ニコの悲願とルイスの行動
フォーミュラワン ドライバーズ世界選手権は最終戦のアブダビGPの時点でニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンの二人に絞られていた。
予選はいつも通り二人の戦いになり、ルイス・ハミルトンがポール・ポジションを獲得。
ルイス・ハミルトン(Mercedes) 01:38.755
ニコ・ロズベルグ(Mercedes) 01:39.058
ダニエル・リチャルド(Red Bull) 01:39.589
そして、12ポイント差で追うハミルトンがタイトルを獲得する条件はこうなる。
- ハミルトンが優勝の場合、ロズベルグが4位以下
- ハミルトンが2位の場合、ロズベルグが7位以下
- ハミルトンが3位の場合、ロズベルグが9位以下
マシンが止まらない限りメルセデスのどちらかのドライバーが勝つ確率は90%以上ある。ポールのハミルトンが優勝したとしても、普通にレースしている限りロズベルグが4位以下になる可能性は限りなく低い。
レースがスタートした。
トップはハミルトン、2番手にロズベルグ。
そのオーダーがレース終盤まで続いた時、ハミルトンがある行動をとった。
ハミルトンは、意図的にスローペースで走行し、ロズベルグを後続とのバトルに巻き込ませたのだ。
ロズベルグのすぐ後ろには、セバスチャン・ベッテルが迫り、そのすぐ後ろにもマックス・フェルスタッペンが続いている。
その二人がロズベルグを抜けば、ハミルトンがチャンピオンになる。
ハミルトンがその作戦を考え実行するのは当然だし、誰がハミルトンの立場になったとしても考えるだろう。
しかし、当然ながらチームは「チームが優勝すること」を第一に考えた。
スーパーソフトタイヤを履いているベッテルがロズベルグとハミルトンに仕掛けてきた場合は、チームとしては優勝が危うくなりかねなかった。
当然、ピットからハミルトンにペースアップの指示が飛んだ。
しかし、チームディレクターのパディ・ロウが直接メッセージを送っているにも関わらずハミルトンはその指示に従わなかった。
これは、チームとして問題である。
チーム代表のトト・ヴォルフは、ハミルトンの気持ちがわかるとした上でこう語った。
「1500人のチームメンバー、30万人のダイムラーの従業員が作り上げてきた価値を守らねばならないという思いがある。彼らにはその価値を尊重する義務があり、公に構造を傷つけることは、チームより自分を重視していることになる。どんなチーム、企業でも、無秩序では成り立たない」
これもチームとしては当然の考えだと思う。
ニコ・ロズベルグのF1チャンピオン祝賀会に、チームメイトのハミルトンは欠席した。
アブダビGPの後で行われたピレリの2017年F1タイヤテストで、ハミルトンは体調不良を理由にテストを途中欠席した。
僕は、モータレーシングの最高峰であるF1に参戦するドライバーは、速さだけでなく、他のカテゴリーに参戦するドライバーの模範となる振る舞いが必要だと思っている。
昔のドライバーは大人で紳士的なドライバーが多かったのだが、ここ数年の低年齢化によって礼儀やモラルを知らないドライバーが増えてきているように思う。
ハミルトンについては何度かブログにも書いているが、いまだに大人になりきっていないように思う。
⇨大人ドライバー
⇨ルイス・ハミルトンは若手No.1なのか?
ニコ・ロズベルグの父親であるケケ・ロズベルグは、僕が好きだったドライバーの一人で、初めて4輪のレースに出た時の僕のヘルメットは、ケケのヘルメットデザインをベースにしたものだった。
ここに辿り着くまでの写真を見ると、二人の絆の深さがわかる。
小さい頃から、父親と一緒に「レーシング」の世界に生きてきたニコには本当におめでとうと言いたい。
そして、この動画は最高にいい!
(あとがき:2016-12-3)
目標だったワールドチャンピオンを獲得したニコ・ロズベルグが引退を発表した。
そして、このようなビデオを見つけた。
今から16年前のハミルトンとロズベルグ。二人とも初々しい。
(あとがき:2016-12-10)
F1でのハイライト。