落胆とご褒美 パノラマ銀座2日目〜常念乗鞍から燕山荘〜
2日目の朝5時、外はまだ暗いけど常念小屋を出発。
女子パーティがラジオ体操をしていた。
今日のルートは、楽しみにしていたパノラマ銀座の縦走(!!)…しかし、周りは真っ白で目の前の山しか見えない。
歩き始めて30分。
眼下に常念小屋は見えるものの、常念岳は雲の中。
ガスはますます濃度を増し、視界は50メートル。
どっちに首を向けても山はどこにもない。
ナナカマドと咲いていないヤマハハコの雄株(?)。
ヤマハハコは、雌雄異株(しゆういしゅ)で、1つの株に雌しべと雄しべがある両性花と違い、雌と雄は違う株で見た目も違う(らしい)。
ちなみに、ヤマハハコを漢字で書くと山母子。
雨が強くなってきたので、レインウェアを着て、リュックにカバーをかける。
macpacのリュックに使われているAzTecはワックス樹脂が染み込ませてあるので、少しくらいの雨ならカバーをしなくても大丈夫だけど、ここまでしっかり降られてしまうとカバーが必要。
岩が動いている?…と思ったら猿の群れが移動していた。
トウヤクリンドウの蕾の先には雄大な景色が広がっているはず。
ありったけの想像の翼を広げてみるものの、私のちっちゃい翼では何も見えない。
8:30 大天荘に到着。
相変わらずしっかり雨が降っているので、休憩させてもらう。
小屋の裏手にまわり、ストーブと水だけ出してリュックは外に置く。
お湯を沸かして熱いコーヒーで一息ついた。
何度天気予報を見ても、今日は夕方まで雨。
「楽しみにしていたパノラマ銀座の縦走(!!)」などという夢物語はとっくの昔に消え去り、今は「早いとこ燕山荘に着いてビール(!!)」というちっちゃい夢が頭の中いっぱいに広がっている。
10:20 大天荘を出発。
大天井岳の山頂はパス。
パノラマ銀座というからには、優雅な尾根歩きが続くもの…と勝手に思っていたけど、実はこんな岩岩な所も通過していく。
下の写真の梯子を登った所が少しだけ鎖になっていて、女子1号はビビりながらクリア。
道に迷っていた男性パーティに正規ルートを道案内。
13時過ぎ、ガスでよく見えない状況からいきなり燕山荘が現れた。
ちなみに4年前、中房温泉から登った時も天気が悪く、いきなりテント場が現れて小屋に着いたことがわかった。
⇨女王様のお膝元
さっそく受付に向かうものの、前のパーティが一人づつお金を払っていて、なかなか終わらない。
混んでる時は、できるだけまとめて支払いして欲しいものである。
受付が終わると、案内係の女性が声をかけてくれた。
「13時半で食堂のラストオーダーになりますけど、大丈夫ですか?」
見ると2分前。
既に靴を脱いでいた女子1号にカツカレーを頼んだ。
部屋に行ってる時間はないので、とりあえず1階の乾燥室にリュック諸々を置かせてもらい食堂へ。
サンルームに席を確保し、燕が乗ってるカツカレーと生ビールにありつく。
女子1号はおでんと生ビール。
3年前に山でタイカレーを食べてからカレーが苦手になっていたので、カレーを食べるのは久しぶり。
お腹ペコペコなのでめちゃくちゃ美味しい。
ひと息ついたところで、さっきの案内係の女性に声をかけて寝床に案内してもらう。
ササ〜っと荷物を整理して、再度サンルームへ。
一次会の開始である。
おつまみセットとワインをデカンタで貰う。
音を立てながら雨が降っているので、飲むことしかできない。
二次会は自炊室。
既に1組のカップルが宴会をしている…が、なんだかおかしい。
皿と丼は紙のもの、クーラーバック持参で、肉を焼いたりしている。
45リットルくらいのゴミ袋は、既に半分くらいゴミが入っている。
この荷物はどうやって持ってきて、このゴミ袋はどうやって持ち帰るんだろうか?
"?マーク" が何個もあるけど、話しかけるのはやめておいた。
17時25分、外が明るい。
いつの間にか雨の音も止んでいる。
これはひょっとして…
自炊室のドアを開けて外に出る。
玄関に回り、靴を履いて小屋の裏手に登った。
神様はいた。
雨あがりの山々が、なんともまぁ清々しい。
玄関の方に戻ると、夕飯前だというのに沢山の人が笑顔で外に出ていた。
マジックアワーの後は、自炊室に戻って3次会。
大量のゴミを袋に詰めていた例の "?マーク" のカップルは、これから燕岳に登るらしい。
酔っ払っているのに大丈夫なんだろうか?
明日はいい天気になるかもしれない。
残念ながら我々は下山する。
(3日目につづく)