住民の反対を押し切って強引に開発されてしまうような悪い前例とならない事を祈るばかりだ。