最後に見た光景

IMG_2217.jpg 2012年3月25日(日)
父親と最後のお別れをしてきた。

南三浦でカヤックを漕いだ3月20日(火)の23時、実家で暮らす弟から突然電話が入った。
布団から飛び起き、すぐに車を飛ばして実家に向かった。
現場検証をしている警察官3人に囲まれ、オヤジが座椅子で "寝て" いた。
いつもの体勢で。

レストランで働く弟が23時に帰ってきて、居間の電気とテレビを点けっぱなしにしているオヤジに声をかけた。

コタツテーブルの上には、ご飯とみそ汁、漬け物、蓋を開けていないダイコンのお惣菜と酢豚が置いてあり、少しだけご飯が減っている。
みそ汁のお椀の上には、箸が揃えて並べてあった。
突然苦しくなったのではなく、食べ始めたら眠くなったので、ちょっとだけ寝ようか...という感じ。
コタツに入れていた手を触ってみたら暖かかった。

警察に運ばれてしまった当日、主のいなくなった座椅子に座って、オヤジが寝ていた体勢で上を見てみた。
これがオヤジが最後に見た光景なのか…。

検死結果は、"心筋梗塞" だった。


1週間前の火曜日に、実家の近くにある蕎麦屋で一緒に昼飯を食った。
オヤジは、カレーうどんと日本酒1本を注文した。
「たまにこういうの食べたくなるんだよなあ」
「いつも家で食べてばかりいないで、食べに出ればいいんだよ」
最後に交わした会話…。


自宅に戻って、弟にメールをした。
「あんなオヤジでもいないと寂しいだろ?」
「だね。ひとりぼっち。」
1年前、実家では三人暮らしだった。いまは弟一人。
弟が一番辛いと思う。