山頂直下は39度 〜日光白根山〜

この記事をアップして画面で確認した時、今回のタイトルは「山頂直下は39才」と見えてしまった。
もちろん "山頂直下" などという名前の人がいるわけでもなく、いくら猛暑の夏とは言え、標高2600メートル近くの山の山頂近くで "39度"という気温を記録したわけでもない。

8月3日 金曜日。
今日は、いつもの山岳会の面々と栃木県の日光白根山へ行く。
もちろん山登りである。
日光白根山は関東以北の最高峰だけど、ロープウェイで2,000メートル地点まで上げてもらえるので、実質600メートルを登れば山頂に立てるお気軽な山である。
しかし、例によって私は遠足前の小学生よろしく2〜3日前から体調を崩し、熱っぽい状態が続いていた。
まるで昨年の木曽駒ケ岳遠征の時のデジャブのようだ。
気合いの中央アルプス

そして出発当日の朝、やはり少々熱っぽい。
体温を計ると気落ちしそうなので、そのまま待ち合わせ場所に向かった。
もちろんマスク着用である。

丸山高原ロープウェイ山麓駅に着いたのは、8時45分。
ロープウェイ乗り場の真ん前の駐車場はガラ空きだったが、「登山者は奥の駐車場に停めてね」という看板の言付けを守って、少し離れた駐車場に停めた。
我々は大人なのである。

往復2,000円のロープウェイは8人乗りで次から次にやってくる。
運転間隔の長い駒ヶ岳ロープウェイも、こんな小型のゴンドラをクルクル回転させた方がいいんじゃない?…って思うのは、私だけだろうか?

IMG_6337_20180803.jpg9時22分、予定より20分遅れて登山開始。
その前に記念写真。
プライバシーポリシーの関係上、私以外の人間はイラストの顔を貼り付けてあるが、実物もこんな顔である。
そして、熱っぽかった私も、そこそこ元気である…ように見える。

P8030003.jpg普段から運動不足のシュニンは相変わらず休憩が多いが、問題の私はまだ大丈夫である。
この時期の私は、ショーツにパタロハという登山スタイルが多い。
何回目かの休憩の時に、シュニンにアドバイスしてみた。
「ショーツにしちゃうと少し楽になるよ」
「そ〜っすかぁ?じゃあやってみよっかなぁ〜」
と言って、ジッパーで裾を切り離しにかかった。
しかし、普段あまり切り離した事がないというジッパーの動きが悪く、なんともまぁ中途半端な位置でピクリとも動かなくなってしまった。
ダメージジーンズ風で悪くもない気がするが、本人は「まいったなぁ〜」と言っているので、仕方なく私がお手伝いして事なきを得た。

P8030005.jpgそして、私の身に恐れていた事が進行していた。
まるで高山病になったかのように目眩がして、足元がフラついてきた。
あきらかに熱っぽい。
頻繁に休みながら一歩一歩登っていき、ザレ場が見えるところまで来た所で、元気な女性陣から声がかかった。
「顔色ひどいよ〜」
どうも、土気色を酷くしたような顔色をしているらしい。
ここまで2時間20分。
本来なら山頂に着いていなければならない時間だが、ここで昼飯にする。
私は、おにぎり一つを食べるのが精一杯で、コーヒーを入れる気力もない。
がっつり熱が出ているのがわかるし、これ以上登れる気がしないので、残念だが私はここで撤退する事にした。
元気な女性陣は、山頂に向けて再出発したが、病人の私と同じようなペースでしか歩けなかったシュニンも、ここで撤退すると言う。
病気でもないシュニンが私を気遣って撤退するのは絶対に良くない。
「ザックをここにデポして、空身で行ける所まで行ってみようかな…」
「大丈夫ですかぁ?」
「ダメだったら無理しないし、山頂まで行った女性陣が降りて来たらそこでやめる。」
「じゃあ、行ってみますかぁ」
心配症なシュニンはザックをデポしないで登り始めた。

IMG_6338.jpgだいぶ高度を上げて来た。

IMG_6340.jpg13時20分、登頂した女性陣が下りて来た。
山頂での景色の様子を聞いたシュニンも、ここから20分で登頂できると聞き、俄然やる気が出てきたようだ。
私はココまで気力でなんとかしてきたが、山頂までは行けそうもない。
14時に下山を開始することを確認して、シュニンは山頂に向かった。

IMG_6341_20180803.jpg私は下山。
こんな抜群の天気なのに、山頂まで行けず残念!!

P8030006.jpgザックをデポした所まで下り、寝っ転がってシュニンが戻って来るのを待つ私。
下りが苦手な女性陣は、早めに出発している。
この時点で14時36分。
シュニンは影も形も見えない。
ロープウェイの最終は16時半なので、そろそろこの場所を出発しなければならない。

結局、山頂から下りて来たシュニンと合流したのは15時。
あと1時間半で、ロープウェイ山頂駅まで下りなければならない。
1時間ほど寝っ転がって休憩できた私は、走って下山できるくらいまで体調が復活している。
しかし、シュニンはザレ場で膝を痛めたらしく、下りのペースが上がらない。
そんなこんなで山頂駅に着いたのは16時25分だった。

到着ビール4缶、日本酒4合瓶2本とワイン1本を買い出しして、今宵の宿には17時半に到着。
計画では、15時には宿に着いていたはずなので、2時間半も遅かった事になる。
全て、体調不良の私と運動不足のシュニンの責任です。
ごめんなさい!!

温泉で汗を流した後は、待ちに待った夕飯。
そして、3人が登頂できた事を祝いビールで乾杯した後、私の具合が急激に悪くなってきた。
体温がグングン上がっているのがわかる。
感覚的に39度くらいありそうだ。
宿からアイスノンを借り、薬を飲んで寝る事にした。
隣の部屋で打ち上げをしている3人の笑い声を、ボ〜ッとした頭の隅っこで聞いている。
状況的にはとっても悔しいが、今はこの布団の中が天国のように感じ、長かった1日がやっと終わった事にホッとしていた。

P8030010_2.jpgP8030013_2.jpg翌日、登頂メンバーから写真が送られて来た。
1枚目は、山頂から見えた五色沼。
2枚目は、両手でトレッキングポールにもたれ掛かりヘロヘロな様子で女子1号と立ち話をする私。
この時も39度くらいあったかもしれない。