台風19号 -Hagibis-


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10月12日、中心気圧が915ヘクトパスカルまで発達した台風19号は、巨大な勢力を保ったまま東日本へ上陸した。
当初予想の上陸地点は神奈川の逗子だったが、実際の進路は少し北側。
横浜にある自宅周辺は、猛烈な雨が降り続いているけど、風は思ったよりも強くない。
ブルーシートで覆われた千葉は大丈夫だろうか?
ニュースでは、相模川上流にある城山ダムが緊急放流をしそうだと言っているし、多摩川の水位もいよいよ限界点に近づいている。
私は、台風が通り過ぎるまでネットのライブカメラをずっと見ていた。
もし、あと2〜3時間雨が降り続いていたら、相当な範囲で堤防を超えていたと思う。

テレビでは終日「自分の命を守れ」的な放送をし続けていたが、政府が何らかの対策を講じたという情報は最後までなかった。
地震ではなく、事前にわかっている災害に対して何もしない政府というのは存在価値があるんだろうか?
ハリケーンレベルでカテゴリー5という過去に日本が経験したどの台風よりも強力な「ハギビス -Hagibis-」は、各地で甚大な被害をもたらした。
国民がまさに被災していた12日当日、安倍首相はフランス料理に舌鼓をうち、公邸でゆっくり休んでいた。
また、国が管理する城山ダムを含む全国6つのダムでは、台風前に事前放流をしていなかった事が明るみになった。
この怠慢が原因で、台風当日に緊急放流をしなければならなくなり、増水した相模川の支流で家族4人が亡くなっている。
ダムを管理できる能力もないのに、ダムに頼った治水事業を行なってきた国の方針が問われる。
治水に役立っているダムもあるだろう。しかし、川を壊すだけのダムが日本には多すぎる。

野田知佑さんの本「川へふたたび」で、野田さんは日本の川についてこう書いている。
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日本の川で遊ぶと、楽しさ三割、腹立たしさ、悲しさ、痛ましさが七割だ。いつも何かから目をそむけている。川とそれをとりまく自然が恐るべきスピードで消滅しているからだ。
元凶は建設省だ。世界に誇る土木技術の粋を尽くして川を破壊している。蛇行した川を掘りかえて一直線にする。自然の土手を岸を壊して「洪水」に備えると称してコンクリートで塗りつぶす。最近は両岸だけでなく、川底までコンクリートのブロックを敷きつめる「三面張り」工事が流行っている。
この方が工事費がぐっと高くつくので。関係業者、官庁は喜ぶ。これをチェックする機関が民間にはない。
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壊れた川 | 流域の自然を考えるネットワーク

米国では、数年前からダムを撤去する動きが起こっている。
米国に広がる巨大ダム撤去ムーブメントとは?

そして日本でも荒瀬ダムが撤去され川がよみがえった。
これからは、利権ではなく本物の治水を行う時代なのである。