流血と悲鳴 霧ヶ峰1日目〜前夜〜

4年前の山岳会尾瀬遠征で、ある会員が前泊地まで行きながら肝心の尾瀬にたどり着けないという出来事があった。
はるかな尾瀬 1日目〜鳩待峠から見晴し〜
この物語は、忘れかけていたその悲しい出来事の再来を記録したものである。
くだらない日記なので、忙しい方は読み飛ばしていただければ…と思う。


ずっと気になっている居酒屋があった。
2015年8月の八ヶ岳遠征打ち上げの会場となった長野県茅野市にある「笑吉」である。
男子復活 南八ヶ岳2日目〜夏沢旧道〜

あれから2年。
待ちに待った「笑吉遠征」が企画された。
1日目は、中央分水嶺トレイルの[Region B] 大門峠〜霧ヶ峰・八島湿原をワンウェイでトレッキングし、夕方17時に目的地である笑吉へたどり着くという計画である。
山行はワンウェイなので車2台が必要。
5人が、チバ号とプリプリ号に分乗し中央高速双葉PAで合流後、チバ号をゴール地点である八島湿原の無料駐車場にデポ。プリプリ号でスタート地点である大門峠近くの白樺湖無料駐車場へ向かう。

しかし、この週末は雨模様。
それに加え、山岳会の雨男と雨女の威力はさすがで、八島湿原に到着する頃には、バケツをひっくり返したような土砂降りとなってしまった。
事前におまじないで渡していた「雨男バッチ」と「雨女バッチ」は全く効力が無いようだ。
雨雲レーダーを何度見ても「今日は一日雨でっせ」と書いてある。
ハテサテどうしたものか…白樺湖畔のコンビニで考えること3分。
とりあえずお茶でも飲みながら考えますかねということで、ビーナスラインのコーヒーショップに向かうことにした。
が…営業時間前で入れない。
ハテサテどうしたものか…。
少し遠いけど、ホテルハイジで作戦会議を開催することにした。

みんながコーヒーや紅茶を飲む中、ただ一人ケーキセットを注文した私にいいアイデアが浮かんだ。
甘いものを食べると頭の回転がよくなるのである。
さっそく「親湯(しんゆ)温泉」に電話をして、日帰り温泉に入れる時間と料金を確認した。

昼飯は混んでるのを覚悟で「みつ蔵(みつくら)」。
席が空くまで、食べ物しりとりをしながら時間を潰す。ブチョウの負け。
蕎麦と玉子焼きを食べ、大満足で親湯温泉に向かう。

親湯温泉のお風呂は最近リニューアルされたようで、川の音が聞こえる露天風呂が気持ちいい。
のんびり風呂に入っても、時間は有り余っていたが、遊戯コーナーにあったビリヤード台で時間を潰していたら、なんとかホテルにチェックインできる時間になった。

ホテルの部屋は、ツインが二部屋とシングルが一部屋の計三部屋。
狭っ苦しいシングル部屋は、今回の幹事である私が使い、男子女子別でツインを使う。

ホテルから居酒屋までは2キロ。
たった30分歩くだけなのに、タクシーを使おうと言い出す者がいる。困ったものである。
居酒屋「笑吉」は、4年前に行った時の感動には及ばなかったものの、やっぱり安くて美味しい。
そして、二次会はこれまた4年前に行った色っぽい女将さんのいるカラオケスナック風の居酒屋へ。
例によって足取りのおぼつかなくなったブチョウを介護する為に、女子隊員達が両側から手を繋いで歩いていく。

酒の量は一次会で満タンなはずなのに、二次会でも入ってしまうのが不思議である。
復活したブチョウは女子1号の歌う「恋する充電プリウス」のバックダンサーを務めている。

IMG_2420.jpgそして、二次会がお開き。
ブチョウの介護は女子2号が担当している。
茅野町交差点を渡っている時、後ろから悲鳴が聞こえた。
振り向くと、ブチョウと女子2号が車道で転がり、交差点を曲がろうとしていた車が立ち往生している。
何事かと近づくと、ブチョウが顔面から流血し、捻じ曲がったメガネが傍に転がっていた。
女子2号は「モ〜〜ヤダ〜〜っ」とか言いながら擦りむいた膝をさすっている。
どうも、交差点の縁石につまづき右肩から崩れ落ちそうになったブチョウを、手を繋いでいた女子2号は支えきれずに一緒に倒れたらしい。

なんとかホテルに帰り着き、お風呂から出たブチョウが素っ裸でいるちょうどその時、女子2号が「大丈夫ですかぁ〜」と言いながら男子部屋のドアを開けた。
変なものを見せられ女子2号は踏んだり蹴ったりである。
我々が明日の計画を立てている間、ブチョウはビットコインがウンジャラカンジャラと独り言のように話している。
酔っているからなのか、頭を打ったからなのか判別できない。

兎にも角にも、長い1日が終わった。
明日は天候も回復しそうなので、本来のコースを短縮して歩く予定である。

(2日目につづく)