冬眠ウィスパーの開封

カヤック仲間のワンチャンが海から離れて4年が経つ。
介護のストレスや、元々悪かった腰の具合が悪化したのが原因で、そのうち体力にも自信がなくなってしまったらしい。
当然、大切に使っていた軍艦色のウィスパーにも出番がなく、そろそろどうやって処分しよう…と相談を受けたこともある。

「一度くらい開けてみた?」
「一度も開けてない。カビカビになってたらどうしよう…」
「とりあえず開けてみたら?」
「勇気がない。」

ってなやり取りの後、どこかで合流して "開封の儀" を行うことになった。

IMG_8539.jpgせっかくなので、綺麗な海を見ながら "開封" しましょう…ということで、伊豆で行う事に決定。
例によって、月初にある私の仕事が終わってから下田に移動。
翌日に行う "開封の儀" では、どんな悲惨な事態でもへこたれない精神力が必要である。
それには、美味い料理と旨い酒で英気を養わなければならない!!…ってことで、18時からたっぷり6時間を小料理屋のカウンターで過ごした。

IMG_2848.jpg翌日。
"開封の儀" では、どんな悲惨な事態でもへこたれない精神力が必要である。
それには、美味い朝飯をたらふく食わなければならない!!…ってことで、近所の朝飯屋で600円の鯵の干物定食を完食。

外浦海岸に移動し、カーボンウィスパーを車から下ろした。
ワンチャン自ら恐る恐る開封。

IMG_8543.jpg問題ない…ように見える。
最後に使ったのがいつかはわからないけど、しっかり乾燥させてから撤収し、自宅での冬眠場所もいい環境だったもよう。

組み立ては私が担当。
広げられたスキンを見て、ワンチャンが涙ぐんでいる。
「なんだか、使ってあげられなくてごめんねぇって感じ。」
その気持ちわかる。

ワンチャンはいつも、組み立て始める時は「今日もよろしくぅ。」と声をかけ、帰還後は「今日もありがとう。」と、ウィスパーに声をかけていた。
4年間も冬眠させてしまってごめんなさいという気持ちが思わず溢れ出たんだと思う。

IMG_8544.jpg完成!!
スキンが少し縮んでいたことと、バウ&スターンセクションのショックコードの一部が伸びていたことを除き、特に問題はなし。

「浮かんできたら?」
「今日はやめておくぅ(^^;」

撤収。
カーボンウィスパーは、そのままこちらで預かり、後日私が浮かべてみることになった。

ワンチャンは、漕いだ日のことをiPhoneにメモしている。
漕いだ回数を聞いたら「124回」だった。
125回目の時は、ぜひ誘ってください。