夜と朝を感じる旅 西伊豆2日目〜田子から松崎〜

2日目の朝。
昨日とはうって変わって分厚い雲が空を覆っている。
海はますます穏やかになり、遥か沖を通った漁船の引き波がゆったりとこちらへ向かってくるのがわかる。

自宅からメールが入った。
この日の朝 5時31分に伊豆大島近海でマグニチュード6.2 震度5弱の地震があり、横浜でもけっこう長く揺れたらしい。
その後、九州一周の家族サービスを終え徳島沖を通過中のイイダーからもメールがあった。
察しのいい彼は、我々が崖の近くでキャンプをしてるかと思い、落石を心配してくれたらしい。
はい、ご想像の通り崖の近くでキャンプしていたけど、揺れも感じず、幸い一つの小石も落ちて来ませんでした。

キッカーが焚火の残り火で火を起こし、お湯を湧かしてくれた。
海を眺めながらコーヒーを飲む。
ハマちゃんは最近 "うどん" にはまっているらしく、湯がいたあと水で戻したうどんに鰹節をかけて食べているらしい。
今日は初めてシーチキンをまぶし、なかなかうまいとご満悦。
僕は、早ゆでパスタに永谷園のお茶漬けをふり、マヨネーズをかけて食べる。
ふむ…うどんの方がうまそうだ。
それぞれ朝飯を食いながらキャンプの話しをする。
キッカーはアブだらけの山でキャンプし、ハマちゃんは蚊の大群に囲まれ数時間テントで缶詰になったことがあるらしい。
6月になると、キッカーは山菜を食べに山奥に入る。
そこでは熊や鹿、時には猪にも出くわす事があるらしいけど、それよりもアブや蚊にはめっぽう弱いデリケートな僕は、防虫ネットが必要なキャンプには尻込みする。
一番怖いものは何かをキッカーに聞いてみた。
「ゴキブリですかね。昔、手の甲をゴキブリに歩かれた事があって、それがトラウマになっています。」
ゴキブリっすか?
ハマちゃんもゴキブリは苦手らしい。
「手の甲をゴキブリが歩くのと、ムカデが歩くのとどっちが嫌?」
2人揃って「ゴキブリかな」
へ?そうなの?
「ゴキブリは飛びますからね」

早々とパッキングが終わったハマちゃんを尻目に、もくもくと出艇準備を進める残り3名。
風を心配して「早く出発しましょうね」と言っていたワンチャンの準備が一番遅い。
今日の予報は、午後からイッキに風が上がり雨になる。
ここから松崎までは、まっすぐ行って1時間ちょっと。
途中で寄り道をしたとしても、昼前には着いていたい。

クールな雰囲気のハマちゃん。
持ち物にも無駄が無く、僕のカヤックよりもずいぶん軽い感じがする。
正真正銘のフォールディングカヤッカー。

鏡の様な田子湾を進む。
風もなく音もない。


尊之島から外海に抜ける貫通洞窟の入口は小さめで、上空では海鳥達が声をあげている。
まるでジャングルクルーズのような雰囲気。
そしていつもどおり、洞窟をくぐって外海に出る。
下の写真は昨日の様子だけど、さあ〜行きましょう!…って感じになる。
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田子エリアの洞窟。
スキンカヤックだと細い通路を抜けるのはちょっと心配。
ちなみに、一番右下のちっちゃな洞窟も、ちゃんと抜けられる。

ヘッドランプは、またもやカヤックの中。(泣)

こんなにベタベタでいいんでしょうか?!

浮島に上陸してトイレ休憩。
人それぞれにカヤックの置き方ってあるもんだ。
海岸にいた人に地震の事を聞いてみたら、みんな気がつかなかったみたい。
調べてみると、伊豆地域は震度2だったので、外にいたら気がつかなくても当たり前か。
でも、震源地は伊豆大島近海なのに、横浜が震度4で伊豆は2。
大島はフィリピン海プレートの上に乗っかっているので、北米プレートの方がズレたのかな?

松崎の町が見えてきた。
雲はますます黒く分厚くなってきているけど、風と雨がやってくる前に帰還できそうだ。
今回は風の様子が心配だった。
しかし、思い切って伊豆に来て良かった。
ハマちゃん、キッカー、ワンチャンありがとう。
楽しいキャンプツーリングでした。
仁科での撤収が完了。
ハマちゃんはバス停に、残り3名は「なぎさの湯」に向かい始めたところで雨が落ちてきた。
なぜキャンプが好きなのか…人それぞれに理由はあるだろう。
僕の理由は単純。
"夜と朝を感じる" ためにキャンプをしたい。
