薪能 〜称名寺〜

5月3日、今日は待ちに待った称名寺薪能の日。
能も狂言も、話の内容やバックボーンなどの予習はバッチリなので、後はそれぞれの演者の表情や動きと、舞台の雰囲気を楽しむだけだ。
予習 〜薪能協力講座〜

P5030001_20190503.jpgP5030002.jpg17時半開演の30分前に称名寺の山門に到着。
仁王門へ続く参道を歩く人は全員薪能を観る人で、私のように一人で観に来ている人は少ない(いない?)。

P5030005_20190503.jpgIMG_9448.jpg特設舞台は、池と金沢文庫の間にある野外ステージ用の原っぱに作られていた。
ぱっと見、ベニヤ板むき出しで趣はないけど、不思議なもので開演後は全く気にならなかった。
ブルーシートが敷かれた桟敷席には、一席一席にウレタン(?)の座布団が置かれていて、足元は狭い。
私は、一番前の席にしたので足を投げ出す事ができたけど、二列目以降の人は2時間半の間窮屈な姿勢で座り続けて大変だったと思う。

2019takiginou.jpg金沢区長の挨拶、そして能で主役(シテ)を演じる櫻間右陣(さくらまうじん)さんの解説に続き、前座の連吟(れんぎん)は、地元で能を学ぶ子供達が「放下僧(ほうかそう)」を謡い、六浦セミナーの大人達が「六浦(むつら)」を披露した。
どちらも、金沢区を舞台にした能の演目である。
それにしても、能を学ぶ子供達が沢山いることにビックリ。
そして、「六浦(むつら)」が謳われている時に、称名寺の本堂から松明を持った火入れの行列が2つの橋を渡る様子が見えた。
屋内の舞台とは違い、この大きな境内を一つの舞台として見せる演出が素晴らしい。

野村萬斎さんの「佐渡狐」に続き、「竹生島」が上演された。
どんな舞台だったかは、私の文章力ではとても表現できない。
とにかく、一瞬一瞬が全て絵画であり、薪の燃える音や薄暗い灯の中で行われる曲は素晴らしかった。

P5030014_20190503.jpgP5030018.jpg舞台は静かに終わりを迎え、座席のブロック毎に退出を誘導するアナウンスがあった。
運営に携わった方、ありがとうございました。とても楽しい夜でした。
大人の感性でライトアップされた称名寺は、とても美しい。

IMG_9453.jpgIMG_9454.jpgこのまま家に帰ってお酒を飲むのもなんなので、いつもの居酒屋に寄る事にした。
カウンター席には火入れの儀式を務めた人がはっぴを着たまま座っていた。
カウンターに座れなかった私はテーブル席に座り、とっても遅い晩酌を開始。
そして、22時が過ぎるとメニューが回収され、飲み代の清算が行われた。
夜は違う店になるらしく、こんな遅い時間に来店した事がなかった私には、何が起こっているのかわからない。
それとも、私は佐渡狐につままれてしまったのだろうか…。