雷鳥と雷雲 〜仙丈ヶ岳1日目〜

8月8日 木曜日、南アルプスの玄関口である仙流荘に向かっている。
同乗者は、山岳会の女性陣2名。
先日の八ヶ岳リハビリトレッキングから5日しか経っていない。
ふむ…これは私の立てるプランが魅力的なのか、はたまた単なるアッシー君として重宝されてるだけなのか…聞くのが怖い。
とにもかくにも、今回登る山は南アルプス仙丈ヶ岳なので、女子2号のリハビリも一歩前進である。
天気予報は、本日が曇り/雨で午後遅い時間に少しだけ雨が振り、明日は曇り。
その予報通り、道中から見える山はことごとく霞んでいる。

8時5分のバスに間に合うように、駐車場に着くとほぼ満車。
さすが夏休みである。
駐車場はいっぱいだったけど、バスを待っている人は20人くらい。
さすが木曜日である…って、混んでるのか空いてるのかどっちやねん。

IMG_0569_20190808.jpg約50分で北沢峠に到着。
南アルプス林道バスは、まるで観光バスのようにガイド付き(運転手さん)。
ある時は走りながら、ある時はバスを停止させて説明をしてくれるのがとってもいい。

IMG_0571.jpg記念写真を撮ってから出発。
女子1号の服が濡れているように見えるのは私の腕の影?それとも何かこぼした?
今日は仙丈小屋に泊まるので、私のザックの中にはたっぷりとお酒が入っている。
しかし、同じようにたっぷりとお酒が入っているはずの女性陣のザックよりも格段に重いのは何故だろう?

P8080002.jpg何故何故?マークを頭の周りに回しながら登山開始。
天気も晴れ、適度に風もそよいでいるので爽やかである。蒸し暑かった5日前とは大違い。

IMG_0587.jpg大滝の頭(五合目)で昼飯を食べ、樹林帯を抜けると視界が開けた。
私のおかげで快晴である。
ただし、昨日は今日と同じような快晴から一転、午後1時半には雨が降り始め北岳では落雷で学生が一人亡くなっている。
山の天気、特に夏山の天気は変わりやすいので天気予報だけを頼るのではなく、その時の大気の様子や雲の動きを見て早めに行動しなければならない…とあらためて肝に命じた。

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標高2,855メートルの小仙丈ヶ岳に到着。
前方には小仙丈沢カール、背後には標高2,967メートルの甲斐駒ヶ岳の勇姿を筆頭に360度の展望がど〜んと広がっている。素晴らしい!!

IMG_0604.jpg快適な尾根道が続く。
そして、2,600メートル限界説のある私の高度適応能力に陰りが見えてきた。
ただし、今日は足が疲れるだけで目が霞むなどの症状は出ていない。

P8080007_20190808.jpgP8080008.jpgミヤマアキノキリンソウ(上)とウサギギク(下)

IMG_0606.jpgIMG_0610.jpg今日のルート上にある唯一の岩場。
下から見上げると、え〜って感じだけど実際は、足の置き場もしっかりしているので難しくない。

そして、この先の平らな道で、突然私の左太ももがつった。
つま先がつることはあっても、太ももがつったのは初めて。歩けません。
しばし、道端の石に腰掛けて回復を待つ。
上から下りてきた数人のハイカーは、なんでもない平らな狭い道で私が休んでいるのが不思議だったことと思う。
先を歩いていた女性陣は、いくら待っても私が来ないので心配しているかもしれない…いや違う。
いつものように腕組みをして「おっせ〜な〜」と下を見下ろしている顔が浮かんだ。

5分ほどじっとしていると、なんとか歩けるようになった。

P8080013.jpgチシマギキョウ

IMG_0615.jpgピークを一つ超えて、やっと山頂が見えた。
もうきつい上りは無さそうだ。

IMG_0617.jpg藪沢カールの中に本日のねぐらである仙丈小屋が見える。

IMG_0619.jpg一つ手前の岩山をトラバース。

IMG_0621.jpgそして、これが山頂。

IMG_0624.jpg標高3,033メートルの山頂に到着。
目の前には大仙丈ヶ岳があり、その先には延々と続く仙塩尾根がある。

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仙丈小屋に向けて下り始めた途端、女子2号が立ち止まった。
目の前に雷鳥の親子がいる。
すぐ近くに怖〜いお姉さんがいるのに、ぜんぜん逃げる様子がない。
目が悪いのだろうか?

IMG_0631.jpg思ったよりも下った所にある仙丈小屋に到着。
小屋はこじんまりした感じで、本日の宿泊者は35名。
私は寝具なしなので、2階の食事処が空くまで寝袋は広げられない。
女性陣は寝具付きなので3階。
小屋に予約の電話をいれる際にパーティの男女構成を聞かれるので、小屋の人がうまく寝場所を配置してくれる。

IMG_0637.jpgなんとこの小屋ではキンキンに冷えたジョッキで飲める生ビールがあった。
あったりまえだの生ビールで乾杯。お疲れさま〜!!
我々は自炊なので、そのままテラス席に陣取り消灯時間の20時まで宴会。
ワインの後は、焼いたメザシを入れた骨酒風熱燗で七合。
酒の美味さは標高に比例するかもしれない。

19時を回ると、向かいの山の上に大きな雷雲が覆いかぶさった。
ショーの始まりである。

(2日目につづく)