カヤックを持っていない伊豆
どうにもこうにもストレスが溜まるので、水曜日だというのに伊豆へ飲みに行くことにした。
カヤックは持っていかない。
朝一で行きつけの居酒屋の女将さんにメッセージを送ってみる。
「おはようございま〜す。まだ寝てますか?今日お店やってます?」
店は遅くまでやっているので、こんな時間には返事がないだろう…って思っていたら、意外にもすぐに返事がきた。
「やってるぞ〜」
「いつもの席(一番右端)予約!!」
店がやってる事を確認した後は宿の予約。
「ご無沙汰しています。今日部屋空いていますか?」
「今日なら大丈夫。」
これで準備完了。
さっさと午前中の仕事を片付けて、西に向かうことにした。
そして、どうせ西に向かうなら、なかなか行く機会がない平塚のラオシャンで昼飯を食うしかない!!
平塚市内に入り、ふと赤信号で止まった横にあったコンビニを見ると、シュニンの車が停まっている。
なぜその車がシュニンのものだとわかるのか? ここだけの話、ナンバープレートがガールフレンドの誕生日なのである。
信号が青に変わり、私の車をぴったりと横に並べて窓を開けた。
驚いたシュニンが目を丸くしている。
「何してるんですか?!」
「これからラオシャン。」
「すみません、私はもう食べちゃいました。」
「じゃあねぇ」
どっちみちラオシャンの写真を送りつけ驚ろかそうと思っていたので手間が省けた。
で、これがラオシャンのワカメタンメン。
絶品!!
⇨日曜日の放浪
下田に行くときは、時間がかかっても海沿いの道を行くことにしているけど、平日ってこともあり順調に宿に到着。
宿のおじさんは昨年に続き今年も倒れ、一ヶ月の入院。体重は7キロも減ってしまったけど、笑顔で迎えてくれた。
他のお客さんが到着する前に熱いお風呂をもらい、メールをチェックして長い夜に備えることにする。
18時になったので店の扉を開けて中を覗いてみたが、まだ女将さんは来ていない。
外の風が気持ちいいので、宿のおじさんと立ち話をしながら待つ。
「いつも18時15分くらいかなぁ」
と、おじさんが教えてくれた。
18時20分、女将さんが到着。
カウンターと狭い小上がりがあるだけの小さな店なのに、コロナ対策の為、カウンターの椅子は間引かれ、ますます席数が減っていた。
私は入り口に近いカウンターの右端にある、ひとまわり小さな "予備の椅子" に座る。
考えてみたら、この店にはだいたい一番のりしているので席の予約は必要ないかもしれない。
私以外のこの日のお客さんは、横浜から来たサーファーカップルそして、地元のテレビ局の人だけ。
サーファーカップルは初来店で、開店前に私が店の中を覗いていたことで、"店は営業するらしい" と安心していたらしい。
カップルの男性が女将さんに話かけた。
「メニューがないんですよね?」
「うん、ないよ。今日はキンメが無いけど大丈夫?」
「肉が食べたいです。」
「ん〜〜それなら近くにやきとり屋があるから、そこで食べて来た方がいいかも。」
男性はキョトンとしている。
「何があるんですか?」
「ん〜〜あるものしかないよ。」
テレビ局の人が助け舟を出す。
「この店は、女将さんが出してくれる料理を食べる店ね。」
「あ〜〜どうりで話が噛み合っていないわけですね。メニューが無いって事は食べたいものを言えば何でも出てくるのかと思っていました。(にっこり)」
「そんな魔法みたいな店ないでしょ?!(にっこり)」
21時にテレビ局の人が帰り、客は3人だけになった。
女将さんに最近の様子を聞く。
県外の人は気を使って店には来なくなり、地元の人は県外の人が来るのを心配して自宅で自粛しているらしい。
そして営業自粛や営業時間の短縮なども加わり、小さな店はどこでも打撃を受けている。
国はまともな対策を打たず、コロナの収まる目処は全く立っていない。にも関わらず支援策はもう打ち止めになる。
この様子だと、年内に店をたたむ所がたくさん出るような気がする。
客が入らないので女将さんは22時に店を閉め、近くのバーに誘ってくれた。
4人で向かう。
1時間ほど飲んでからカップルを送り出し、女将さんと私、そしてバーを経営するご夫婦4人で飲み直した。
これからを心配する話しか出てこない。
0時を回り、誰も歩いていない下田の街を女将さんと歩く。
こころなしか女将さんが小さくなったような気がする。
翌日。
朝食はいつもコンビニでサンドイッチを買い、外浦の海を見ながら食べることにしている。
サーフスキーを抱えたシーカヤッカーが一人海に入っていく。
私は7月24日から海に出ていない。
まあ異様に暑い日が続いてたって事もあるけど理由は別にある。
10月にはまた海に出れると思う。