風を感じないプロ野球

プロ野球が苦手である。

テレビでもまったく観ていない。
監督の名前は、かろうじてわかるが、選手の名前を聞いても誰一人知らない。

そんな自分でも、学生の時は川崎球場でアルバイトをしていた。
当時、川崎球場は「大洋ホエールズ」の本拠地で、ボイヤーやシピン、松原、山下大輔、平松など個性的な選手が沢山いた。
自分の仕事は、金網にへばりついているガキどもを引きづり降ろしたり、ファウルボールを回収したりの雑用。

感動したのが、カクテル光線に輝く天然芝の美しさ。
特に雨上がりのグラウンドは、最高に美しかった。

川崎球場は古いし、狭いしでとてもプロのチームがホームにするようなレベルの球場ではないし、芝生も外野にしか植えられていなかった。
それでも美しい芝生のグラウンドでプレーしている選手達は、かっこよく見えた。
金網から引きづり降ろされても、"いつかはここでプレーしたい" と思う子供達も沢山いたんじゃないかと思う。


ずいぶん前から、プロ野球の球場は人工芝が当たり前。
後楽園がドームになってからは、あっちこっちにドーム球場ができた。
人工芝が敷き詰められたドーム球場は、なんだか美しくない。
人工芝はメンテナンスも簡単で、ドームなら雨に降られても試合が中止になることはない。
でも…風を感じられない球場は、なんだか貧しい。

あと苦手なのが、笛や太鼓を使った応援。
以前、メジャーリーグの選手が来た時の試合を観戦した事があるが、ボールがミットに吸い込まれる音や、バットにミートされた時の音などでワクワクした。
繰り返される応援は、その音すらかき消してしまう。

スポーツは勝ち負けだけが全てではないと思う。
"楽しむ気持ち" がなくなったら、それこそ北朝鮮の応援と同じになってしまう。

グラウンドから打ち出されたボールが、青空やナイターの空に吸い込まれるように飛んでいく。
そのボールを追って、美しい天然芝の上で躍動する選手。
騒音が渦巻く "箱" の中で行われるプロ野球ではなく、そんなメジャーリーグの様な球場や観戦スタイルがやって来たら、自分もまた球場に行きたくなるような気がする。

メジャーリーグの球場は、ほとんどが天然芝。
サッカーのJリーグでは、天然芝が義務づけられている。


これは、メジャーリーグで7回が終了した時に、観客が歌う「Take Me Out to the Ball Game -わたしを野球に連れてって-」。
この歌が歌われるようになって100年経った。