レーシングの放棄 -Formura e1-
2014年から採用されたF1パワーユニット(V6ハイブリッドターボ)では、2つのエネルギー回生装置が搭載されていた。
一つは、ブレーキング時の運動エネルギーを電気に変換する「MGU-K(Motor Generator Unit-Kinetic)」。
もう一つは、排気ガスの熱エネルギーを電気に変換する「MGU-H(Motor Generator Unit-Heat)」である。
この2つの装置の役割について解説されているページがあったのでリンクする。
⇨Hondaのハイブリッドテクノロジー(MGU-H,MGU-K)の進化![]()
2026年シーズンから導入される新しいレギュレーションでは大小様々な変更点があるが、大きなものは3つ。
1. ボディサイズ/タイヤサイズの縮小
2. DRSの廃止とアクティブエアロの導入
3. 電動比率のアップ
1. ボディサイズ/タイヤサイズの縮小
F1のボディサイズは拡大し続けていた。
これは安全規程上やむを得ないところがあるけど、それにしても昨年までのボディは大きすぎる。
これでは、モナコで追い抜きができないのも仕方がない。
2026年のサイズでもまだ大きいとは思うけど、ボディサイズが縮小されるのはいい事だと思う。
2. DRSの廃止とアクティブエアロの導入
賛否両論あるだろうが、私はボディやエアロパーツが走行中に可動するのが好きじゃない。
そのDRSが廃止されると聞いて喜んだのも束の間、2026年からはアクティブエアロという改悪バージョンが導入される事になってしまった。
とにかくFIAはストレートスピードをアップさせる事に必死のようだ。
3. 電動比率のアップ
今回のレギュレーション変更で最も影響が大きいものが「電動比率のアップ」である。
"85:15" だった内燃機関と電気の出力比率は "50:50" になる。
2026年のF1パワーユニットには「MGU-H」が存在しない。
これが意味するものは、バッテリーの性能 (出力と回生) がレースを左右するということだ。
この事で、想定される問題は3つある。
3-1. 各チームのパワーユニットにバラツキがある場合、別カテゴリーのマシンが走っているかのような結果になる
3-2. レーススタートが難しくなる
3-3. ストレートの後半でバッテリーが無くなり、車速が急激に落ちる
3-1. について
大きなレギュレーション変更があった2014年シーズン第1戦オーストラリアGPのQ1結果がこちら
Lewis Hamilton Mercedes 1:31.699
Romain Grosjean Lotus Renault 1:36.993
⇨別カテゴリー
トップと最下位の差は5秒以上ある。
トップレベルのカテゴリーで、この差はありえないけど、2026年の第一線はどうなるだろう。
ドライバーの差が出ないならばチーム毎に綺麗に並ぶだろうけど、ひょっとしたら意外なドライバーがポールを取るかもしれない。
3-2.について
これまではタイヤやブレーキの温度を適正にする為に、フォーメーションラップを走っていた。
2026年は、これに加えバッテリーの状態も気にしなければならない。
また、レギュレーションでは時速50キロまではバッテリーを使えないので、ターボラグでフルパワーをかけれなかったマシンは、大きく順位を落とす事になる。
1コーナーまで距離があるコースでは、途中でバッテリー切れを起こすこともありそうだ。
後方からスタートするマシンにとっては、渋滞がなくても突然前の車が失速するので要注意である。
3-3. について
レース中ドライバーはバッテリーの状態を常に意識しなければならない。
⇨2026年F1は、モナコのヘアピンでもエンジン全開に!![]()
使用するパワーユニットによっては、長いストレートの終わりでバッテリー切れを起こすかもしれない。
この時ドライバーがやれることは、エンジン全開のままMGU-Kを回生モードにしてバッテリーを充電することだ。
"スーパークリッピング" というこの方法を使うと、エンジン全開にも関わらず減速することになる。
これは、観客からはヘンテコに見えるかもしれない。
ストレートの終わりで追い抜きをかけていたマシンは、こんなことになる可能性がある。
実際は、追い抜かれるマシンもバッテリー切れを起こす場合があるので、必ずしも抜けないわけではないものの、従来の様にブレーキングで前走車を追い抜く…というようなスペクタクルなものにはならない。
スーパークリッピング時は、リアに付けられたライトが高速赤点滅して "充電中" であることを後続車に知らせる機能は付いているけど、テールトゥノーズで追走している時、前走車がバッテリー切れで失速したら、とても危険な状況になる。
2026年のF1は、パワーユニットの性能とエネルギー管理がレースの勝敗を決める事になるかもしれない。
FIAは、"我々がF1に求めているのは知的な戦いである" と公式にアナウンスしている。
私がF1に求めるのは、ドライバーの能力が勝敗の80%を決める世界である。
FIAがドライバーに対して "スピード、勇気、戦略" を求めるのではなく、"計算" を求めるのであれば、いっそシミュレータで「Formura e1」世界選手権を行えばいい。
長くF1の世界にいるフェルナンド・アロンソはこう言った。
「エネルギーを温存するために高速コーナーで意図的にスピードを落とす場面がある。バーレーンの10、12コーナーではエネルギーを無駄にしたくないから50km/h低い速度で走っている。以前は260km/hだったが、今は200km/hだ」
これでは、誰が乗っても同じことだ。
(あとがき:2026.3.8)
昨年申し込んだF1TVのサブスクリプションが3月9日まで残っていたので、今年の第1戦オーストラリアGPをライブ観戦した。
思っていたような展開になり、全く楽しめなかった。オーバーテイクはいたる所であったけどスリルはゼロ。
こんなレースを走らなければならないドライバー達がかわいそうになる。
マックス・フェルスタッペンはこう言った。
「こういうレースを楽しめるなら、それはそれで構わない。でも僕に言わせれば、家でマリオカートをやっているのと変わらない。個人的にはあまり楽しめなかった。」
F1TVのサブスクは更新しない。
ちなみに、F1は超絶つまらなかったけど、F3やF2のレースは面白かった。
そして今年からフジテレビによる日本語解説が始まった。
私はホンダヨイショ、トヨタヨイショの話には興味が無いので、音声は「ENGLISH」にした。


