食いしん坊の安否確認 〜奥多摩〜

奥多摩には "行きつけ"の店があった。
カヤックを始めた頃から足が遠のいていたので、かれこれ10年以上行っていないと思う。
ただ…自宅から奥多摩までは片道だけで3時間以上かかるので、そもそも奥多摩に行きつけの店があることがおかしい。

コロナ禍になってからは、外で美味しい料理をつまみながら飲む機会がド〜ンと減り、最近は昔行った飲み屋のことを考える事が増えた。
できれば、そういう店で飲みたい!!

しかし、この2年間で営業を断念した店が多いのも事実。
まずは、電話でその安否を確認してみる。
トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…
呼び出し音はするものの、電話には誰も出ない。
メールをしてみる。
使われていないというエラーになる。
日を変えて何度か電話してみても、結果は同じ。

こ、これは実際に行って安否を確認しなければいけない!!って事で、久しぶりに奥多摩へ一泊二日の遠征をすることにした。

IMG_8258.jpgIMG_8259.jpgIMG_8260.jpg月末の仕事を終わらせてから立川へ移動。
まずは、1ヶ月ちょい前に行った鉄板焼き屋で鋭気を養うことにした。

上から、作っている様子が楽しい玉ねぎとナスとタケノコ、超絶美味い豆腐の山芋明太子かけ、山芋を練り込んだ超絶美味いハンバーグ。
それに、ステーキとガーリックライス。
お腹いっぱい。

IMG_8263.jpg翌日は、午後から雨予報。
今回は、店の安否確認がメインテーマなので、午前中はサクッとハイキングし、店が開店する12時に奥多摩にいればOK。
ただし、それは "店があれば" の話になる。
立川駅の構内にあるロッカーに荷物を預け、バリバリ年季の入ったパッカブルリュックに傘と水だけ入れて青梅線に乗った。
まずは店の安否を確認する。

IMG_8265.jpg店は…あった!!
これで安定した精神状態でハイキングができる。
「大多摩ウォーキングトレイル」を古里に向かって歩いていく。
古里までは8.3キロ、約3時間のハイキングになり、そこから再度青梅線に乗り奥多摩駅まで戻ってくる。

IMG_8277.jpgところが!! 白丸ダムを過ぎて鳩ノ巣渓谷まで来たところで突然 "とうせんぼ" された。
ここが通行できないなら、ウォーキングトレイルの入り口や分岐点でアナウンスするべきだと思うけど、私が見落としたんだろうか?
仕方がないので戻ることにした。

IMG_8282_20220429.jpg昔の白丸湖は、木立の間からコバルトグリーンの湖水が見えるだけだった。
今は、この場所を使ったアクティビティがあるようで、カヤックやSUPが浮いている。
音が出る遊びではないので、山の上でドローンを飛ばされるような騒々しさや邪魔くさささはない。
ちなみに、この写真は遊歩道から湖水を見下ろした風景で、なんとも言えず幻想的。

IMG_8283.jpg11時半に奥多摩駅に戻ってくると、店にのれんがかかっていた。
ガラガラっとドアを開けると、見覚えのある女将さんが小上がりに座っていた。
「のれんがかかっていたので開けちゃいました。お店はまだですか?」
「ごめんなさいねぇ、あと30分待てる?」
「はい、大丈夫です。ではまた後ほど来ますね。」

IMG_8284.jpg昨日の部屋飲みで残ったスモークチーズをつまみながら観光案内所のベンチで待つ。
ビールは後30分お預け。
雨が降ってきた。

12時になったので、あらためてのれんをくぐって入店。
さっそく生ビールを注文。
「山歩き?」
「いや、今日はこの店で飲むために来ました。」
「あらそうなの?どこから?」
「横浜から。何度か電話したんだけど出られなかったので直接確かめに来ましたぁ。」
「7〜8回鳴ると転送されるんだけど…」
「あっその前に切っちゃったと思います。メールもしたんだけどエラーになっちゃって。」
「ネコが死んだからねぇ」
メールアドレスには、ネコの名前がついていた。

「山菜の天ぷらをください。昔こちらでいただいたコシアブラの天ぷらが抜群に美味しかったです。」
料理はお手伝いのお友達が作っている。
女将さんは小上がりに座って、食材の山菜の芽を剥いたりしている。
女将さんは以前から足が痛いと言っていた。
「足はどうですか?」
「うん…ダメ」

IMG_8286.jpg山菜の天ぷらが出来上がった。
「コシアブラ少し足しておいたから。」

IMG_8288_20220429.jpg「これつまんでみて。」と言って、ふきのとうの和え物とウドをもらう。
「ウドとふきのとうを交互に食べていると、永遠に食べ続けられそうです。」
と言ったら、女将さんに笑われた。

その後、近所の人からもらったタケノコの煮物のテイスティングを頼まれた。
「う〜ん…何か足りないですねぇ。」
「そうよねぇ、もう少しお醤油足してみようかしら。」

IMG_8289_20220429.jpg食べたいものは沢山あるけどお腹の大きさは限られているので、最後にモツをもらうことにした。
「もつ焼きください。」
「煮込みでもいい?」
「はい。」
熱燗のお代わりを注文。

「いつも野球帽被ってる人いましたよね?」
「あ〜◯◯さんね、あの人いま入院してる。あの野球帽、埃が溜まるくらいずっと被ってたのよ〜。」

楽しい時間はあっという間に過ぎる。
さて、3時間かけて帰るとしましょう。
「また来ます!!」