野性の海 〜小稲から石廊崎漁港〜

8時半。
南伊豆の小稲(こいな)に来た。
到着してカヤックを降ろしていると、感じのいい2人のオヤジがやってきた。
一人は漁師、もう一人はパイロット。
さて、どっちがどっちでしょ?
小稲は初めて。
ここには、神子元島でのダイビングをサービスをしている「神子元ダイビングサービス」(そのまんま)というショップがあり、このパイロットの方も昨日は神子元で潜った。
聞くところによると、昨日の神子元島の辺りは3メートルくらいの波があったらしい。
例によって、海快晴で昨日の波の様子を調べてみると、1メートル。
ん〜〜実際は3倍かあ〜。
伊豆での予報は、ちょっと精度に問題があるみたいだ。
神子元島のダイビングは、ダイビングをしない自分でも知ってるくらいハンマーヘッドシャークが有名。
今は水温が低くなってしまって見れないけど、24℃くらいの時は100匹くらいの群れがいるとのこと。
お〜怖。
「危なくないんですか?」
「人間は美味くないから襲ってくることはないよ。」
ん〜〜、人間の中にも好みが変わっている人がいるから、全員(サメのことね)が人間を不味いって思ってるわけでもなさそうに思うけど…。

陸から見る海の様子は…なんかキザキザしてるように見える。
それは気のせいってことにして、とりあえず出艇。

気のせいじゃなかった。
小稲湾を抜けたとたん、野性的なウネリと波で圧倒された。
なんだろ、この伊豆の怖さは。
外海だから?
知らない海だから?
一瞬、このまま引き返そうかと思ったけど、とりあえず少し漕いで様子を見ることにした。
漁師のオヤジには、「手石の弥陀岩屋」に行ってみるといいよって言われたけど、場所がよくわからなかったので、とりあえず西に進む。

先に見えるヘンテコな岩山(蓑掛岩)に向かって進んで行く。
心配した海況は、下流(したる)沖を過ぎた辺りから少し落ち着いてきたので、なんとか行けそう。
波高は1.5メートルくらいか。
岩礁帯が多いので、ブーマーを心配していたけど大丈夫。
この日の潮位は、10:52に干潮で92センチ。
元々それほどブーマーが立たない場所なのか、それともこれくらいの潮位があれば立たないのかはよくわからない。

大瀬(おおせ)と本瀬(ほんぜ)の間にある、岩礁帯を通過。
それにしても、釣り人パワーは、ほんとうにスゴイ!
どうやって、そこに行ったの?…ってくらい、どこにでもいる。


石廊崎灯台が見えてきた。
海況は安定している。


石廊崎灯台の手前にある石廊崎港で休憩することにした。
地図で確認していたとおり、けっこう奥が深くて湖の様に静かな入り江だ。
岩の上に一羽のウミウがいたが、近寄っても逃げない。
人間を見慣れているのか、はたまた人間を知らないのか…。
スロープから上陸。
スロープに上陸する時は、いつも注意しているが、ここのスロープは天下一品に滑る。
苔でヌルヌルしていて、スケートリンクみたいに滑りやすい。

もっと寂れた感じを想像していたが、意外に賑やか。
考えてみたら観光船はここから出るしバスの停留所もあるから、そんなに寂れているわけないか。
カヤックを駐車場に "駐車" して、トイレにだけ寄って再出発した。
中木の方にも行きたかったけど、昼飯の時間と帰りにかかる時間を計算すると、今日は行けない。
このまま戻ることにする。

風光明媚な大瀬手前の浜に上陸。
またまたカップラーメンの昼飯にした。
やっぱり、冬のラーメンは旨い!

帰りも海況は変わらなかった。
緊張感はあるが、ウネリと波にも慣れ、順調に小稲に近づいていく。
そして、小稲の辺りではやっぱりヘンテコな波が立っていた。
「手石の弥陀岩屋」は次の機会に寄ってみることにする。

小稲は、奥まった入り江で隠れ家的な雰囲気があるし、駐車場のすぐ目の前が浜なので、カヤックの出艇場所としてはとてもいい所だと思う。
駐車場の近くにトイレは無いけど、目の前の民宿のトイレが借りられるので、一声かけてみよう。
今日で、伊豆もおしまい。
漁師さん曰く、「5月が一番いいよ。」ってことらしい。
できれば、出艇場所に戻らず、民宿に泊まりながらワンウエイで漕ぎ続ける旅をしてみたい。
日曜日の夕飯時…まだ体が揺れている。
やっぱり伊豆はいい!