達成感味わえず 1日目〜外浦から片瀬白田〜

伊豆に行きたい。
一週間前から日々刻々と変わる風予報を見ていた。
どうも金曜日まではダメで、場所によっては土曜日から風は収まりそう。
しかし、でっかい低気圧の置き土産で東伊豆でもウネリは残っている感じ。

なるべくバスは使いたくないので、電車やタクシーでのアクセスを考えると、出艇、撤収の海岸は限られてくる。
そして、逆光にならない南⇨北のルートを進みたい。

外浦海岸

電車とタクシーを乗り継いで外浦海岸にやってきた。
駐車場に停まっている車は2台だけで、なんだか寂しい。
海快晴とwindguruの風予報は外れ、7-8メートルの風が吹いている。
波もそこそこありそうだ。

外浦海岸

組み立てたウィスパーを波打ち際に運び、パッキングが終わって準備運動をしながら海の様子を注意深く確認してみる。
北に向かうほど風も波も収まるはずなので、この湾を抜け出せれば何とかなるだろう。

外浦海岸

出艇すると、予想したとおり9メートルくらいの向かい風が吹いて海面がささくれ立っていた。
白浜側に抜けるルートを確認しながら漕ぎ進める。

岩礁の間は、どこもひっきりなしに波がブレークしてきて通過は無理。
写真の右側にある丸い岩の辺りを抜け、岩礁帯の沖側に出てからバウを北に向けるしかなさそうだ。
近づいてみると、丸い岩の辺りでも時々波が砕けてくるので、砕け波の間を見計らって沖に出た。

白浜沖

バウを北に向けると風は気にならなくなった。
北東からひっきりなしにやってくるウネリを乗り越え、ブレークする場所を避けながら進んで行く。
自分の下を通り過ぎたウネリは、すぐ横で巨大な固まりとなり、高さを増しながら岸に向かっている。
しばらく岸側には近づけそうもない。
いつもながら、カヤック目線で見る海の躍動はダイナミックだ。

恐ろしい状況ではないけれど、視覚的な迫力に圧倒される。
この場所に一人でいる事が夢では無く現実なんだと自分に言い聞かせ、弱気にならないようにする。

龍宮島

以前、このルートを漕いだ時に立ち寄った一色(いちき)海岸にある民宿の青い屋根を目標に漕ぎ進み、昼飯休憩で上陸した。
最後の一声 〜外浦から片瀬白田〜

晴れを疑わなかった天気は外れ、冬の雲が大きく空を覆い尽くしていて寒い。
ハッチからネックゲイターを取り出し、首に通すと、だいぶ暖かくなった。
昼飯はカップヌードルとマス寿司おにぎり。
寒いという事もあるけど、この後の海況がそれほどいいとは思えないので、昼飯のビールはやめて温かいコーヒーを飲む。

龍宮島

たっぷり休憩して、13時に再出艇。
正面にある龍宮島を沖出ししながら左に巻いて、本根岬に向かう。

本根岬

この後、本根岬から鬼ケ埼の間の2キロは、ずっと三角波が立っていた。
安全の為、カメラを取り出すのはやめておく。

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鬼ケ埼を越えると、稲取の岬がはっきりと見えてきた。
河津、今井浜を過ぎ、稲取まで残り3キロくらいになってから、めっきりと舟足が鈍くなった。
今日は漕ぎ始めた直後から左手の二の腕が痛く、指にも痛みがある。
時々、パドルを休め休憩すると、少し回復する。

海況は落ちついているが、パドルから手を離しキャラメルの包み紙を取る際も、時折大きなウネリがやってきてドキリとさせられる。

稲取

ようやく稲取までやって来た。
どうやら潮の流れがあり、思ったような速度が出ていないようだ。

稲取稲取

稲取から片瀬白田までは、たったの4キロ。
ところが、その距離を進むのに、90分かかってしまった。
時速に換算すると2.6キロ。
思ったよりも厳しい潮流がある。
調べてみると、この辺りでは上げ潮時に西南西の潮流が起こるらしい。
その流れなのだろうか?

ようやく懐かしい片瀬白田に辿り着いた。
小さな港を守る防波堤の突端では、渦が巻いていてここでも大きく迂回して港に入らなければならなかった。
そして、コンクリートのスロープには波が打ちつけている。

上陸できるのは防波堤の脇にある小さな砂溜まりしかない。
たいした波は入ってきていなかったにも関わらず、ここで降り沈をしてしまった。
体力が消耗し波を見極める判断をミスしてしまった。
最後の最後で達成感味わえず!
まだまだ甘い!
(2日目に続く)

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