フェザークラフト ウィスパー -Feathercraft Wisper- について

今年の2月に納品されたフェザークラフト ウィスパーも、もうすぐ満1歳を迎えようとしている。
この10ヶ月で漕いだ日数を数えてみたら34日間。
思ったよりも多かった。
そのほとんど全てで使ったカヤックがウィスパー。(1回はケラマでのレンタル艇)
この記事が、これからカヤックを買おうとしてる人や、フェザークラフトを検討してる人の参考になればいいなって思う。
◾️ なぜフォールディングカヤックにしたのか
元々、自分のカヤックを持つならリジットカヤックではなくて、フォールディングカヤックにしようと思っていた。
理由は簡単で、日本のあちこちの海を漕いでみたいと思ったから。
もちろん、行った先々でカヤックをレンタルしたり、自分のリジットカヤックを持って行くという方法もあるけど、そのどちらも思い通りにならない事がある。
まず、カヤックのレンタルについては、まだまだやっているところが少ない。
やっていたとしても、貸してくれるショップのツアーに参加経験のある人とかの条件が付く場合が多く、レンタカーを借りる様にはいかない。
気軽に貸し出したカヤックで事故でも起こされたら大変なので、それは当たり前のことだと思う。
そうなると、現地のツアーに参加することになり、お金もかかるし自分で旅の計画を練る…という楽しみも持てない。
次に自分のリジットカヤックを持って行く場合は、どうしても車にカートップして運ぶことになる。
もちろん、しっかり梱包して運送会社に預けることもできるが、それは手間や運賃などが大変で現実的じゃない。
そうなると車で移動。
横浜に住んでいるオジサンとしては、フェリーを使って北海道や沖縄に行ったり、東北や九州まで車を運転して行く元気はない。
となると、選択肢は一つ。
折り畳めるカヤック=フォールディングカヤックしかない。
◾️ なぜフェザークラフト ウィスパーにしたのか
フォールディングカヤックには、空気で膨らませるインフレータブルカヤックというものもあるけど、風の抵抗をもろに受けるので海で使うことはほぼ無理。
そうなると、ターゲットはアルミなどでできたフレームを船体布(スキン)で覆ったファルトボートになる。
日本でシーカヤックタイプのファルトボートを販売している主なメーカーは3社。
5m以下のものだと、フジタカヌーが出してるPE-480EX、モンベルが出してるエルズミア480、それとカナダのフェザークラフトだ。
価格では、エルズミア480が最も安い。
その次がPE-480EX。
ぐ〜んと離れてフェザークラフト。
はじめは、"対応がいい" と評判のフジタカヌーに目がいった。
実物を見たいと思いショップに行ったりしてみたものの、置いてあるのはアルピナだけでPE-480EXは無い。
フジタカヌーに問合せして、直接藤田さんから連絡をもらったりしていたけど、京都の本社まで見に行こうと考えていたところで急に興味がなくなってしまった。
次に調べたのはエルズミア。
特に、横浜のサウスウインドが販売しているスペシャルモデルは、デッキが白、ハル(底)が黒でカッコいい!
そして価格も安い。
実物も見れた。
でも買わなかった。
最後の最後で思ったのは、自分の様な素人パドラーが安心して海を漕げるのは、世界で一番安全な船じゃないとダメ、というかイヤだって思ったから。
自分は、スポーツなどで身体を動かそうと思った時、「人間の気持ち」俗にいうマインドコントロールというのが一番重要なんじゃないかと昔から思っている。
そうなると「世界で一番安全で信頼できる船」というのが、ものすごく大きな意味を持ってきた。
言い訳できないし、後は自分のスキル次第。
ということで、メーカーはフェザークラフトで決まり!

では、どのモデルにするか?
もうこれはみなさんと同じで、カフナかウィスパーのどっちか。
カヤックのシルエットでいえば、オーソドックスなカフナの方が好み。
でも、フェザークラフト本社Webサイトにあるウィスパーの真横からの形もカッコいい。
長さはウィスパーの方が25cm長く、フレームを繋ぎ止めるクロスリブも6本でよじれにも強そう…ってことでウィスパーに決定した。
注文したのは、ラダーの無いウィスパー。
スキンはスタンダード。
オプションは、スモールバウハッチとプラスチックシートボトム。
K1やカサラノの様なデッキストリップも付けてもらおうかと最後まで悩んだけど、今は付けなくて良かったと思っている。
◾️ どんなカヤックか

片手じゃ持てないし、両手で持っても重い。
まして、これをバックパックの様にしょって歩くなんて、とてもじゃないけど無理っす…って感じ。
ちなみに今はどうかというと、片手でもなんとか持てるし、両手で持つのは全然へっちゃら。
野田知佑さんの「カヌーツーリング」というビデオの中では、K1を軽々と背負って湖畔まで行くシーンがある。
慣れれば背負えるのかな?
ラダーが無いことについては、今のところ困った事態に遭遇したことがない。
逆に、無くてよかったと思う理由は6つもあるので、ぜんぜん後悔していない。
- 1kgくらい軽い
- 組み立てが少し楽
- 壊れる部分が少ない
- スターンを岩にぶつけても大丈夫
- フットブレイスでふんばれる
- スターン部分がカッコいい
乗り心地はいい…と思う。
これも、何回か乗ったリジットカヤックとの比較なので説得力はないんだけど、「柔らかくてしなやか」な感じがする。
当初、スターン側のデッキバーが背中に当たって痛かったが、これは姿勢が悪かった為で、今ではまったく問題なし。
操作性もいい…と思う。
まだまだ素人なので、これも説得力はないんだけど、素直に反応してくれるように思う。
特に、しっかりと身体を使って舟に指示を与えている時は、舟との一体感を感じる。
なんか「思う」「思う」ばかりで説明になっていないんだけど、今言えるのはこんな感じ。

分解は20分。
自分のウィスパーは海外で購入したので、組み立て方は、youtubeにあったカフナのアッセンブリービデオ

ただ、組み立てには、いくつかポイントがあることがわかった。
(ディーラーの方に聞いたわけじゃなく、あくまでも自分流のポイント)
- 当たり前のことだけど、平らな場所を選んで組み立てる。
もし、傾斜がある場合はバウ側を高い方に向ける。 - シートスリングにさしたチャインとガンネルのエクステンションバーを、バウセクションとスターンセクションに接続する時は、それぞれのセクションを少し押して、バー同士が真っすぐになるようにして差し込む。(抜く時も同じ)
- 各バーにテンションをかける順番は、キール⇨ガンネル⇨チャインで。
組立説明のDVDではキール⇨チャイン⇨ガンネルなので、これは自分の好み。(※1) - 3番クロスリブを取り付けた際、ガンネルバーの黒いブロックを少し下に向けてスキンに触れないようにする。
- スポンソンに空気を入れる前に、4番クロスリブのアンダーデッキバックルを忘れずに留める。
エクステンションバーへのテンションがけについて、最近はキール⇨チャイン⇨ガンネルの順番でやっている。
◾️ 持ち運び
普段、三浦で漕いでいる時は、車のトランクに入れて出艇場所まで行って組み立て、同じ場所に戻ってきて分解撤収している。
8月にルーフキャリアを買ってからは、現地では分解せず自宅までカートップで運び、自宅で分解することが多くなった。
そして、2日連続とか2週続けて漕ぐような時は、分解しないでそのままカートップして運んでいる。
車で行ける所であれば、組んだままカートップで運んで2日間違う場所で漕ぐこともできるので、キャリアを買ってよかったと思ってる。
宅急便を使って送ったのは、隠岐と沖縄への2回。
隠岐に送る時はクロネコヤマトを使ったが、沖縄へはサイズ、重さとも余裕があり料金も安いゆうパックを使った。
横浜〜沖縄間は2,400円。
カヤック本体以外に、メンテナンスキット、常備キット(ロープ/ヘッドランプ/洗濯バサミ/ペリカンetc)、PFD、シューズ、ポンプ、パドルフロート、デッキコンパス、トイレキット、自炊用具、ウエアなども入れられる。
自分のパドルは、2分割式なので元々トラベル・スタイル・バッグには入らない。
宅急便の制限内で、なるべく詰め込んで送ってしまう。
ちなみに、自分はパックカートをセットした状態で持って行ってもらう。(※2)
もちろん、受け取ってもらう現地の宿へ事前に連絡しておくのは常識。
※2 あとがき:2011.11.22
郵便局の人に聞いたところ、パックカートが付いていない方が運びやすいとのこと。
これからは、付けないで運んでもらうことにする。
(あとがき:2015.10.18)
2015年8月からゆうパックが値上がりして、これまでよりも300円くらい高くなってしまいました。

沖縄のバスは前のドアから出入りするんだけど、通路が狭いので大きなバッグを持ち込むのはちょっと大変。
でも、どの運転手さんも優しいので、2回に分けて荷物を運び込み、くれぐれもバスを傷つけないように慎重に乗り降りした。
◾️ 気になるところ
まだ1年目なので、トラブルはほぼ無し。
気になる細かい点はこんな所。
- スターンエンドのプラスチックカバーが取れた。
強力接着剤でくっつけたけどまた取れそう。
⇨解決?http://www.is-amu.com/blog/2011/02/post-160.html - バウセクションとスターンセクションにデッキバーを取り付ける時に、スプリングボタンが引っかかりやすい。
- シーソックの外側のコーティングがはがれやすい。
- ライニングダウン用ラインのフックが金属なので錆びやすい。
- パックカートを取り付けてキャリーする際、トラベル・スタイル・バッグの底を擦りやすい。
⇨「水に浮かび物思う」さんの記事を参考にしてみた。
フェザークラフトは高いけど、今の自分の年齢であれば一生遊べる。
そう考えると、これはけっして高い買い物ではない。
本当にすばらしいカヤックだと思う。
