はやぶさ2の旅

- 川崎市の生田緑地で化石が出たとの情報を元に発掘に行き、サンプルを持ち帰る。
- 爆竹を解体して取り出した火薬を使って作った三段ロケットのテストで爆発。
- 中学校の理科の時間に「相対性理論ってなんですか?」と質問し、先生を固まらせる。
- ソフトウェアの会社に就職後、空き時間で月面着陸船シミュレーションゲームを制作する。
- 時間と空間について書かれた科学書籍やSF小説を読みあさる。
- 大好きなSF映画は何度観ても飽きない。
- 夜空を見上げては、宇宙の果てを想像する。
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早い話、私は地球や宇宙の事が大好きである。

fig1_Rendezvous.jpgfig3_touchdown1.jpg©池下章裕

2019年7月11日、「はやぶさ2」が直径870メートル(!)の小惑星リュウグウにタッチダウンし、人工的に作り出したクレーターで飛び散った砂や石の採取に成功した。

fig6_reentry.jpgReentry_capsule_20_09.jpg©池下章裕

そして今日 2020年12月6日、リュウグウの探査を終えた「はやぶさ2」は、打ち上げから約6年の旅を経て地球に再接近し、リュウグウから採取した岩石サンプルの入ったカプセルを地球に届けた。
チリ同然の小さな惑星に探査機を着陸させ、岩石を持ち帰るなんて…そんな計画を考え、実行し、成功させた科学者は、我々には想像もつかないほど頭が良くて、ロマンがある人達だと思う。
しかし、驚くのは早い。
当初のミッションをやり遂げた「はやぶさ2」は、休む事なく拡張ミッションを与えられ、小惑星1998 KY26に向かう。
この小惑星は直径およそ30メートル(!)で、到着するのは11年後の2031年である。

いい機会なので、惑星探査の大まかなトピックを調べてみた。

nasa_voyager.jpg©NASA

「ヴォイジャー」という名前は、誰もが一度や二度は聞いた事があると思う。
ヴォイジャー1号と2号は、1977年にNASAが打ち上げた惑星探査機で、どちらも木星と土星の近くを飛行し、沢山の写真を撮影した。
そして、ヴォイジャー2号は、天王星と海王星の探査も行っている。
宇宙の写真(外部サイト)

nasa_heliopause.jpg©NASA

どちらの探査機も、現在は太陽圏(ヘリオスフィア)を離れ星間空間(インターステラー・スペース)を飛行している。
ちなみに、太陽圏というのは太陽風の影響が及ぶ領域の境界で、1号は2012年8月に、2号は2018年に太陽圏を離れた。
ボイジャー1号が太陽圏を脱出(外部サイト)

nasa_cassini.jpg©NASA

ヴォイジャー打ち上げから20年後、1997年10月にNASAが打ち上げたのが土星探査機のカッシーニだ。
カッシーニは、土星探査を終えた2017年9月15日に土星の大気圏に突入し、その役目を終えた。
地球から土星までの距離は約15億キロメートルだった。
土星探査機カッシーニの最後のミッション(外部サイト)

esa_rosetta.jpgesa_churyumov-gerasimenko.jpg©ESA

欧州宇宙機関(ESA)が、2004年3月に打ち上げたのが、彗星探査機の「ロゼッタ」。
ロゼッタは2014年8月にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到達し、同年の11月に着陸機「フィラエ」を彗星に着陸させた。
彗星探査機「ロゼッタ」、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着!(外部サイト)
「フィラエ」がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸!(外部サイト)

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、6.57年で太陽を周回する彗星で、ピーナツのような形状をしている。
体積は21.4平方キロメートルで、一辺の長さは2〜4キロくらい。
ちなみに、みんなが知っているハレー彗星は約75年で周回している。

ロゼッタは、2016年9月にミッションを終え、同彗星に着陸(ゆっくり落下)したので、旅の期間は12年半、およそ60億キロメートルだった。
ロゼッタ、ミッション終了(外部サイト)


探査機の旅とはどんなものだろう?
私たちが旅をする時は、移動距離で旅の話しはしない。
旅の長さや困難さを実感できるのは、旅の期間とミッションだ。
はやぶさ2は、打ち上げから小惑星1998 KY26に到着するまで17年。
カッシーニは20年。
ロゼッタは12年。
そして、打ち上げから44年経ち今も飛行を続けるヴォイジャーは、約4万年後に「きりん座 AC +79 3888」という星から1.6光年のところを通過する。
今度、満天の星空の下でキャンプする時は、そんな事を考えながら宇宙の果てを想像してみたい。

(2021-6-15:あとがき)
契約しているNHKオンデマンドで「冒険者たちが語る 太陽系のヒミツ 小惑星 彗星」を見た。
「はやぶさ」「はやぶさ2」や彗星探査機「ロゼッタ」のミッションに関わった科学者たちのインタビューと、緊張が連続する現場のドキュメンタリーだった。
成功の瞬間は誰もが最高の笑顔をしている。
そして、これが大人の仕事だと感動した。
同時に、この国を動かす国会議員、地方議員、各都道府県の首長そして、官僚達も国民に最高の笑顔をプレゼントできるよう、大人の仕事をして欲しいと思った。