山に登らない山岳会 〜西馬音内盆踊り〜

山に登らない山岳会というのがあるらしい。
恥ずかしいことに、その会は今年一度も「山登り」をしたことがない。
唯一それらしい活動と言えば、会の一握りの会員達が山のような丘を歩いただけだ。
はるかな霧ヶ峰 2日目〜中央分水嶺トレイル〜

なぜか皆さん忙しく、そして、なぜか天気の悪い日が続いているうちに、今年もすでに8月になってしまった。
まずい!!
うかうかしているうちに、今年もシーズンが終わってしまう…。

そんな切羽詰まった状況の中、着々と準備が進められている企画があった。
「秋田西馬音内(にしもない)遠征」…
遠征先には西馬音内山などという山があるわけではない。
なんと、盆踊りを観て一杯、酒造を見学して一杯、秋田市内に移動して一杯という、ただただ平地を移動してお酒を楽しむだけという、考えようによっては、なんとも素晴らしい企画である。

8月16日、参加メンバー5人が1台の車で移動できるように…とレンタルしたワンボックスカーで移動を開始。
私が第一スティントをドライブする。
昼飯は、将棋の駒の生産地で有名な天童にある蕎麦屋。
板蕎麦が有名なのに、私が注文したのは鴨南そば。

運転を担当しない女性陣は、なぜかお酒を一滴も飲まず車内で大人しくしている。
すでに、今晩出向く西馬音内盆踊りの会場で美味い酒を飲む為の準備が始まっているらしい。さすがである。

西馬音内盆踊りは、秋田県羽後町の西馬音内という小さな町で毎年行われる盆踊り。
詳しくは、過去のブログを読んでもらうとして、この小さな町にはほとんど宿が無い。
西馬音内へ

そこで今回も、五輪坂公園キャンプ場でテント張ることにした。
予定通りの時間に到着すると、我々と同じことを考えている輩が他に2組ほどいた。
トレイと水場に近い場所にテントを張り寝ぐらの準備が終わったところで、キャンプ場の近くにある日帰り温泉でひとっ風呂。
「タクシーで行きましょうかぁ」という軟弱者1名の提案を速攻ではね退けてから、2キロ離れた会場まで歩いて向かった。

西馬音内盆踊り19時の本番開始前に始まった寄せ太鼓では、中学生くらいの男の子が太鼓を叩かせてもらっている。
地元の人と話していると、この祭りに対する愛情と伝統芸能を若い人に引き継いでいこうとする気持ちが伝わってくる。
そして、本番の盆踊りを踊れるのは地元の人たちだけ。
これもまたいい。

西馬音内盆踊りの "大人の時間" は21時からなので、それまでは出店が集まっている広場で宴会。
どの食べ物も日本酒も美味いが、その中でも炭火でじっくり焼いたイワナの塩焼きは絶品である。

P8160018.jpgのサムネール画像4年前の8月16日、ある民芸店で撮った写真をプリントして持って来ていたので、宴会の合間にその店を訪ねた。
「すみません、この写真に写っている方は今日来ていますか?」
「あ〜◯◯さんねぇ…今日は来ていないのよ、ちょっと体を悪くしちゃってて…」
「そうなんですか…、じゃあすみませんが、写真だけでも渡してください。」

西馬音内盆踊り大人の時間が始まったので、宴会はお開きして帰りのタクシーを予約してある時間まで解散。
予約しているタクシー会社まで向かう途中で、これから踊りの輪の中に入る踊り子さんが編笠を結んでもらっていた。

事前に決めておいた時間にタクシー会社の前で集合すると、ブチョウに支えられた女子1号の様子がなんだかおかしい。
どうも、宴会を解散した後で正体不明になり、一人で歩くことができなくなったらしい。
泊まりがけの宴会では必ず何かが起こるようだ。
はるかな霧ヶ峰 1日目〜前夜〜

けっきょく、女子1号はキャンプ場に戻った後の温泉に入れず、ブチョウに介護されながら山岳会大テントに戻った。
温泉でさっぱりした我々は、テント場に戻った後で打ち上げの乾杯をして、それぞれのテントに帰った。

IMG_2799.jpg翌日の朝、女子1号は昨夜の醜態を半分忘れていた。
そして今日の夜、ジョッキを傾ける頃には全て忘れているだろう。
ふむ…、大事に至る前に、一度は顔に傷を作ったり、メガネをグニャグニャにしたり、骨を折ったりした方がいいのかもしれない。


(あとがき:2017-8-19)
秋田遠征から帰った翌日、北アルプス遠征が企画された。