受け入れられない選択 〜原発汚染水海洋放出〜

最近(と言ってもここ十年)、自民党は正気を失ってしまっている。
狂った選択 〜安全保障関連法 可決〜
愚かな方策

shinbun_20230823.jpg2013年4月26日、私はブログで「排他的経済水域」についてこう書いた。
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領海が広いのは水産資源や鉱物資源などの探査と開発に関する権利を得られると共に、資源の管理や海洋汚染防止の義務を負うという責任もある。
核で汚染された水を海洋投棄なんてしてる場合ではないのである。
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孀婦岩は島なのか? 〜排他的経済水域を考える〜

それから10年後の2023年8月22日、政府は福島第一原発の汚染水を海に放出することを決めた。
結論ありきで動いているので、誰がどんなに反対しようとも、政府の結論が変わらないのはいつもの事である。
岸田が全国漁業協同組合連合会(全漁連)の会長と面会し、坂本会長から「海洋放出に反対である」と言われたのは8月21日なので、その翌日に発表されたことになる。
赤っ恥をかかされた坂本会長と全漁連は怒らなければならない。
岸田は「今後、数十年の長期にわたろうとも、全責任を持って対応することを約束する」と言ったが、政府も決めた総理も責任をとったことは私の記憶ではただの一度もない。

政府は汚染水のことを処理水と呼んでいる。
放射性物質除去装置ALPSで取り除けないものは、トリチウム、セシウム135/137、ストロンチウム90、ヨウ素129/131などである。
「もし放射能汚染水が安全なら海洋放出の必要はなく、安全でないなら、なおさら海洋放出すべきではない。」
これは、中国の毛寧報道官が言ったこと。
正論である。
もし安全でない汚染水がいったん海に流されたら、流された放射性物質は回収できない。
政府の説明通り汚染水が100%安全なら、海洋放出の必要はなく、不足している飲料水の水がめに入れたり、皇居のお堀に流せばいいだけの事である。

海洋放出については、多くの研究者らが陸上に保管する代替案について提案してきた。
しかし、「モルタル固化処分案」などの提案についても、東電内でほとんど議論されておらず、会議資料にも議論の記録はないようだ。
これでは、「海洋放出」以外は検討すらしていないと思われても、言い訳できないだろう。

国も東電もウソばかりついているので、発表されている情報も眉に唾をつけてみる必要がある。
廃炉に向けたロードマップ(外部サイト)
既に廃炉計画は失敗しているので予定していた期間では廃炉できず、汚染水を海に放出する期間は30〜40年以上になることは確実。

また、2018年当時、政府は汚染水の海洋放出にかかる費用は17〜34億円、処理にかかる期間は4年4ヶ月〜7年4ヶ月と発表していた。
現時点での試算は、費用が1200億円、処理にかかる期間は30年以上となっている。
ただし、それは終わりがあった場合のことであり、現時点で終わりは見えていない。
また、オリンピックの例を上げるまでもなく、政府が発表する予算は倍々で膨らむので、予算は2400億円〜1兆円程度まで膨らみそうな気がする。
例によって、何か "裏で回るお金" が絡んでいるのかもしれない。

米国ガーディアン誌
Japan to start Fukushima water release within weeks(外部サイト)
グリーンピース・ジャパン
政府が汚染水海洋放出の開始日を決定(外部サイト)

中国はこの計画を「極めて無責任だ。」と非難し、香港は「放水が計画通りに進めば日本の10県からの食料輸入を禁止する。」と表明した。
極めてまともな反応だと思う。

<引用>
一部、上記のニュースサイトから引用しています。