圏外の旅 3日目〜千貫門から子浦〜

3日目の朝は、まだ暗いうちから雨が降り始めた。

IMG_7489_20181104.jpg仕方がないので、テントの中でコーヒを入れ朝飯を作り始めた。
豚汁と魚の缶詰でご飯を食べようと思っていたのに、昨日の夜に魚の缶詰をツマミで食べてしまったので、残った食材はカップヌードル(リフィル)とパスタしか無い。

IMG_7491.jpg2杯目のコーヒーを入れると、雨が止んで青空が出てきた。
マグカップを持ったまま、トイレに向かう…と言っても上のキャンプ場から見えない場所に移動するだけである。
ところが、キャンプ場はこの海岸が一望できるような崖っぷちにあるので、そこから見えない場所となるとなかなか難しい。
結局、海岸の端まで歩く羽目になってしまった。

この場所では風の様子がわからない。
昨日までどっちに向かうか決めかねていたハマちゃんは、とりあえず波勝崎に向かいその時の様子を見て考えるらしい。

CIMG0076.jpg大きな岩が転がっているこの海岸は、干潮時間帯の出艇がなかなか厄介である。
私は、毎回カヤックをすぐに漕ぎ出せる場所まで運び、カヤックを浮かべてパッキングする。
先にパッキングが終わったハマちゃんのブルーウィスパーの傍らには、例のアリュートパドルが置いてある。
とっても長い!!

千貫門先に漕ぎ始めたハマちゃんが、千貫門をくぐり抜ける。
千貫門のトンネルは、対象物があるとその大きさが実感できる。
私がこの下を通る時は、落石を気にして上を見ながら通過する。

アリュートパドル風裏になっている波勝崎の海は平和そのもの。
途中でハマちゃんがアリュートパドルを貸してくれた。
すごく長いけど、ローアングルで漕ぐスタイルが好きなので、意外に違和感が無かった。
こんなパドルを静かに水に差し込み、ゆったりと漕いでいくのはなかなかいいかもしれない。

kayakの最新号では、新谷さんと岩本さんのアリューシャン遠征の記事が載っていた。
そこには、新谷さんがあぐらをかいて、このパドルに凧糸を巻きつけている写真があった。
旅の始まりにこの様な "儀式" があるのは絵になる。
そして旅は長ければ長いほどいい。

波勝崎波勝崎波勝崎伊豆はどこも素晴らしいけど、波勝崎は別格的にいい。
荒れている状況のこの場所には絶対にいたく無いけど、この場所に来ると「カヤックをやっていてよかった」と毎回思う。

波勝崎を回り込みカヤックが東北東を向き始めると、予想していた通りの風が吹き抜け、これまでの平和な海とは全く別の海になった。
ブローで13メートルくらいは吹いているけど、これならなんとかなりそうだ。
子浦に車が置いてある私は、95%腹が決まってこの場所に来たけど、松崎か子浦か決めかね、肘に爆弾を抱えているハマちゃんは、一瞬迷ったはずだ。
風の強さは、2015年にこの場所で撤退した時と同じくらいだったと思う。
やっぱり中木は遠かった

PB040077.jpgPB040079.jpg向い風の中、岸沿いに思ったよりも浅い海を伊浜まで漕ぎ抜くと、風の影響は少なくなった。
グミガジロの手前で、トマト休憩。
ツーリング中は、プチトマトをさっと海水に浸けて食べるのがお気に入り。

グミガジロは、比較的まっすぐな海蝕洞なので、ヘッドランプが無くても通り抜けられるし怖くない。
しかし、短くても途中で折れ曲がっている洞窟は怪しさいっぱいである。

そして2つ目の向い風試練の場所、妻良湾にやって来た。
岬を回り込み少し東を向いただけなのに風が音を立てて抜けていて、特に防波堤の手前から長這岬を超えるまでは、飛ばされた潮がミックスされた風が猛烈な勢いで襲いかかって来た。
戦いである。
ちなみに、これまでで一番の風は2013年の網代。
長浜帰還できず

PB040083.jpgなぜか子浦漁港の防波堤を過ぎると、嘘みたいに風がなくなった。
そして、3日間のツーリングが終わって帰還。
到着すると同時に雨が降って来た。

車は子浦の駐車場に3日間停めておいた。
11月2日は祭祀があり管理人さんがいなかったので、停めっぱなしの車があると心配するかもと思い、"11月4日に戻ります" 旨のメモを残しておいた。
ところが…お金を払おうと思って管理人小屋に行くと誰もいない。
鍵もかかっていて、メモがそのまま残っていた。
えっ?あの日から管理人さん来てない?
あの〜〜私、2日分の駐車場代を払っていません。
次回来る時まで「ツケ」といてください。

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