旅人誕生

11月24日 金曜日、風予報をチェックすると、明日土曜日の三浦半島東海岸では久しぶりにカヤックを出せるコンディション。
案の定、同じように毎日風予報とにらめっこしていた(だろう)イイダーから連絡入った。
「明日、三浦海岸からちょろっとでることにしました」
待ちに待った、イイダーの4艇目「アルピナ-1 450ハイブリッド ALPINA-1 450」の進水式である。

年に3回しか漕がないのに4艇目…。
しかし、家族と一緒に遊ばない私と違い、イイダー家は家族全員で遊ぶ。
持ってる艇は、キャプテンスタッグ製(絶対に海で乗ってはいけなそうな)二人乗りインフレータブルカヤック、ウォーターフィールドカヤック製不知火2、フジタカヌー製アルピナ2。
そこに、3年間検討に検討を重ねた末に加わったのが、フジタカヌーの一人乗りフォールディングカヤックである。
このどこにでもいけますぜ的な、所有艇ラインナップをとことん使いこなしているイイダー家は、キャプテンスタッグとアルピナ2で積丹や釧路川、そして四万十川に遠征し、リアデッキに鍋をくくりつけた不知火号では三浦や伊豆の海を "低速" で漕ぎ抜けている。
そして、一人で参加した知床エクスペディションでは、新谷さんと全日雨の中のキャンプをこなし、甑島では野元さんの料理を食べ、四万十塾ではバーボンを飲まされながら、とーるさんの特訓を受けた。
ふむ…年に3回しか漕がないわりには、北から南まで様々な場所に遠征していて、めちゃくちゃ経験豊富である。

土曜日、菊名海岸に着くと、すでにイイダー兄弟がいて不知火号が本棚の上に乗っていた。
イイダーと双子の弟さんとは初対面だったけど、いろいろ話を聞いていたせいか初めて会った気がしない。

バタフライカヤックス製カートALPINA-1を組み立てる前に、バタフライカヤックス製のカートを見せてくれた。
実際にカヤックの入ったバックパックをくくりつけるのは初めてらしく、あ〜でもないこ〜でもないと言いながら取り付けたのがこちら。
ホイールが大きく転がりもスムーズで、カヤックの重さを感じないでキャリーできる。
「これなら電車に乗って行けるねぇ」
「あったりまえじゃないですかぁ」
と言ったイイダーの目が泳いでいるので、あまり本気にしない方がいいかもしれない。

アルピナ1 450ハイブリッドいざ、ALPINA-1の組み立て開始。
「ALPINA-2の組み立てに似てるの?」
「似てるというかほぼ同じです!」
と言っているそばから、一旦組み付けたリブを外したりしているので、組み立てる際は注意点がいくつかあるようだ。
スキンの色はデッキがオレンジで、ハルは黒に近いグリーン。

フジタカヌーの組み立ては初めて見た。
大まかな組み立て手順はなんとなくわかってはいたけど、フェザークラフトとは全く違うので興味深い。

アルピナ1 450ハイブリッド標準装備のフットポンプでスポンソンに空気を入れたら完成。
ちなみに、シーソックは標準装備ではないらしく、イイダーはアルフェックの物を購入した。
シュッとしていて、かなりカッコイイし、コックピットからの眺めもなかなかイイ。
ただ、フットブレイスを強めに踏み込む自分としては、ラダーコントロールを兼ねたプラスチック製のフットブレイス(これはリジット艇でも同じ)はなんとなく心もとなく感じちゃうのと、コーミングの芯がもう少し硬く、スキンの内側が黒だといいのになぁ…などと思ったりした。

アルピナ1 450ハイブリッド 進水式浜に運んで進水式。
航海の安全を祈願した。
不知火号に乗る時はいつもヘルメット被っているのに、今日は旅人風なバケットハットを被っている。
ひょっとして、本当にカヤックを転がして旅に出るつもりなんだろうか?

アルピナ1 450ハイブリッド 進水式PB250030.jpgどこまで行くのか知らないけど、いよいよ出艇。
今度漕ぐ時は、どこかでワンウェイのキャンプツーリングでもしましょう。

(あとがき)
初漕ぎが終わったイイダーから連絡あり。
「アルピナ君は、ぐらつかず直進性もよくラダーも効き、予想以上のでき。ただし横瀬島近くに上陸して中を見たら1リットル以上の水が入っており、ちょっとガッカリ。」
浸水トラブルはどのカヤックでもあるけど、フルオープンタイプのデッキを持つ国産カヤックの場合は、原因は1つじゃなかったりする。
ちなみに、自分のフェザークラフトの場合は、シーソックの問題を解決した後は、浸水ゼロ。
バタフライカヤックスを使うキッカーは、あっちこっちを改造して浸水を食い止めた。
はてさて、イイダーはアルピナ君の浸水問題をどのように解決するだろうか。
人のトラブルは、私のご馳走である。