風と鳥の島 礼文島2日目〜元地からアナマ岩〜
21日、ツーリング初日の朝。
昨夜の時点で、出艇地は元地(もとち)に変更することに決めた。
朝食を食べた後、他のお客さんを送る民宿の車に便乗させてもらい香深(かふか)まで行き、香深から路線バスで元地へ出る。
元地に着く時間は9時を過ぎるが、野営予定地のアナマ岩は元地から10キロも離れていないので、ゆっくり準備してから元地を出てもまったく問題ない。
早朝の船泊湾。
穏やかに見えるが、まだ少し風が残っている。
ここから出れないことも無いけど、確実にトド島に渡るなら海況の落ち着く明日の方がいい。
最北の地の風景。高い木は無い。
まだ見ぬアリューシャン地方の風景もこんな感じなんだろうか?
晴れ間は見えていないが、昼までには青空が見えてくるだろう。
散歩の途中で野球場を見つけた。
もちろん草野球のグラウンドだけど、たぶん日本で一番北にある野球場のはず。
風が強い日が多いから、ここでフライが打ち上がったら野手は大変かも。
香深から元地へ向かうバス。
途中から見える礼文島の西海岸は、東海岸とはまったく違った素晴らしい景色が広がっていた。
海が蒼い〜!
バスの終点「元地」の真ん前がメノウ浜だった。
香深は起点、元地は終点なのでバスの狭い乗車口からカヤックを出し入れする時はゆっくりと慎重にやれる。
そして、例によって観光地のバスの運転手さんは好意的。
メノウ浜は、その名のとおり浜でメノウが拾えるが、最近はあまり落ちていないらしい。
聞くところによると、近所の家の人に言えば庭にあるメノウを恵んでくれる…みたい。
ただ、民家はほとんど無いし、ほんとうにくれるかどうかは不明。
メノウ浜の前にあるお土産物屋さんの「いちまる」。
この店のオヤジさんは、とっても優しかった!
元地でお土産を買う時は是非この店で買ってください!…としっかり宣伝しちゃう。
「いちまる」の脇はお店の駐車場になっているので、ひと言オヤジさんに断ってからスペースを借りてウィスパーを組み立てた。
駐車場から波打ち際までは10メートルくらい。
カヤックへ積み込む前にキャンプ道具やもろもろの荷物を並べて記念写真を撮ってみた。
そういえば、こういう写真を撮るのは初めてかも。
キャンプ道具を細身のドライバッグに入れるようにしてから積み込みが楽になった。
北海道、それも最北に近い場所で初めて浮かんだ!
なんだか感無量。
スジメやスガモが生い茂る浅い場所を避けながら、"北" にバウを向けた。
北に向かうというのは気分が高まる。
やっぱり元地から時計回りのルートに変更して良かったかもしれない。
振り返って出艇場所の元地を見る。
元地から少し進んだところにある観光名所の地蔵岩。近づいてみると思ったよりもでかくて迫力がある。
後で調べてみたら、高さが50メートル近くある海蝕柱というものらしい。
岩と岩の柔らかい部分が浸食され、柱状に残った状態だ。
いずれ、この柱も崩れてしまうんだろうけど、その時には別の場所で同じような柱ができているかもしれない。
風は昨日までの東風から静かな北風に変わっている。
波が穏やかなので、このような岩礁帯の間も縫う様に進んで行ける。
北海道の海は思ったよりも鮮やかなブルーでどこまでも澄んでいる。
礼文滝。
高さはないけど水量が多いので、爽やかな滝だ。
ここはトレッキングコースにもなっていて、礼文林道からこの滝に向かうルートはとても景色がいいらしい。
本当はカヤックだけでなく、もう2泊くらいしてトレッキングもできれば礼文島の海と山を満喫できると思う。
ここでは、数人のハイカーが休憩をしていた。自分も上陸して少しだけ休憩する。
ちなみに、この滝は枯れることがないらしい。
コーストラインを進む限り、どこでも海底が見える。そお、あのお高いウニもばらまいた様にころがっている。
ぜったいに採ってはいけません!
ウニ漁は、年間の漁獲量や禁漁期間が決められていて、貴重な海洋資源が守られている。
ちなみに、礼文島ウニの漁獲量は北海道全体の2割もある。
切り立った断崖の脇を進んで行くが、伊豆と違って上陸できる場所が沢山あるのが嬉しい。
ここで昼飯…と思ったら…ガスカートリッジを買ってくるのを忘れたことに気がついた!
ん〜〜、無くてもなんとかなるけど、元地まで戻っても往復で1時間半くらいなので、今来たルートを"南" に下って取りに帰った。
1時間半後、同じ場所に2度目の上陸。
ふ〜〜、やっと昼飯にありつけた。
ワイルドなロケーションだけど、天気がいいから爽やかな感じでとってもグッド。
レトルトカレーとガーリックパン、もちろんのビールでお腹も気分も満足して再出艇。
"北" へ進む。
断崖と蒼い海はどこまでも続き、もちろん人工物は一切なし!
正に思い描いていた "礼文島でのカヤック" を、存分に味わえている。
晴れ男でよかったっ!
名前のわからない滝が海に落ちている。
あの崖の上は、どんな景色が広がっているんだろう?
個人的には礼文滝よりも、こっちの滝の方がお気に入り。
草の多い崖下に一軒の番屋があった。
綺麗な状態なので、今でも使われているものだと思う。
思ったよりも海面からの高さが無いけど、波は上がってこないんだろうか?
ウィキペディアによると、番屋とは「漁民が、漁場の近くの海岸線に作る作業場兼宿泊施設のこと。」とある。
しかし、三浦半島や伊豆その他の地域ではあまり見かけた事がない。
そもそも番屋に持ち主はいるのだろうか?共用施設なんだろうか?土地は誰のものなのだろうか?
誰か詳しい人がいたら教えてください。
昆布漁の舟。
箱メガネで水中を覗き昆布の状態を確認している。
礼文島で採れる昆布は「利尻昆布」として、全国に出荷されている。もちろん最高の品質。
ちなみに、舟から採る以外に浜に打ち上がった昆布を採る "拾い昆布漁"というものがある。
荒れた海の後では沢山の昆布が打ち上がり、舟も使わず年がら年中漁ができるので、けっこうな収入になるらしい。
もちろん浜から長い竿の様なもので拾うわけだけど、たまに海の中に入って採っていて波にさらわれ死んでしまう事故もあるらしい。
ウミウやカモメはそこかしこにいる。
鳥がいる場所は岩の上が糞で白くなっているのですぐにわかる。
ウェンナイ(宇遠内)の部落が見えた。
しかしユニークな地名だ。カタカナ読みするのも面白い。
"ウェン・ナイ" というのは、アイヌ語で「悪い川」という意味らしい。
ウェン=悪い、ナイ=川なのだが…なんで悪い川なんて名前を付けたんだろう?!
ちなみに、稚内には廃駅となった宇遠内駅とウェンナイ川があります。
またまた滝。
上陸して水浴びしたかった。
本日の野営地であるアナマ岩に到着。迫力のある地層が露出している。
たぶん、穴の開いている岩がアナマ岩。
ネットで「アナマ岩」を検索すると、これとは別の岩が沢山表示されるけど、それはトレッキングコースから本当のアナマ岩は見えないからだと思う。
ジャリ浜に上陸。
今日は穏やかな海だが、打ち上がっている流木の位置を見ると、荒れている時はそれなりに波が上がってくることがわかる。
さっそくテントを設営し、居心地のいい "居間" を作り上げた。
ウオーターコンテナは、プラティパス-Platypus-の6リットルコンテナをやめて、今回からシートゥサミット-Sea To Summit-の PackTap 6リットル。
ぜったいに水漏れしないし、コックピットの足下に置けるので便利。
野営地の裏山には川が流れていて、この下の方で水浴びできた。
ここは8時間コースのルートになっているけど、この時間に歩いている人はいないので、例によって生まれたままの姿になって冷たい水を浴びた。
だんだんと日が陰っていくが、それにしても日が長い。
おかげでウイスキーを飲みながら、暗くなっていく景色をユッタリと楽しむことができた。
豪華な夕焼けのショーが始まった。
そして、全国にいるカヤッカーの中で、たぶん自分が一番北にいるはずだと思うと少し痛快な気分になった。
少しずつ酒のつまみを作り、ウイスキーと一緒に流し込む。
流木は沢山あるし、虫もいない。
強めの風と暗くなっても鳴き止まない鳥達の声が少しうるさいが、それは気にしないことにする。
(3日目につづく)
昨夜の時点で、出艇地は元地(もとち)に変更することに決めた。
朝食を食べた後、他のお客さんを送る民宿の車に便乗させてもらい香深(かふか)まで行き、香深から路線バスで元地へ出る。
元地に着く時間は9時を過ぎるが、野営予定地のアナマ岩は元地から10キロも離れていないので、ゆっくり準備してから元地を出てもまったく問題ない。
早朝の船泊湾。
穏やかに見えるが、まだ少し風が残っている。
ここから出れないことも無いけど、確実にトド島に渡るなら海況の落ち着く明日の方がいい。
最北の地の風景。高い木は無い。
まだ見ぬアリューシャン地方の風景もこんな感じなんだろうか?
晴れ間は見えていないが、昼までには青空が見えてくるだろう。
散歩の途中で野球場を見つけた。
もちろん草野球のグラウンドだけど、たぶん日本で一番北にある野球場のはず。
風が強い日が多いから、ここでフライが打ち上がったら野手は大変かも。
香深から元地へ向かうバス。
途中から見える礼文島の西海岸は、東海岸とはまったく違った素晴らしい景色が広がっていた。
海が蒼い〜!
バスの終点「元地」の真ん前がメノウ浜だった。
香深は起点、元地は終点なのでバスの狭い乗車口からカヤックを出し入れする時はゆっくりと慎重にやれる。
そして、例によって観光地のバスの運転手さんは好意的。
メノウ浜は、その名のとおり浜でメノウが拾えるが、最近はあまり落ちていないらしい。
聞くところによると、近所の家の人に言えば庭にあるメノウを恵んでくれる…みたい。
ただ、民家はほとんど無いし、ほんとうにくれるかどうかは不明。
メノウ浜の前にあるお土産物屋さんの「いちまる」。
この店のオヤジさんは、とっても優しかった!
元地でお土産を買う時は是非この店で買ってください!…としっかり宣伝しちゃう。
「いちまる」の脇はお店の駐車場になっているので、ひと言オヤジさんに断ってからスペースを借りてウィスパーを組み立てた。
駐車場から波打ち際までは10メートルくらい。
カヤックへ積み込む前にキャンプ道具やもろもろの荷物を並べて記念写真を撮ってみた。
そういえば、こういう写真を撮るのは初めてかも。
キャンプ道具を細身のドライバッグに入れるようにしてから積み込みが楽になった。
北海道、それも最北に近い場所で初めて浮かんだ!
なんだか感無量。
スジメやスガモが生い茂る浅い場所を避けながら、"北" にバウを向けた。
北に向かうというのは気分が高まる。
やっぱり元地から時計回りのルートに変更して良かったかもしれない。
振り返って出艇場所の元地を見る。
元地から少し進んだところにある観光名所の地蔵岩。近づいてみると思ったよりもでかくて迫力がある。
後で調べてみたら、高さが50メートル近くある海蝕柱というものらしい。
岩と岩の柔らかい部分が浸食され、柱状に残った状態だ。
いずれ、この柱も崩れてしまうんだろうけど、その時には別の場所で同じような柱ができているかもしれない。
風は昨日までの東風から静かな北風に変わっている。
波が穏やかなので、このような岩礁帯の間も縫う様に進んで行ける。
北海道の海は思ったよりも鮮やかなブルーでどこまでも澄んでいる。
礼文滝。
高さはないけど水量が多いので、爽やかな滝だ。
ここはトレッキングコースにもなっていて、礼文林道からこの滝に向かうルートはとても景色がいいらしい。
本当はカヤックだけでなく、もう2泊くらいしてトレッキングもできれば礼文島の海と山を満喫できると思う。
ここでは、数人のハイカーが休憩をしていた。自分も上陸して少しだけ休憩する。
ちなみに、この滝は枯れることがないらしい。
コーストラインを進む限り、どこでも海底が見える。そお、あのお高いウニもばらまいた様にころがっている。
ぜったいに採ってはいけません!
ウニ漁は、年間の漁獲量や禁漁期間が決められていて、貴重な海洋資源が守られている。
ちなみに、礼文島ウニの漁獲量は北海道全体の2割もある。
切り立った断崖の脇を進んで行くが、伊豆と違って上陸できる場所が沢山あるのが嬉しい。
ここで昼飯…と思ったら…ガスカートリッジを買ってくるのを忘れたことに気がついた!
ん〜〜、無くてもなんとかなるけど、元地まで戻っても往復で1時間半くらいなので、今来たルートを"南" に下って取りに帰った。
1時間半後、同じ場所に2度目の上陸。
ふ〜〜、やっと昼飯にありつけた。
ワイルドなロケーションだけど、天気がいいから爽やかな感じでとってもグッド。
レトルトカレーとガーリックパン、もちろんのビールでお腹も気分も満足して再出艇。
"北" へ進む。
断崖と蒼い海はどこまでも続き、もちろん人工物は一切なし!
正に思い描いていた "礼文島でのカヤック" を、存分に味わえている。
晴れ男でよかったっ!
名前のわからない滝が海に落ちている。
あの崖の上は、どんな景色が広がっているんだろう?
個人的には礼文滝よりも、こっちの滝の方がお気に入り。
草の多い崖下に一軒の番屋があった。
綺麗な状態なので、今でも使われているものだと思う。
思ったよりも海面からの高さが無いけど、波は上がってこないんだろうか?
ウィキペディアによると、番屋とは「漁民が、漁場の近くの海岸線に作る作業場兼宿泊施設のこと。」とある。
しかし、三浦半島や伊豆その他の地域ではあまり見かけた事がない。
そもそも番屋に持ち主はいるのだろうか?共用施設なんだろうか?土地は誰のものなのだろうか?
誰か詳しい人がいたら教えてください。
昆布漁の舟。
箱メガネで水中を覗き昆布の状態を確認している。
礼文島で採れる昆布は「利尻昆布」として、全国に出荷されている。もちろん最高の品質。
ちなみに、舟から採る以外に浜に打ち上がった昆布を採る "拾い昆布漁"というものがある。
荒れた海の後では沢山の昆布が打ち上がり、舟も使わず年がら年中漁ができるので、けっこうな収入になるらしい。
もちろん浜から長い竿の様なもので拾うわけだけど、たまに海の中に入って採っていて波にさらわれ死んでしまう事故もあるらしい。
ウミウやカモメはそこかしこにいる。
鳥がいる場所は岩の上が糞で白くなっているのですぐにわかる。
ウェンナイ(宇遠内)の部落が見えた。
しかしユニークな地名だ。カタカナ読みするのも面白い。
"ウェン・ナイ" というのは、アイヌ語で「悪い川」という意味らしい。
ウェン=悪い、ナイ=川なのだが…なんで悪い川なんて名前を付けたんだろう?!
ちなみに、稚内には廃駅となった宇遠内駅とウェンナイ川があります。
またまた滝。
上陸して水浴びしたかった。
本日の野営地であるアナマ岩に到着。迫力のある地層が露出している。
たぶん、穴の開いている岩がアナマ岩。
ネットで「アナマ岩」を検索すると、これとは別の岩が沢山表示されるけど、それはトレッキングコースから本当のアナマ岩は見えないからだと思う。
ジャリ浜に上陸。
今日は穏やかな海だが、打ち上がっている流木の位置を見ると、荒れている時はそれなりに波が上がってくることがわかる。
さっそくテントを設営し、居心地のいい "居間" を作り上げた。
ウオーターコンテナは、プラティパス-Platypus-の6リットルコンテナをやめて、今回からシートゥサミット-Sea To Summit-の PackTap 6リットル。
ぜったいに水漏れしないし、コックピットの足下に置けるので便利。
野営地の裏山には川が流れていて、この下の方で水浴びできた。
ここは8時間コースのルートになっているけど、この時間に歩いている人はいないので、例によって生まれたままの姿になって冷たい水を浴びた。
だんだんと日が陰っていくが、それにしても日が長い。
おかげでウイスキーを飲みながら、暗くなっていく景色をユッタリと楽しむことができた。
豪華な夕焼けのショーが始まった。
そして、全国にいるカヤッカーの中で、たぶん自分が一番北にいるはずだと思うと少し痛快な気分になった。
少しずつ酒のつまみを作り、ウイスキーと一緒に流し込む。
流木は沢山あるし、虫もいない。
強めの風と暗くなっても鳴き止まない鳥達の声が少しうるさいが、それは気にしないことにする。
(3日目につづく)