小説家と人工知能(AI)

2024年1月17日、第170回芥川賞と直木賞の選考会があり、芥川賞に九段理江さんの「東京都同情塔」、直木賞には河崎秋子さんの「ともぐい」と万城目学さんの「八月の御所グラウンド」が選ばれた。
そして1月21日、CNNがあるニュース記事を投稿した。
芥川賞受賞作家、執筆でのAI活用認める(外部サイト)
この件については、九段さん本人も認めていて、受賞した作品「東京都同情塔」では、生成AIが出力した文章をそのまま使っている箇所がある。

小説のテーマの一つが「生成AI」なので、小説中にそれにまつわる箇所が出てくるのは必然とも言える。
しかし、どの部分で "文章をそのまま使った" のかは、私は小説を読んでいないのでよくわからないし、読んだとしても判別できないと思う。
それよりも気になったのは、
「今後も執筆にはAIを活用し、自分の創造性を発揮できるようにしたい。」
と、インタビューの中で語ったことである。
小説のテーマがAIじゃなくても、AIに相談しながら小説を書いていく…と聞こえた。

昨年、作曲してくれるAIツールが話題になった。
クリエイティブな作業に役立つ一つのツールとしてAIを使うことはあるけど、ほぼAIに丸投げして作品を作ることに、ものすごく違和感を感じた。
どこまでがよくて、どこから先がやっちゃいけないかの線引きには、当然個人差がある。
私の価値観としては、"売るため" の作詞・作曲や小説の執筆にAIを使うのはNG。
ただし、個人的に楽しむ為だけならOK…って感じ。

さて、話題を元に戻す。
実際、AIはどのような文章を書いてくれる(出力してくれる)のか、試しにやってみた。
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[私]
一人のシーカヤッカーが、キャンプしている海岸のテントで目を覚まし、準備をして出発するまでの様子を小説風に書きたい。

[ChatGPT]
朝陽がまばゆい輝きを海面に投げかけ、静かな波音が遠くから聞こえてくる。
海岸のテントでは、一人のシーカヤッカーが眠りから目覚めていた。
彼のテントは砂浜に立てられ、夜間の潮風が優雅に揺れていた。シーカヤッカーはゆっくりと寝袋から抜け出し、テントの出口から外をのぞく。
広がる海は静かで穏やかであり、夜明けの魔法が水面をキラキラと照らしていた。
彼は手際よくテントをたたみ、キャンプ場を後にする準備を始めた。
シーカヤックの積み込みや装備の整理に没頭しながら、彼はまるで自然と一体になったような雰囲気を醸し出していた。
朝露がテントを濡らしていたが、彼の目には新しい冒険への期待と興奮が宿っていた。
準備が整うと、シーカヤッカーは海へ向かって歩み出た。砂浜を踏みしめながら、彼はシーカヤックに跨り、漕ぎ始めた。
波立つ海面を切り裂きながら、彼の心は自由な鳥のように高く舞い上がっていった。
シーカヤッカーの背後にはキャンプした場所が少しずつ遠ざかっていく。
太陽が昇りつつある空に向かって進む彼の冒険は、未知の水域への探求心と自然との調和を求めた旅の一瞬であった。
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どうだろうか…
ChatGPTは、この文章を瞬く間に出力する。
また、ChatGPTは、その名のとおりチャット形式で会話できるので、続けて「ここはこうして」ってな注文をつけると、新しい文章を生成してくれる。
出力された文章の「味わい」については、可もなく不可もない優等生的なものだけど、この文章にヒントをもらい、"自分流の小説" を書くことはできるだろう。

生成AIを一般の人が使えるようになったのは最近の事なのに、その応用範囲は急速に広がっている。
私が好きな映画「13F」では、未来(と言っても今年)には、ヘッドセットを付ける事で、誰もがバーチャル空間に入り込めている。
2024年6月21日 月曜日
さすがに今年には無理だけど、近い将来、「こんな体験をしたい」と入力すれば、脳内のバーチャル空間でリアリティのある体験をさせてくれる技術が登場するだろう。