やっぱり下田も遠かった 西伊豆2日目〜千貫門から本瀬〜
5月3日、ツーリング2日目の朝。
昨夜22時半の干潮時間には、遥か先までゴロンゴロンの岩が露出して、酔っぱらった我々を驚かせた。
今日も午前中に訪れる干潮時間に向けて、どんどん潮が引いていく。
早いとこ出発しないと、ちょっとやっかい。
7時14分。
ハマちゃんに手伝ってもらい、大きな岩をいくつも乗り越えながら、なるべく先までカヤックを運んだ。
膝まで水に浸かりながらパッキング完了。
この後、ワンチャン艇、ハマちゃん艇に続き、なんとか一番重たい大型貨物船(自分の艇)も無事岩の向こう側に浮かべる事ができた。
やれやれ…
さて出発。
早朝とは言えないけど、爽やかな朝の海に漕ぎ出すのは、最高に気持ちがいい!
この感覚を味わえるのがキャンプツーリングのいいところだと思う。
風は午前中までそこそこ吹く予報。
今日はどこまで行けるだろうか?
至福の波勝崎。
言葉はいらない。
ただただ、ここに漂う雰囲気や空気感そして、空間感を感じながらブレードをさして静かに進んで行く。
シーカヤックは最高の乗り物である。
絶景の海。
SF的造形の海。
すさまじい落石や崩壊痕のあるダイナミックな海を、今ここにいる三人だけで占有している。
なんとも贅沢な話しである。
昨日撤退した波勝崎を越え、そこから直線距離で5キロ。
妻良(めら)の谷川浜に上陸して休憩する。
入間で水を補給することにしたので、水筒の水をセーブする必要はなくなった。
先に二人が谷川浜を出発。
私は、トイレを済ませてから追いかける。
近道発見。
先行した二人もここを通ったかな?
二十六夜山の圧倒的な断崖絶壁の懐を漕ぎ進める。
荒れている時には絶対に近づきたくない場所だ。
二十六夜山を越え、正面に見える三ツ石岬に向かって進んで行く。
ほんとうは、岸沿いを行き吉田の部落に立ち寄ってみたかったけど、時間が無く断念。
陸路からはなかなか行けない場所なので、いつか行ってみたい。
ふと目の前に丸い頭が浮上し、ビックリしたような様子で慌てて海中に姿を消した。
ウミガメだ。
たしか前回もこの海域で見かけたような気がする。
ウミガメとは何度も遭遇しているのに、何故かワンチャンは今回も目撃できず。
縁がないというか…いったいどこを見て漕いでいるのだろうか。
特徴的な色彩の三ツ石岬を越え、初上陸となる入間に向かう。
ちなみに、ハマちゃんは荒れた海況のため入間で撤退し、親切な地元の人に下田まで送ってもらったことがあるらしい。
少し風が吹いている。
入間に上陸して昼飯。
海岸では、老若男女が屈んで何かをせっせと獲っている。
なんだろ?と思って聞いてみたら「磯もの〜」と言ってカゴの中のものをチラッと見せてくれた。
主にトコブシを獲っているらしい。
ここは豊かな海なんだなあ。
ちなみに、トコブシは5月からが旬。
真剣に風予報(?)を確認する二人。
この時点で下田ゴールはなし!
石廊崎を回れたとしても、本瀬でゴールする事に決まった。
やっぱり下田も遠かった。
居心地の良かった入間の浜を出発し、南に向かう。
風は大丈夫そうだ。
中木を過ぎ、ヒリゾ浜に到着。
静かで大変よろしい。
夏場は人でごった返すなんて、とても信じられない。
残念ながら奥石廊も、ゆっくり味わえなかった。
釣り人を運ぶ渡船や、観光船がなければもっと静かでいいんだろうけど、そんな贅沢は言えない。
このエリアはたっぷり時間をかけ、隅々まで探検してみると面白い。
予想どおり、石廊崎を越えると風は無くなった。
昨日の波勝崎撤退が無ければ、順調に下田まで行けただろう。
残念だけど、松崎に戻ったり入間で撤退にならなかっただけ良かったと思うことにしよう。
本瀬にゴール。
ハマちゃんはここからバスで帰路につき、ワンチャンは本瀬〜下田〜松崎とバスを乗り継ぎ、車を回収してここまで戻ってくる。
2週間前の戸田遠征に引き続き、またまた私はカヤック2艇の撤収に励み、ワンチャンは3時間の長旅を楽しむ。
ハマちゃんは、陽のあたり過ぎる場所を撤収場所に選んでしまったらしく、汗だくになりながらカヤックを畳み、無事予定のバスに乗車。
私は、ノンビリと2艇撤収後、隣りで遊んでいたフィッシングカヤックやボートの人達と雑談をしながら待っていると、18時近くになってワンチャンが戻って来た。
以前、ここで会った91才の笑顔が素敵なおばあちゃんには会えなかった。
元気にしているんだろうか…。