ワンウェイは旅だ! 〜三戸浜から逗子〜
フェザークラフトに乗る先輩カヤッカー二人は、車を使わず電車やバスそして、タクシーを使ってツーリングに出かけている。
二人に、なぜ車を使わないのか聞いてみた答えがこれ。
「帰り道でビールを飲みたいんですよ〜。」
「帰りの電車で一杯やりながら、というのも中々良いですよ。」
ちなみに、自分は近場の三浦や伊豆に行く時はいつも車。
ワンウェイで漕ぎたい時は、ゴール後に出艇地に置いた車を電車で取りに行ったり、カートを引いて戻ったりしている。
でも、"帰り道でのビール" はできない…。
⇨小西さんの620日目を行く 〜伊豆 伊東から真鶴半島〜
⇨上陸ポイントなし 〜片瀬白田から伊東〜
年末にトラブった車は、まだ修理に出していないので、年明けの初漕ぎは自宅からパックカートを転がして三崎口まで行き、駅で友達にピックアップしてもらった。
⇨We love river 2014年初漕ぎ〜三戸浜から菊名〜
1月11日、土曜日の朝。
横浜では天気予報が連呼した寒波も通り過ぎてしまったのか、昨日よりも寒くない。
そして、海況を見ると、風も波も穏やかで気温も9℃まで上がる予報。
寒くないじゃん!って事で、急遽漕ぎに出ることにした。
ルートは、三戸浜から逗子。
今日はソロなので、このルートであれば出艇地も撤収地も電車の駅に近い。
三崎口駅でタクシーに乗り、三戸浜に向かってもらう。
「細い道を行ってください。」
「別の道で行ってもいいですか?料金は変わらないので。」
「ワンメーターで行けるなら、どの道でもいいですよ。」
神社前に着く直前、料金メーターがカシャっと上がった。
ふむ…やっぱり細い道じゃないとダメじゃん。

三戸浜の駐車場はカヤックをやりにきた人達の車で満杯。
たぶん彼らは城ヶ島方面に向かうはず、自分はワンウェイなので、この後会う事はない。

海況は、穏やかなウネリと風があるだけで絶好のカヤック日和。
今日のルートは、漁師さんとカヤッカーの間がギクシャクした関係になっている長井を通過するので、デッキに旗を立てて行く。
ウェアは、トップがReedのTranspire Fleece、気休めラッシュ、そしてHenri Lloydのセミドライトップ。
アンダーがラッシュパンツにGRUSHのホットカプセル、その上にKokatatのボーターパンツ。
シューズはみのる君。
セミドライトップが黒なので、目立つ様に黄色のPFDを着けた。

海の色も透明度も絶好調。
キリっと爽やかな海が広がっていて、これだけでもエッチラオッチラ重い荷物を持って来て浮かんだ価値がある。

長浜の辺りでは海鳥達が集団飛行し、佃嵐崎と荒崎の間では気持ちのいいウネリが入っている。
荒崎を越えると海岸線も単調になってしまうので、この場所で暫く波間に漂ってみる。

名残惜しいけど、荒崎を回ることにする。
正面には富士山と箱根の山がたっぷりと雪を被っている。
海の先に富士山を見ながら漕げるのは、相模湾と駿河湾だけなので、自分達は贅沢なフィールドで遊ばせてもらっているんだと思う。
荒崎を回り込んだ直後、南の方から三隻の漁船が戻ってきた。
漁船と漁船の間は、そこそこ間隔が空いていたけど、その場に留まり手を上げて通過を待った。
操舵室にいる漁師さんの顔は見えないけど、たぶんこのカヤックの事は見ているだろう。
三隻の漁船は、たっぷりと引き波を残しながら目の前を通り過ぎ、佐島漁港へ向かって行った。

無用なトラブルを避けるため、漆山湾、新宿湾、尾形湾に点在する漁港とは距離を取り、沖出ししたまま退屈な小田和湾を横断する。


佐島を過ぎ、立石の近くまで来たら音が無くなった。
風が止まったせいなのか、音の無い世界は時々ふいにやってくる。
まるで、陸地で暮らす人達がいっせいに消えてしまったんじゃないかと錯覚するような静けさがただよい、凪いだ海がどこまでも広がっている。

二人組みのカヤッカーが休憩している長者に上陸。
ポカポカで今年一番の天気なのに、なぜかカヤックもSUPも少ない。
コンビニで買ってきたお弁当とビールでランチ休憩する。

すれ違ったカヤッカーは二人だけ。
誰もいない葉山は、まるで別の場所みたい。


森戸神社前を通過。
穏やかで気持ち良さそうな海が江ノ島まで?がっている。
このまま江ノ島に向かっても15時半前に着くので、もっと日が長ければ行っちゃったかも、


今日は風が無いので、カヤッカーには絶好のコンディション。
反対に、ヨットやウインドの人達にとっては悪いコンディション。

13時50分、逗子海岸に到着。
三戸浜に浮かんだのが10時半だから、かかった時間は3時間20分。
距離は16.2キロ。
ゴール後は、冬のパドリングとしては珍しくしっかりカヤックを乾かして撤収できた。
ビールを飲みながら!
新逗子駅までは800メートル。
途中で早い時間から飲める店があったので、軽く一杯やって帰った。
今日のルートは、距離も時間も短いけど、ワンウェイツーリングの楽しさを再発見できた。
日帰りだけど、これは "旅"。
先輩達は、こんな楽しいツーリングをしていたのかっ!とあらためて思った。
場合によっては、近場であってもゆうパックで送り返してしまう事もありなので、身軽になった後は別のプランを入れる事もできる。
フォールディングカヤックの旅は、アイデア次第でもっと楽しめそうだ!
