レッドブルの思惑

2025年3月27日、角田裕毅選手のレッドブル・レーシング-RedBull Racing-入りが発表された。
このニュースは瞬く間に世界中を駆け巡り、多くのファンそして、Youtuberがこの話題を取り上げている。
ほとんどの人が話すのは、レッドブル首脳がどのように今回のドライバースワップを検討したかだったり、リアム・ローソンと角田裕毅のドライビングスタイルの比較そして、角田裕毅がRB21を乗りこなすことができるのか…という話題に終始しているようだ。
しかし、自分はもっと大切な決め手があったのでは…と思っている。

レッドブルの今年のマシンRB21では、コンストラクターズ選手権とドライバーズ選手権どちらもチャンピオンを取るのは非常に難しい。
しかし、それでもどちらの選手権でも3位の座は維持したい。
そして、それよりも重要な事は、マシンのレギュレーションが大きく変わる2026年の事だ。
たぶんレッドブルは、そんな将来を見据えて布石を打ったのではないかと思う。

レッドブルとホンダのパートナーシップは今年で終わり、2026年はレッドブル・パワートレインズ-Red Bull Powertrains-が製作した自社製パワーユニット(エンジン)を使う。
しかしフォードとの提携があるとはいえ、これまで実戦を戦った事がない自社製パワーユニットで戦えるほど今のF1は甘くない。
ひょっとしたら、全てのレースで予選最下位となる可能性もある。
そんな事はフェルスタッペンもわかっている事なので、来年はチームを離脱するかもしれない。
そこで、今回のドライバースワップである。
この決定は、ひょっとしたらレッドブルに一石三鳥のメリットをもたらすかもしれない。
- 角田裕毅で今年のチャンピオンシップの痛手を最小限にする
- ホンダのパワーユニットを使うもう一つのチームになる
- フェルスタッペンの離脱を防ぐ
である。

レッドブル・パワートレインズが設立されたのは、2020年にホンダがF1撤退を発表したことに起因する。
また、2023年にF1への再復帰をホンダが発表した時、パートナーに選んだのはアストンマーティンだったことから、レッドブルとホンダの間にはパートナーになれないなんらかの理由があったんだろうなぁと推察できる。
しかし、レッドブルが自社製パワーユニットの開発に失敗した場合、代わりのパワーユニットは無い。
ホンダが複数F1チームへパワーユニットを供給する可能性がある事を認めたのは、今年の3月。
そして、まだ2番目のチームは決まっていない。
レッドブルに思うところはあれど、背に腹はかえられない…と悟ったのかもしれない。

honda-pu.jpg