風の千葉(浸水編) 南房総1日目〜金谷から富浦〜
暖かくて天気が良さそうな週末。
「また行くの?」という声は聞こえなかったことにして、2週連続のお泊まりカヤック。
今度は千葉へ行くことにした。
いつものように、宿の予約は金曜日。
7時20分出航のフェリーに乗り金谷に向かう。
デッキは寒いので、コーヒーを飲みながら船内でヌクヌクな船旅。
前回行った時はゴルフの人がいっぱいだったけど、今回は空席が目立つ。
ゴルフの人は朝一番のフェリーで行くのかな?
⇨富浦で沖縄を感じる
例によって、金谷港前の空き地に移動。
ポカポカなので、速攻でジャケットを脱ぐ。
釣り人にもらったというカサゴをひっさげたオジサンが通りかかり、例によって話しながらカヤックを準備する。
オ「今日は少し波があるけど大丈夫?」
私「はい、なんとかあ〜」
隣の駐車場で自転車の準備をしていたオヤジとも挨拶。
私「どこまで行くんですか?日帰りですか?」
オ「今日はくる〜っと回って千倉。同級生と会って泊まりますよ。」
9時20分出航の「しらはま丸」に合わせて、こちらも出艇。
港の中もちょっとドンブラコだし、風も…今日の風予報は午前中だけ7〜8メートルの北風なんだけど、もうちょっとあるような…。
港の堤防を回り込んで、進路を南へ取る。
はいはい、風も波も予報を上回っていますね、こりゃ。
とりあえず我慢して進みます。
北風だけど、暖かいのが救い。
明鐘岬(みょうがねみさき)を越えると、風が増してきた。
ブローで12メートルくらいはありそう。
左斜め方向からの追い波、追い風なので、カヤックの進路を保つのが難しい。
時折やってくる突風に身構え、パドルを飛ばされないよう低いアングルで漕いで行く。
左手に保田漁港の見える辺りで、定置網がとおせんぼをしていた。
左を見ても、右を見ても切れ目が見えない。
ブイとブイの間は、1メートルくらいなので、慎重に間を抜けることにした。
風と波で大きく揺れているが、タイミングを見て通過…と思いきや、一瞬船体の右側がブイに当たった。
相変わらず進路を保つのが難しいが、どうも様子がおかしい。
カヤックの動きがいつもと違う。
と思うまもなく、お尻に冷たい感触を感じる。
スプレースカートが外れたのかなと思って確かめてみたが、しっかりコーミングにかかっている。
どっちにしろ、このまま進むのは大変なので、いったん上陸することした。
保田漁港の南にある浜に上陸。
カヤックを引き上げようとしたら…持ち上がらない!
シーソックを外してみると、タンマリと浸水していた。
こんなに水が入るってことは、よほど大きく穴が開いてるに違いない。
ポンプで排水し、やっとこさカヤックを運んで裏返してみた。
ザックリいってる。
フレームも見えてるし…(^^;
ブイに接触した時に、貝でえぐられたらしい。
これで天気が悪いと気落ちしちゃうところだけど、今日は天気も良くポカポカなので、モチベーションは落ちない。
さっそく、リペアキットを取り出して、応急処置を施した。
はい、完成…って、こんな修理でいいんだろうか?
傷の周りを真水で洗ってから、サンドペーパーでこすり、ダクトテープで穴を塞ぎ、高価なTEAR-AIDをまるまる1枚使って上に貼った。
修理も終わったので、昼飯も食ってしまうことにした。
予定では、どこかの食堂で食べようと思っていたけど、予備で持ってきたカップヌードルでサクッと終了。
1本しか持ってこなかったビールはゴールまでのお楽しみで残しておく。
再出艇。
波も風もウソのように穏やか。
少し漕いでからシーソックをめくり、浸水の具合を確かめてみたが大丈夫そう。
これならいける。
浮島を越え、南無谷崎(なむやさき)が見えてきた。
お日様が波間をキラキラと照らし、抜群の海況で午前中の苦労がウソみたい。
どうもカヤッカーは、ご褒美をもらえると、過去の大変さは忘れる習性があるらしい。
富浦の多田良海岸に上陸。
浜のだいぶ手前からカヤックが進めないほど浅くなっていたので、降りて引っ張っていく。
と思ったら、また深くなって、田植え用長靴 "みのる君" が浸水した。
最後の最後で、また "浸水"。
全てを引き上げ、濡れてしまった装備一式を甲羅干し中。
やっと飲めたビールが美味い。
日向ボッコをしていると、かわいい犬を連れたオジサンが通りかかった。
しばらく歓談。
オジサンは、6年前に脳梗塞になり、2年ほど前からこの土地に越して来てリハビリしているとのこと。
私「富浦はいいところですね。なんかノンビリしてて。」
オ「ここは国道から離れているのがいいんだろうね。地元の人達もこういう町の雰囲気を保つように努力してるみたいだよ。館山はお金だけだしね。」
オ「車は売っちゃったけど、船はどうしても売れなくて毎年係留代を払ってるよ。また乗れるといいんだけど。」
私「船持ってるんですか。でも夢があれば、リハビリも頑張れますね。」
犬の名前は "エリー"。
都会では、寄って来る子供達におびえていたらしいけど、ここでは大丈夫。
宿の夕飯。
鍋に熱燗は最高だった。
(2日目につづく)