スマホと単行本

CA3I0028.jpg 単行本のページがめくれない…。

仕事のし過ぎで腱鞘炎になったわけでもなく、まして老いぼれて手先がプルプルしてるわけじゃない。
単純に最近は単行本を読まなくなってしまっている。

通勤で電車に乗ってる時間は、約30分。往復で1時間。
それだけ時間があると、そこそこ読めるんだけど、最近はスマホを眺めている事が多くなってしまった。
「しまった」って書いたのは、本を読まなくなってしまった自分が "つまらない人間" になってしまったように感じるから。
でも、なかなかスマホワールドから抜け出せない。
小さな端末の向こう側に無限の情報が詰まっているかと思うと、ちょっとした疑問やカヤックで行きたいフィールドの情報を次々に検索してしまう。
立派なネットサーファー(死語)になってるね、こりゃ。

本は、1節の活字から想像できる世界が楽しいのがいいところ。
ちなみに、いま "持っている" のは、ケネス・ブラウワーの書いた「宇宙船とカヌー」で、これは実在の人物の事を書いた本。
主人公親子のうち、息子の方はバイダルカの製作で有名なジョージ・ダイソンなので、読めば絶対に面白いはずなのに…途中で止まってる。

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アリュートはカヤックが相当ひどい損傷を受けたときでも、岸に戻ることなくそれを修理することができた。
二隻のカヤックが横にカヌー一艇身の差をおいて、並んで浮かぶ。そして、損傷を受けたカヌーを海面から持ち上げて、その二隻のデッキに渡しかける。こうしてカヌーを洋上で修理するのである。
(中略)
二百年前、グレイシャー湾はまだ存在していなかった。「H・M・Sディスカバリー号」からの大型ボートがその入口に着いた1974年、乗組員たちはただ氷河最終端の青白い氷壁に湾入のきざしを見たにすぎない。グレイシャー湾はまだとてもちっぽけな湾にすぎず、そこにはたくさんの氷河が流入していた。
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巻末にある野田知佑さんの解説からも少しだけ抜粋。
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以前、カナダのバンクーバーの沖でカヤックを漕いでいた時、二人の素敵なお婆ちゃんに出会った。彼女たちは各々カヤックの一人艇に乗っていて、カヌー歴は50年以上、二人の年齢は合わせて151歳だった。
お婆ちゃんの一人がいった。
「ジョージ・ダイソンって人知ってる?とても立派なカヌーを作っているの」
その時、とてつもなく大きな波がやってくるのが見えた。それを見ると二人の老婆は突然大声を張り上げて歌を歌いだした。フネを波に対してタテにして、やり過ごすと、二人はこういった。
「あの波、死ぬかと思った。だから死ぬのならその時は歌いながら死にたいと思って…」
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IMG_0577.jpgさあて、今は埼玉に向かう湘南新宿ラインの中。
電車の旅は約1時間。
手に持っているのは〜…スマホ(^^;