沖縄の代わり 〜外浦から爪木崎〜
1997年に沖縄事務所を開設した後、毎年最低１回は沖縄に "仕事で" 出張している。
しかし、発生からもうすぐ1年が過ぎようとしているコロナ禍は、いっこうに収まる気配がない。
それどころか、現在の状況は4月7日に発令された緊急事態宣言当時よりも数倍悪い。
この国の無責任政府は、感染を収束させる手立てはそっちのけで、数々のGoTo感染拡大キャンペーンを推し進めている。
こんなバカげたキャンペーンに踊らされるのは真っ平ごめんなので、今年の沖縄出張は見送ることにした。
なんと沖縄に行かない(行けない)のは、24年ぶりになる。
2020年11月18日 水曜日、伊豆に向かっている。
日の出から30分が過ぎ、朝焼けに染まった空が手石島をシルエットで浮き上がらせた。
海でも山でも、毎回何かしらのテーマを決めて行くようにしているが、今日のテーマは「沖縄の代わり」である。
私が知る限り、沖縄を感じられる海はアソコしかない。
誰もいない外浦海岸に到着し、コーヒーを飲んでからウィスパーを組み立てた。
スキンのメンテナンスをしてもらったばかりなのに、デッキにはまた新しい綻びができていた。
補修用のパッチはいつも持ち歩いていた方が良さそうだ。
波に洗われた海岸に足跡はなく、出艇準備も気持ちがいい。
予報ではとっくに風が落ち着いているはずなのに、海面は少しワサワサしている。
この辺りの予報が、実際の海況と違うのは毎度の事だけど、爪木崎側は "めんどくさい海" かもしれない。
"沖縄の代わり" は後の楽しみに残しておいて、爪木崎に向かう。
岬を回り込むと、カヤックが揺さぶられるようになり、爪木島の周りでは白い波が飛び散っている。
今日の海況と自分の技量を天秤にかけた結果、爪木島の先に行くのは諦めた。
なるべく人気のない海水浴場の手前に上陸。
少し早いけど芝生の上に食卓を広げ、昼飯をノンアルビールで流し込んだ。
"沖縄の代わり" に向けて、爪木崎裏を離脱。
再び、めんどくさい海に向かう。
"沖縄の代わり" に上陸。
誰もいない…と思っていたら、カップルがやって来るのが見えたので移動する。
カヤックから足を出したまま一漕ぎして、メインビーチの脇にあるビーチに再上陸。
本当はこっちの方が好き。
コーヒーを入れてノンビリしていたら、クライアントから仕事の電話が入った。
「お忙しいところすみません」と言われながら話していたけど、ひょっとしたら波音が聞こえたかもしれない。
しかし、このコロナ禍はいつまで続くんだろうか？
いまだにオリンピックにこだわっている政府は、PCR検査には消極的だろう。
災害や今回の様な事態では、我々の税金が本当に必要なところに使われず、利権絡みの企業にお金が落ち、それが回り回って自民党の政治家のポケットに入るようになっている。
この構図を変えない限り、コロナ禍は終わらないだろう。
本来、そのような不正を監視するのはメディアの役目だが、買収されているメディアはその役目を全く果たしていない。
"沖縄の代わり" を離脱。
あまりにも名残惜しくて、しばらくの間ここに漂っていた。
外浦に戻り、砂の無い場所で撤収。
静かさを取り戻した海から、ソロのSUP女性が戻ってきた。
いつもの宿で熱いお風呂に入った後で、仕事のメールをチェック。
行きつけの居酒屋が開店するまで時間があったので、散歩する事にした。
まず向かったのは酒屋。
来週は山歩きの予定があるので、その日の打ち上げで飲む酒の調達をしてしまう事にした。
買ったのは、大好きな下田産の日本酒「黎明」。もう1本は酒屋の女将さんのお勧めで土佐の酒。
どちらもなかなか手に入らない酒なので、酒にうるさい連中にも満足してもらえるはずだ。
その後は、缶ビール片手にペリーロードへ。
このノラ猫は、優しい声を出しながら私の相手をしてくれた。
いつもの居酒屋のいつもの席に座り、次々に出される料理を楽しむ。
お腹が空いていたので、どんどん食べられる。
料理は、黙っていてもどんどん出てくるので、テーブから料理が無くなることはない。
「煮付けは飽きちゃったでしょ?!」と言って出されたキンメの塩焼きが絶品。
そして、食べ終わった残りで吸い物を作ってくれた。
幸せ〜〜。
23時過ぎ、居酒屋の女将さんに「行っといで!」と言われたバーでアメリカンレモネード。
お腹がいっぱいで、お通しのケーキは半分しか食べられなかった。
(あとがき)
この日、珍しく誰もお客さんが来ない居酒屋で、女将さんは夜食のデリバリーに行った。
留守番する私に女将さんが一言「柿でも食べてて」って…?
