積極的千葉の勧め 2日目〜富浦から金谷〜

朝6時に起床し海岸まで散歩してみると…あれ?少し風がある?
雨もパラついているし、なんだか寒い。
ふ〜〜テンション落ちる〜〜。

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民宿での幸せ&楽チンな朝飯を済ませ、9時に出発の準備が整った。
風も落ち、少しだけ暖かくなってきたけど、今日は昨日のウェアリングにフリースを一枚追加した。

準備運動で背伸びをしていると、背後から声をかけられた。

「今日はどこまで行くんですか?」
「あっはい、金谷まで行きます。」
「向こうの緑色の壁の家見えますか?あそこで手作りカヌーを作っているので、今度来た時にでも寄ってみてください。」
「へ〜知りませんでした。今お邪魔してもいいですか?」

そんなこんなで、歩いて1分ほどの所にある工房にお邪魔した。

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南房総手作りカヌー研究所…看板からして手作り感たっぷりで、なんだかいい感じ。
建物の裏手には、二人の女性が指導を受けながら数ヶ月かけて作ったという木製のカヌーがあったり、工房兼事務所には、いろいろなイベントのポスターが張られていた。

「子供達の為にカヌー体験会を開いたり、この前は東北で震災にあった子供達を招いて、遊んでもらいました。」

お〜〜こういう大人がいる地域は素晴らしい!
この辺りは、会社をリタイヤした人達が第二の人生をすごす場所として移住してきているのは知っていたけど、こういう事をやってる人もいるんだねえ。
本当にいい所だ!富浦。
風の千葉 1日目 浸水編〜金谷から富浦〜

P4200047.jpgスタッフの方からいろいろな話しを伺っていると、会長の坂口さんが事務所に到着。
少しだけお話して、一緒に記念写真を撮らせていただいた。
これからも子供達に夢を届けてあげてください。

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おかげさまでテンションもアップして、さあ出発。
まだ少しだけ風が残っているので、岸沿いに進んでいく。
今日は釣り人も多い。

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天気がいいと、この辺りは沖縄の様にきれいなグリーンの海が広がっている。
今回は、少しだけこの色を見ることができた。
富浦で沖縄を感じる 1日目〜金谷から富浦〜

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前回この辺りを漕いだ時は、北東からの強風が吹き抜け、大房岬から戻るのに苦労した。
今では、いい思い出になっている。
腰痛おじさん通りゃんせ 怖い編〜大房岬から金谷〜

少し雲が広がってきた。

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南無谷崎の手前は風裏で波一つ立っていない。
カヤックは、ホンダワラの上をすべるように進んで行く。

来週から始まるゴールデンウィークでは、関西に建った日本一のビル「あべのハルカス」効果で、沢山の人が観光に訪れるらしいと、旅行評論家(?)の女性がテレビでしゃべっていた。
自分は、スカイツリーを見ても何も感じないし、高いビルを見てもふ〜んとしか思わない。
なので、ビル一つが旅行の行き先を決める理由になるという事が、まったくピンとこない。
それよりも、この平和なホンダワラの海に浮かんでたりする事に幸せを感じる。

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岸沿いを岩井海岸の方に進み、左手に岩礁が現れた辺りでバウを北に向ける。
目標を岩井袋の西ケ崎に定め、風の様子を伺いながら湾の真ん中までやって来た。
風は問題なし。
久しぶりに浮島へ寄ってみることにする。

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2年半ぶりにやって来た浮島の南側はウネリもなく穏やかだった。
乗客が一人だけしか乗っていない観光船がいなくなった所で、やってみたかった事にチャレンジすることにした。

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一番左側の洞窟の中に入ってみることにする。
入口は狭く、時々立つ波が岩壁で圧縮されて高さを増し、洞窟の中に吸い込まれて行く。

さて突撃。
狭い入口を通過すると少しだけ岩壁が広がり、その先にもっと狭い通路がある。
予想よりも奥行きがあるようだ。
思い切って奥に入ってみる。
狭い通路を通過すると同時に波にカヤックを押され、真っ暗な洞窟の中に押しやられた。
正面には、小さな砂浜があるようだけど、他は真っ暗でどのくらいの広さがあるのかわからない。
カヤックを180度回転させようとしたら、スターンが壁に当たった。
あ〜〜ヘッドランプを点けて入ればよかったと後悔。
しかたがないので、狭い通路をバックで戻ることにした。
カマノのブレードを壁にコツコツと当てながら、なんとか脱出することができた。
凪の日ならともかく、洞窟内にウネリが入り込んでいる時は、カヤックでの侵入はお勧めしない。
ふ〜〜久しぶりにドキドキした。


その後、大ボッケと小ボッケの間の水深の浅い場所を、向かい風に逆らいながら抜けて勝山側に出た。
抜けた先は、ビュービューの北風が吹き荒れ、風に押された波と保田に向かうボートが起こす引き波がぶつかり、でっかい三角波が立っていた。
今回のツーリングは、場所によって風の有る無しが極端で、なかなか油断できない。

お腹がすいたので、そのまままっすぐ勝山海水浴場に向い、源頼朝の碑がある辺りに上陸した。
ここにはトイレがある。

カヤックを浜に引き上げていると、年配のオジサンがやって来た。

「何が釣れた?」
「いや釣りじゃあないんですよ」
「そうかあ…昔はこの辺りでシッタカが沢山獲れたんだけど、20年前に出来たこの堤防や浜の工事で、何にもいなくなったよ。」

そんな事をつぶやきながら、オジサンは堤防の方に歩いていった。
このオジサンは、貝がいなくなってしまったこの海でも毎日来ているんだろう。
小さな堤防の影響で潮の流れが変わり、海の様子が変わってしまった話しは、そこかしこで耳にする。
自然にできた海岸線には意味がある。
失われた海岸線


ストーブでお湯を湧かしていると、今度は革製のツーリングジャケットを着た紳士に声をかけられた。

「楽しいですか?」
「はい、楽しいですよ!」
「全部揃えるといくらくらいかかるんですか?僕はもうすぐ65でリタイヤするんですが、ただオートバイで走っているよりも楽しそうですよね。」

歳をとり仕事をリタイヤする年齢になっても、若い頃の気持ちを持ち続ける人は多い。
その時に何をするかで、残りの人生を楽しめるかどうかが決まるように思う。
さすがにハードな運動はできない。
でも、カヤックであれば腰や膝の具合が多少悪くても旅を楽しむことができる。

昼飯は、クラムチャウダースープ、それといなばのチキンタイカレーを温め、昨日の残りのパンにつけて食べた。
簡単で美味しい。

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昼飯を食べている間に風が落ちた。
何度か突風にやられた事がある保田も平和に通過する。

そして、ゴールは昨日の出艇地と同じ金谷海浜公園の砂浜。
漁船の通過を邪魔しない様に、大回りして上陸した。

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予定通り14時半に着けたので、ビールを飲みながらノンビリと撤収する。

今回の千葉は、予想外の寒さを除けば途中で撤退することもなく、無事2日間漕ぐ事ができた。
千葉には、伊豆の様にダイナミックな海岸線も洞窟も無いし、保田と岩井には単調な砂浜を抱えた大きな湾もあり、コースタルに進む楽しさも無い。
でも毎回来る度に、心地のいい長閑さがある。
元々気圧配置が悪く他の場所では風が強くて漕げないから消去法で千葉に来ている事を思えば、撤退が多いのはある意味仕方が無い事だと思う。

帰りのフェリーで冷えたビールと残った日本酒を飲みながら思った。
よし、次回は天気も海況もいい日に、"積極的" に千葉に来てみよう!

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