腰痛おじさん通りゃんせ 怖い編〜大房岬から金谷〜

日曜日 朝6時に目が覚めた。

大房岬

今日は晴れだと思ったのに、なんだか雲が多い。
そして、風予報も "悪い方" へ変わってしまい、14時くらいまで8〜9メートルの北風が吹くらしい。
腰痛おじさん達は帰れるのかな?

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キャンプツーリング時のウォーターコンテナは、Sea To Summitの6リットルPackTapを持っていき、こんなふうに設置している。
たまたま枝付きの流木や竹なんかが落ちていると、いろいろ引っ掛けることができて便利。

それと、砂浜やゴロタの浜でテントを張る時はサンドペグがあると便利だけど、現場で代用できる物がある時はそれを使う。


朝飯は、タケさんのストーブを借りて済ませた。ただ、昨日まであった箸が一本行方不明。
和武器という高級箸だったのに…トホホ。
たぶん今度は安物の箸になる。

ちなみに、毎食しっかり食べる私の朝飯は、チゲスープごはんに、あおさの味噌汁、そしてコーヒー。
タケさんは、カロリーメイトだけ。
聞くところによると、キャンプツーリング中の朝飯と昼飯はカロリーメイトだけで済ますことが多いらしい。
そんなんでよく力が出るもんだ。

大房岬

出艇準備完了…って、今日は荷物がデッキに溢れている…なんで?

海岸に打ち寄せる波は無く、海は穏やかで風も感じられない。
しかし、コーミングにスプレースカートを引っかけ漕ぎ始めた時、館山湾沖の水平線がギザギザしていることに気がついた。
嫌な予感がする。

大房岬

ここを抜けると北を向く。
予報どおり風は吹いているか?

大房岬

とんでもない事になっていた!

カヤックをやる人は、この海面を見ればだいたい想像がつくと思うけど、しっかり10メートルは吹いている。
ブローでは13メートルかそれ以上ありそう。
正面からだからなんとかなるけど、こんな突風を横から受けたら一発でひっくり返りそう。

大房岬の突端で進行方向を見ると、絶望的な状況が目に入って来た。
進むごとに風波もどんどん増し、目の前は波頭が砕けた白い海がずっと続いている。
そして、大きな波を乗り越える度に全身にスプレーを浴びる。
少し離れた所を漕ぐタケさんを見ると、波を乗り越え、そして落とされ、カヤックがまっすぐになっている時が無い。

なんとか大房岬を回りきり、富浦の海岸が見えた。
できれば富浦に逃げたいけど、そうするとカヤックを風と波に対して横に向けることになる。
風の中でタケさんに話しかけた。

「正面右側の浜に向かいましょう。」

聞こえたかどうかはわからない。
だけど、指で南無谷崎の右側方向を指したので、たぶん意思は通じたはず。
風は北北東から吹いているので、風に真正面から立ち向かう方向に進まなければならない。
波はいい、風がやっかいだ!

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上陸。
私がカヤックから降りた場所は、目の前が砂浜なのにドン深で胸まで浸かってしまった。
ここ最近、どうもドン深にはまる事が多い。
ドライトップを着ていなかったのでアンダーが若干濡れてしまった。
風待ち中に風邪を引いてもつまらないので、予備のアンダーに着替え、マウンテンイクイップメント -Mountain Equipment- のAiguille ジャケットを羽織って暖まった。

ここまで来るのに1時間半かかったけど、岬の先端から約3キロ進む事ができた。
何故か、この場所から漕いできた海を見ると穏やかそうに見える。

「いや〜頑張りましたねえ〜」
「途中でUターンしようと思いましたよ。」
「一人だったらどうしてた?」
「Uターンして館山で撤退か、富浦で撤退してたかも。」
「一人だとめげてたかもね。ここで風待ちしましょう。」

そう話すタケさんの顔は沢山のスプレーを浴びて白くなっている。

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目の前を、海鳥の群れが南無谷崎の方に向かって飛んでいく。
その方向は、まだ白波が立っている。

1時間ほど風待ちをすると、白波も少し落ち着いた様に見えた。
とりあえず南無谷崎を抜け、もしダメそうだったら岩井で撤退もありかもしれない。
この先は所々にJRの駅があるので、無理して進むことはない。

シールライン

シールライン -SEAL LINE- のバハバッグは、非常にタフにできているので、デッキの上で波を被っても大丈夫。

さて出発。

南無谷崎

南無谷崎では海鳥が集まり、お祭り状態になっていた。
あの辺りは昨日イワシの群れがいた所…海鳥達は魚を獲る為に空中から海の中にダイブしている。
まるで、アリューシャンの海にいる様だ(行ったことないけど)。

南無谷崎

岩井の岩礁地帯までやって来た。
風はまだまだ強く吹いているけど、波高も落ち着き、なんとか先まで行けそうだ。
勝山の方を指差した。

「まっすぐ行きましょう。」

タケさんの自作フラッグは、風でほとんど倒れそうになっているけど倒れない。
ちなみに、この写真を撮るだけで5メートルくらい流されている。


勝山を越え、昨日の昼飯で寄った大六海水浴場に2日続けて上陸した。
この浜の真ん前にはチャンポン屋さんがあるので、そこで暖かいラーメンを食べることにした。
洗面所で顔を洗ってきたタケさんが一言。
「顔見てびっくりしましたよ。」
「だから言ったじゃん。」

そういう自分も、鼻の辺りがガビガビになっている。

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15時30分。
金谷港手前の金谷海浜公園の砂浜に上陸した。
昨日は昼飯を入れて4時間、今日は7時間15分かかった。

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なんとか金谷まで戻ってくる事ができた。
腰痛おじさん同士で握手を交わし、お互いの健闘を讃えた。
もしソロだったら撤退していたかもしれないだけに、気持ちのいい達成感がある。

タ「いや〜いいトレーニングになりました。」

ぎっくり腰もなんとか頑張ってくれた!

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「17時20分のフェリーに乗りましょう。」

1時間半後ってことね。
ここからフェリー乗り場までは歩くと10分はかかるから…1時間くらいで全ての作業をしなくちゃならない。
陽も沈んでしまったので、当然カヤックは乾かない。
大急ぎで撤収し、重いトラベルスタイルバッグを転がしながらフェリーターミナルに辿り着いた。
ふ〜〜これが一番疲れたかも…。


家に帰るとスマホにメールが届いた。
イイダーからだ。

イ「今日は、凍えるほど寒く感じましたが、キャンプツーリングは楽しめましたか?」
タ「昨日までは快適だったのですが、今日は向い風で過酷なツーリングとなりました。仲間がいると心強いということを学びました。」

腰痛だったけど、行って良かった。
仲間とのカヤックは、ソロとは違う経験をさせてくれる。
また行きましょう!

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