4時起床 会津2日目〜中門岳から檜枝岐歌舞伎〜

2日目。
今日は、中門岳に行って下山するだけなので、あまり早く起きる必要はない。
しかし、あまりにも隣の人のイビキと寝相が悪いので、外が少し明るくなった4時に起きてしまうことにした。
山小屋は早寝早起きの寝たもん勝ちなんだなぁと思う。

荷物の置いてある階段の踊り場に行くと、数人の人がザックに取り付いていた。
トイレはみんなが寝ている山小屋の裏にある。
しっかり厚着をしてから山小屋の長靴を借り、暗い雪道で転ばないように慎重に歩いて行った。

IMG_9600.jpgIMG_9601.jpgザックを持って外に出ると大戸沢岳の奥がすでに明るくなっていて、それから20分ほどで小さな太陽が顔を出した。
お湯を沸かしている間に続々と人が出て来て、みんなが同じ方向を見ている。
ソロの人ばかりではないだろうに、並んで立っている人がいないのがいい。
今日も快晴。

IMG_9569.jpgIMG_9604.jpgしっかり朝飯を食べてから出発。
今日は、目の前にある会津駒ヶ岳の頂上に登り中門岳までを往復、その後下山する。
中門岳は11年前に一度だけ行った事があるだけなので、念のため小屋の前で準備をしていたガイドさんとおぼしき人に聞いてみた。
「中門岳はどっちの方になりますか?」
「正面右手が大戸沢岳なので、中門岳は左手になります。」
後で調べたところ、大戸沢岳は雪がある時だけいける山らしく、バックカントリースキーヤーには人気がある。
次回冬の会津駒ヶ岳に来た時に行ってみたい。

斜面の雪は凍っていて歩きやすく、あっという間に標高2132.4メートルの頂上へ到着。
山頂標識は「岳」の字の下が雪で隠れている。
雪の無い時期の岳の字は私の腰ぐらいなので、この場所の積雪は1メートルくらい。
正面に見えるのは、尾瀬ヶ原を東西から見守る燧ヶ岳と至仏山。
燧ヶ岳の柴安グラ(しばやすぐら)の標高は2,356メートルなので、この場所よりも200メートルほど高い。
ちなみに、東北地方で一番高いのが燧ヶ岳で、会津駒ヶ岳は三番目である。

IMG_9605.jpg中門岳に続く稜線。
北側の斜面が雪庇になっている。
誰もいない!! …と思って歩き始めたら、顔を日焼け止めで白く塗ったソロ男性が戻って来るところだった。
「早いですね〜」
と声をかけてはみたものの、この男性は何時から行動していたんだろう?

IMG_9606_20190512.jpgIMG_9609.jpg誰もいない稜線を行く。

IMG_9615.jpgしばらくすると、立木が埋まって顔を出している場所があった。
この辺りの積雪はまだまだありそうだ。
ひょっとしてここが中門岳なのだろうか?
標識は完全に埋まっているので、よくわからない。
夏の写真と比べてみる。
2008年9月の中門岳
ここかな?それとももっと先か…

IMG_9616.jpgIMG_9617.jpgまったく踏み跡が無い尾根を先に進む。
そして、この先はど〜んと切れ落ちているように見える。
中門岳はこの辺りなのだろうか?
もう一度、雪が無い時に来ればわかるかもしれない。

IMG_9613.jpgこれ以上進めないので戻ることにした。
来る時についた私の足跡だけが蒼い空に向かって続いている。

P5120062.jpg会津駒ヶ岳の山頂から続く稜線にあった雪庇の裂け目はこんな感じ。
もう少ししたら崩れてしまうだろう。

IMG_9603.jpg会津駒ヶ岳の山頂から駒の小屋目指して下る途中で、昨夜の楽しいカップルがスキーを背負って登って来た。
「来年は日本酒のイベントでお会いできるかもしれませんね?!」
「たぶん会えると思いますよ〜!!」
この山もスキーヤーが多い。

P5120066.jpg小屋の前の雪のテーブルでコーヒーを飲んでから下山開始。
途中で見かけた立ち枯れている老木に威厳を感じた。
今日も休日なので、沢山の人が登って来る。
私より年配の女性も多い。

IMG_9624.jpg途中でルートがわからなくなり、辺りを見渡していたらモンベルのチェーンスパイクが落ちていた。
この持ち主は、この後どうしたんだろう?
後で調べてみたらチェーンスパイクは外れやすいようだ。
ちなみに、私の軽アイゼンはマウンテンダックスのナイロンベルトで装着するタイプなので、よっぽどの事が無い限り外れない。

落ちていたアイゼンを同じ場所に戻し、キョロキョロしていたら、同じ場所で道を探していたスキーヤーが夏道を発見して教えてくれた。

IMG_9628.jpg昨日入山してから24時間後の10時半に下山。
山小屋泊は、山をたっぷり楽しめていい。
ここから林道を30分歩いて、駐車場まで戻る。

IMG_9635.jpg国道に出ると、昨日は目に入らなかったタンポポがたくさん咲いていた。
タンポポの花をしっかり見たのは、ものすごく久しぶりなような気がする。

今日泊まる民宿に電話して早めに宿に着くことを伝え、登山靴からクロックスに履き替えた。
ともかく冷たいビールが飲みたいので、宿に車を置いて、歩いて昼飯と温泉に行くことにした。

IMG_9637.jpg途中にある歌舞伎の舞台に続く参道はまだ誰もいないが、6時間後には沢山の人で埋め尽くされる。

IMG_9638.jpgビールと昼飯は温泉にも近い「そば処開山」にした。
建物は変わらないのに店の中はすっかり改装されて、以前とは別の店のようになっていた。
「お蕎麦以外のものも始めたので、よかったら食べてみて。」
女将さんの勧めもあり、絶対に夕食に出るものとは被らない生姜焼きにしたら、これが絶品。

IMG_9644.jpgゆっくりと温泉に入り、宿で仕事のメールをチェックしていたら、夕食の時間になった。
檜枝岐の宿では、歌舞伎の日は17時から夕食になる宿が多いようだけど、私は大好きな山人料理(やもーど料理)を、一杯やりながら味わいたいので16時半からにしてもらった。
同じ民宿に泊まるガイドツアーの5人組も16時半からにしたらしく、隣の席は賑やかである。
熊肉も加わった料理は昼飯に引き続き絶品。食材は全て地元で採れたものだ。

IMG_9649.jpgそして夜は檜枝岐歌舞伎。
風もなく穏やかな天気の中で演じられたのは「玉藻の前旭の袂道春館の段(たまものまえあさひのたもと みちはるやかたのだん)」。
村の新人さん達が頑張り、素晴らしい舞台だった。