上出来の8キロ 〜恩納村 安冨祖周辺〜

南風が強い。

沖縄に向かう前はこんな計画を立てていた。
1日目はバスで幸喜ビーチまで行き、カヤックでいつものルーまで行く。2日目はルーから戻って熱田ビーチで野営し、3日目は西海岸を行けるところまで行き、バスで那覇のホテルに戻る。
しかし、15メートルの南風が吹き抜ける名護湾や本部にカヤックを浮かべるのは絶対に無理だ。
Windguruの画面をどんなに眺めても、この先10日間は毎日赤マークが並んでいる。

時折猛烈なスコールがやってくる。
急遽レンタカーを予約し、ホテルのラウンジでのんびり朝食を食べながらこれからの計画を考え直すことにした。
恩納村に住み毎日ダイビングを楽しんでいる友人に聞いてみたところ、沖縄本島で南風が吹いても、西海岸の恩納村周辺の沿岸であれば大丈夫だよ…という情報をもらった。

予報からイメージする海と実際の海が違うことはよくあることなので、とりあえず車で海岸沿いを走りながら、風と海の様子を見ることにした。
台風の影響が残っているにも関わらず、恩納村に入ると友人の情報通り穏やかな海が広がっている。
ただし、リーフにぶつかった波が真っ白に砕けているので、外洋は風と波で荒れているようだ。
安冨祖の国道沿いにある休憩エリアに車を停める。
風は微風で海も穏やか。

カヤックを組み立てていると、僕よりも年配で笑顔が感じいいオジサンさんに声をかけられた。
「いい趣味ですねぇ、これは高いんですか?」
「ちょっと高いですが、一生遊べることを考えたら安いと思います。」
「僕は遊びで野菜を作っているんだけど、海の上をいくのは気持ちよさそうですねぇ。」
「はい、特に沖縄の海は最高です。」

今日は車だし、遠くには行けそうもないけど、海に浮かべるだけでもラッキーかもしれない。

安冨祖 恩納村 あずま屋の脇からカヤックを砂浜に降ろした。
空には雲が多いものの、台風が近くにいるとは思えない素晴らしい海が広がっている。

安冨祖 恩納村 この場所は完全に北向きなので、風の影響はゼロ。
まずは北西の瀬良垣方面に向かう。

安冨祖 恩納村 12時過ぎの出艇後、すぐに小さなビーチで昼飯を食べる。
ヤドカリがたくさんいるので、彼らを踏みつけないようにしながら砂浜にある石の上に腰を下ろした。

安冨祖 恩納村ビールの栓を開けたとたん上空に黒い雲が張り出し、ポツリポツリと雨が落ちてきた。
慌ててカヤックのコクピットにカバーをして、木の下に逃げ込んだものの、猛烈なスコールを防ぐことはできなかった。
通り過ぎるのを待つこと数分。
再び青空が現れ、油みそのオニギリをビールで流し込んだ。

安冨祖 恩納村安冨祖 恩納村砂浜は白い。

瀬良垣 恩納村風と波の様子を見ながら南下するものの、瀬良垣漁港の先のリーフがいやらしかったので、戻ることにする。
今日は無理をしない。

スコール 瀬良垣 恩納村戻る途中、遠くに見えた白いカーテンがすごい速さでやってきて、あっという間に猛烈なスコールで辺りが真っ白になった。
身を低くし、突風が吹きやむのを待つ。
面白い経験だけど、岸から離れた場所ではくらいたくない。

ホテルみゆきビーチ 安冨祖 恩納村ホテルみゆきビーチ 安冨祖 恩納村スコールが来なければ海は穏やかなので、少し先に見えるホテルみゆきビーチの辺りまで行ってみることにした。
誰もいない浜に上陸すると、再び白いカーテンがやって来るのが見えた。
適当な隠れ場所がないので、今度はシーソックを頭からかぶって、スコールが通り過ぎるのを待つ。

安冨祖 恩納村2時間のツーリングが終了。
今日も航行距離は8キロ。
去年から続く8キロツーリングの記録を更新しているけど、今日は上出来の8キロだ。

スコールはほぼ40分ごとにやっくる。
撤収中にやられたくないので、空を見ながらカヤックを乾かし分解した。
そして、車のトランクにカヤックを入れた途端、スコールがやってきた。
ここまでくると、自分の晴れ男っぷりも相当なものだ。

IMG_8097.jpgビールとワインを買ってルーに向かう途中の海は、風と波で盛大に荒れていた。
チェックインし、いつもの「洋-1」の鍵を受け取ると、部屋の前の海は思ったほど風も波も無く、子供達が浮き輪を持って海に入っている。

シャワーを浴び、テラスでビールを飲みながら明日以降のことを考えてみる。
明日の宿は取っていない。このホテルも明日は満室だし日曜日から予約してあるホテルも明日の部屋は無い。
とりあえずレンタカー屋に電話をして2日間の予定を1日延長した。
ワインに移り、ビーフジャーキーを舐めていると恩納村の友人から連絡が入った。
「飯持って遊びに行くよ〜」

P7080003lue.jpg友人が来る前に、予約していたバーベキューを食べることにした。
今日バーベキューを食べるのは自分一人のようだ。
セッティングしてくれたスタッフと少し話す。
「台風でキャンセルありました?」
「2組ありました。」
「来ちゃえば居心地いいのにねぇ。」

P7080012lue.jpgこんな天候なので夕焼けは諦めていたのに、瀬底島の向こう側では素晴らしい空が広がっている。
やはり来てみるもんだと自分自身にも言い聞かす。

IMG_8116.jpg友人夫婦がルーを訪ねてくれるのはこれで2回目。
自宅から1時間もかかるのに嬉しい。
何気なく明日の宿が無いことを事を話すと「うちに泊まればいいじゃん」とこれまた嬉しいオファーをもらった。
あとは昼間をどうするか…だけだ。

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